更新日:2025/03/06
従業員のメンタルヘルス不調や離職にお悩みの経営者・人事担当者の方必見!本記事では、IT導入補助金を活用してストレスチェックツールを導入する方法をわかりやすく解説します。
ストレスチェックは法律で義務付けられており、未実施の場合罰則が科される可能性もあります。本記事を読むことで、IT導入補助金の概要、種類、対象事業者、活用メリットから、ストレスチェック制度の義務、導入メリット、そして補助金対象となるストレスチェックツール、申請手順、補助金額までを網羅的に理解できます。さらに、ストレスチェックツール導入による効果的なメンタルヘルス対策、離職防止策、従業員エンゲージメント向上についてもくわしく解説します。
IT導入補助金を活用することで、コストを抑えながら従業員のメンタルヘルスを守り、生産性向上や離職率低下を実現してみませんか。
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が生産性向上を目的としたITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入する際に、その費用の一部を国が補助する制度です。 業務効率化や売上向上を図り、企業の競争力強化を支援することを目的としています。
IT導入補助金は、毎年公募が行われています。補助対象となるITツールは多岐にわたり、たとえば、顧客管理システム・会計ソフト・ECサイト構築ツール・Web会議システム・ストレスチェックツールなどが含まれます。
補助率は、事業者の規模や種類、補助金の種類(枠)によって異なりますが、一般的には導入費用の1/2から2/3程度が補助されます。補助上限額も類型によって異なり、数百万単位になる場合もありますので、事前に確認が必要です。
IT導入補助金には、5つの種類(枠)があります。
それぞれの枠で対象となる範囲や補助率・補助額が異なります。毎年改定される部分があるため、最新情報を必ず確認しましょう。
IT導入補助金の対象となる事業者は、中小企業・小規模事業者等です。具体的には、中小企業基本法に規定する中小企業者・小規模企業者・特定非営利活動法人などが該当します。
ただし、業種によっては対象外となる場合もありますので、事前に確認が必要です。たとえば、風俗営業等、公序良俗に反する事業は対象外となります。また、医療法人、社会福祉法人、学校法人、農林漁業協同組合なども対象となる場合があります。
IT導入補助金を活用するメリットとして、主に以下の点が挙げられます。
IT導入補助金を活用することで、資金的な負担を抑えながらITツールを導入し、企業の成長を促進させられます。費用の捻出が難しいとあきらめていた場合には、IT導入補助金が活用できないかぜひ確認してみましょう。
【関連記事:中小企業の「産業医がいない」問題を解決!費用を抑えた導入方法と注意点】
ストレスチェック制度は、労働安全衛生法に基づき、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的とした制度です。職場におけるストレスの要因を明らかにし、必要な対策を講じることで、労働者の健康を守り、より働きやすい環境を整備することが期待されています。
ストレスチェックの実施義務は、以下の規模の事業者に定められています。
事業者の規模 | 実施義務 |
---|---|
常時50人以上の労働者を雇用している事業者 | 義務あり |
50人未満の労働者を雇用している事業者 | 努力義務 |
50人未満の事業者においても、ストレスチェック制度導入は強く推奨されています。 従業員のメンタルヘルスへの配慮は、企業の規模に関係なく、重要な課題です。
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ストレスチェック制度を導入することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。主なメリットは以下のとおりです。
ストレスチェックの実施により、従業員自身のストレス状態を客観的に把握することが可能になります。
メンタルヘルス不調の兆候を早期に発見し、適切な対応をとることができます。未然に重症化を防ぐことで、休職や離職のリスクを軽減できるでしょう。
ストレスチェックの結果は、職場環境におけるストレス要因を分析する「集団分析」に活用できます。
長時間労働やハラスメントなど、問題点の特定が可能となり、具体的な改善策を講じるきっかけが得られます。より働きやすい職場環境の実現は、従業員のモチベーション向上や生産性向上にもつながります。
【関連記事:ストレスチェック集団分析結果の見方は?部署・年代・階層別の傾向と対策を解説】
従業員のメンタルヘルスが良好な状態に保たれることで、仕事への集中力やモチベーションが向上し、生産性向上につながります。また、働きやすい職場環境は従業員の定着率を高め、離職率の低下にも貢献します。結果として、企業全体の業績向上に寄与することが期待できるのです。
【関連記事:【企業必見】ストレスチェックでわかる退職リスク!離職防止のための具体的な対策と活用事例】
IT導入補助金を活用してストレスチェックツールを導入することで、従業員のメンタルヘルス対策を効率的に行い、生産性向上や離職率低下につなげられます。補助金対象となるツールや導入手順、申請方法などをくわしく解説します。
IT導入補助金の対象となるストレスチェックツールは、以下の要件を満たす必要があります。
具体的には、クラウド型、オンプレミス型などさまざまなタイプのストレスチェックツールが補助金の対象となります。ストレスチェックの実施だけでなく、高ストレス者へのフォローアップ機能や職場環境改善のための分析機能などを備えているツールを選べば、効果的なメンタルヘルス対策に役立ちます。
ツール選定の際は、自社のニーズや規模に合った機能を備えているか、費用対効果などを考慮することが重要です。
ORIZINなら、スマホ受検も可能でスムーズに受検が進み、集団分析ができる「ドリームホップ心理相関図®」を使えば、職場にある課題同士の相関や取り組むべき優先順位がわかりやすく可視化されます。職場改善が進みやすく、働きやすい職場づくりにひと役買うでしょう。
【関連記事:ストレスチェックの受検を従業員に拒否されたら?受検率を高めるポイントを解説】
IT導入補助金を活用したストレスチェックツール導入の手順は以下のとおりです。
参考:IT導入補助金2025(サービス等生産性向上IT導入支援事業)ポータルサイト
まずはIT導入補助金の交付申請を行います。申請はオンラインで行い、事業計画書や経費明細などを提出します。
申請前に公募要領をよく確認し、必要書類を漏れなく準備することが重要です。採択された場合は交付決定通知書がマイページに届きます。
交付決定通知書を受け取ったら、ストレスチェックツールの導入を進めます。
ツール選定・契約・導入作業などを実施します。導入にあたっては、従業員への周知徹底やツールの使い方に関する研修なども行い、スムーズな運用開始を目指しましょう。
事業完了後、実績報告書を提出します。補助対象経費の領収書など、必要な書類を添付します。実績報告の内容に基づいて補助金額が確定するため、正確な報告が重要です。
IT導入補助金の補助金額や申請時期は、年度や種類(枠)によって異なります。一般的には、補助率は経費の1/2または2/3で、補助上限額は数百万程度となっています。申請時期は毎年3月頃からで何度かにわけて締切が設けられるため、こまめに情報収集を行うことが重要です。
項目 | 内容 |
---|---|
補助率 | 経費の1/2または2/3程度(種類・年度によって変動) |
補助上限額 | 数百万程度(種類・年度によって変動) |
申請時期 | 3月から(年数回の締切) |
IT導入補助金を活用することで、ストレスチェックツール導入にかかる費用負担を軽減し、より効果的なメンタルヘルス対策を実施することが可能になります。補助金の申請には期限があるため、早めの準備と情報収集が重要です。
【関連記事:メンタルヘルス×組織開発で生産性向上!企業の成長を促す最強戦略】
ストレスチェックツールを導入することで、従業員のメンタルヘルス対策が体系的に進みやすくなります。ツールを活用して得られた結果に基づき、適切なフォローアップや職場環境の改善につなげることが重要です。効果的なメンタルヘルス対策を実施するためのポイントを解説します。
ストレスチェックの実施後、高ストレス者だけでなく、全従業員に対して結果に基づいた適切なフォローアップを行うことが重要です。
フォロー体制の構築が不十分である場合、ストレスチェックを実施する意味が薄れてしまいます。面談の機会を設ける、相談窓口を周知するなど、従業員が気軽に相談できる環境を整備しましょう。産業医やカウンセラーなど、専門家の協力を得ることも有効です。
【関連記事:ストレスチェックと産業医の役割|企業のメンタルヘルス対策を徹底解説】
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ストレスチェックの結果、高ストレス者として判定された従業員には、個別面談を実施し、具体的なストレス要因や悩みの内容を丁寧にヒアリングすることが重要です。プライバシーに配慮した環境で面談を行い、安心して話せる雰囲気づくりを心がけましょう。
必要に応じて、専門医や専門機関への紹介、休職の勧奨など、適切な支援を提供します。高ストレス状態が継続している場合は、定期的な面談を実施し、状況の改善に努めます。過重労働によるストレスを抱えている場合は、業務量の調整や労働時間の管理など、具体的な改善策を検討します。
【関連記事:職場環境改善の鍵!ストレスチェックで高ストレス者に対応するための3ステップ】
ストレスチェックの結果を集団分析することで、職場全体のストレス要因や課題を把握することができます。部署ごとのストレスレベルの比較や、共通するストレス要因の特定を行うことで、職場環境改善に向けた具体的な対策を立てることができます。
たとえば、長時間労働が問題となっている場合は、業務効率化のためのツール導入や、ノー残業デーの設定などを検討します。また、人間関係のストレスが多い場合は、コミュニケーション研修の実施や、相談しやすい雰囲気づくりに取り組みます。
分析結果を従業員にフィードバックし、職場環境改善への協力を促すことも重要です。
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ストレスチェックツールには、Web上で簡単に実施できるものがあります。従業員は好きな時間・場所で受検できるため、受検率の向上につながります。
また、集計・分析機能が搭載されているツールであれば、結果の分析やレポート作成の手間を省くことができます。以下に、ITツールを活用したストレスチェック導入・実施方法の例を挙げます。
手順 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
実施時期の決定 | ストレスチェックの実施時期を決定します。 | 定期的な実施が推奨されています。 |
ツール選定 | 自社に合ったストレスチェックツールを選定します。 | 機能や価格、サポート体制などを比較検討しましょう。 |
従業員への周知 | ストレスチェックの実施目的や方法、個人情報の取り扱いについて、従業員に丁寧に説明します。 | プライバシー保護の徹底を伝え、安心して受検できるよう配慮しましょう。 |
実施 | 従業員にストレスチェックを実施してもらいます。 | 実施期間を設定し、受検を促しましょう。 |
結果分析とフォロー | 集計結果を分析し、高ストレス者への個別面談や職場環境改善など、適切なフォローアップを実施します。 | 分析結果を踏まえ、具体的な対策を立てましょう。 |
導入のしやすさだけでなく、ストレスチェックの実施報告の行いやすさ、集団分析のしやすさを加味し、ツールを選びましょう。
【関連記事:ストレスチェック報告書の書き方・労基署への提出方法・提出期限を徹底解説!】
ストレスチェックツールと適切なフォローアップを組み合わせることで、従業員のメンタルヘルス不調の予防・改善、職場環境の改善、生産性向上、離職率低下といった効果が期待できます。従業員の健康を守り、働きやすい職場づくりにつなげるために、積極的に取り組んでいきましょう。
IT導入補助金を活用したストレスチェックツール導入は、従業員のメンタルヘルス対策と離職防止に効果的な戦略です。ストレスチェックには、従業員のメンタルヘルス不調の早期発見・職場環境改善・生産性向上・離職率低下といった多くのメリットがあります。IT導入補助金を利用することで、これらのメリットを実現するためのツール導入コストを削減できます。
補助金対象となるストレスチェックツールを選び、申請から実績報告までの手順を踏むことで、費用を抑えてスムーズに導入を進めることができます。導入後は、適切なフォロー体制の構築・高ストレス者への個別面談・集団分析による職場環境改善など、効果的なメンタルヘルス対策を実施することが重要です。ITツールを活用することで、ストレスチェック実施の効率化も期待できます。
メンタルヘルス対策は離職率低下に大きく貢献します。ストレスチェックツール導入によって、従業員のメンタルヘルス状態を把握し、適切な対策を講じることで、離職防止効果を高めることができます。メンタルヘルスに配慮したウェルビーイング経営を推し進めることで、従業員エンゲージメント向上にもつながり、企業の成長にも寄与するでしょう。
IT導入補助金を活用し、ストレスチェックツールを導入して、従業員と企業双方にとってより良い職場環境を実現しましょう。