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メンタルヘルス×組織開発で生産性向上!企業の成長を促す最強戦略

公開日:2024/12/06

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従業員のメンタルヘルス不調は、生産性低下や離職率増加など、企業にとって大きな損失につながります。一方で、組織開発を効果的に行うことで、従業員のメンタルヘルス向上、ひいては企業の成長促進が期待できます。

本記事では、メンタルヘルスと組織開発の密接な関係性について解説し、具体的な施策や成功事例、効果測定の方法まで、企業が取り組むべき戦略を網羅的にご紹介します。

メンタルヘルスを重視した組織開発を通じて、従業員の満足度向上、生産性向上、企業の持続的な成長を実現していきましょう。

メンタルヘルスと組織開発の関係性

悩むマネージャー

メンタルヘルスと組織開発は、一見すると別々の領域のように思われますが、実際には密接に関連しており、相互に影響を及ぼし合っています。

会社が持続的な成長を遂げるためには、従業員のメンタルヘルスを良好に保ちながら、組織全体の能力を高める組織開発が不可欠です。この章では、メンタルヘルスと組織開発の相互作用についてくわしく解説します。

なぜメンタルヘルスが組織開発に重要なのか

メンタルヘルスが良好な状態であれば、従業員は仕事に集中し、創造性を発揮し、生産性を向上させることができます。また、良好な人間関係を構築し、チームワークを高めることにもつながります。これらは組織開発の重要な要素であり、企業の成長に大きく貢献します。

逆に、メンタルヘルスが不調な状態では、集中力の低下、ミスや事故の増加、欠勤や離職の増加など、組織全体の生産性や業績に悪影響を及ぼします。メンタルヘルスは組織開発の基盤と言えるでしょう。

厚生労働省の調査によると、メンタルヘルス不調による休業者がいた事業所の割合は横ばいから微増傾向にあり、企業にとって大きな損失となっています。メンタルヘルス対策は、もはや企業にとってコストではなく、投資と捉えるべきです。

(参考:令和5年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要|厚生労働省

メンタルヘルス問題が組織にもたらす負の影響

メンタルヘルス問題が組織にもたらす負の影響は多岐にわたります。具体例とその影響の深刻さを見てみましょう。

影響 詳細
生産性の低下 集中力の低下、ミスや事故の増加、業務の遅延などにより、組織全体の生産性が低下します。
欠勤・離職の増加 メンタルヘルス不調により、欠勤や離職が増加し、人材不足や採用コストの増加につながります。
組織風土の悪化 コミュニケーションの不足、人間関係の悪化、ハラスメントの発生などにより、組織風土が悪化します。
企業イメージの低下 メンタルヘルス問題への対応が不十分であることが外部に知られると、企業イメージが低下し、採用活動や顧客からの信頼を失う可能性があります。

これらの負の影響を避けるためには、組織全体でメンタルヘルス問題に取り組むことが重要です。

組織開発によるメンタルヘルス向上効果

組織開発は、従業員のメンタルヘルス向上に大きく貢献します。

たとえば、従業員のエンゲージメントを高める取り組みや、心理的安全性を確保するための施策、働きがいのある環境を作るための制度設計などは、従業員のストレスを軽減し、モチベーションを高め、メンタルヘルスを向上させる効果が期待できます。

具体的には、以下のような効果が挙げられます。

  • 従業員の満足度向上:働きやすい環境が整備されることで、従業員の仕事への満足度が向上します。
  • 離職率の低下:職場環境の改善は、従業員の定着率向上につながり、離職率の低下に貢献します。
  • 生産性向上:メンタルヘルスが良好な状態であれば、従業員はより高いパフォーマンスを発揮し、生産性向上につながります。
  • 創造性の向上:心理的に安全な環境では、従業員は自由に意見を出し合い、創造性を発揮しやすくなります。

組織開発は、単に組織の効率性を高めるだけでなく、従業員のウェルビーイングを向上させるという重要な役割も担っています。そのため、組織開発においては、従業員のメンタルヘルスを考慮した戦略を立てることが不可欠です。

メンタルヘルスを意識した組織開発の具体的な方法

メンタルヘルスを意識した組織開発は、従業員のウェルビーイングを向上させ、生産性や創造性を高めるうえで不可欠です。ここでは、具体的な方法を3つの側面から解説します。

従業員のエンゲージメントを高める取り組み

メンタルヘルスに配慮され、ウェルビーイングが高まると、それに伴って従業員エンゲージメントが強化されやすくなると考えられています。

エンゲージメントの高い従業員は、仕事にやりがいを感じ、組織への貢献意欲も高まります。高いエンゲージメントを実現するために、以下の取り組みが有効です。

【感謝の文化を醸成する】

感謝の言葉は、互いを認め合い、尊重する文化を育みます。従業員同士が感謝の気持ちで小さなギフトや報酬を贈り合う制度(ピアボーナス制度)や感謝メッセージを共有するプラットフォームを導入することで、感謝の気持ちを伝えやすい環境をつくるケースがあります。

【1on1ミーティングの実施】

上司と部下が定期的に1対1で面談を行うことで、仕事上の課題やキャリアプラン、メンタルヘルス状態について話し合う機会を設けることができます。

【社内イベントの実施】

懇親会や社員旅行などの社内イベントは、従業員同士の交流を深め、チームワークを強化する絶好の機会です。オンラインイベントも効果的です。

【関連記事:ウェルビーイングを充実させるためのコミュニティの重要性

心理的安全性を確保するための施策

心理的安全性が確保された環境では、従業員は安心して発言や行動ができ、創造性を発揮しやすくなります。以下の施策を通して心理的安全性を高めましょう。

【相談しやすい雰囲気づくり】

相談窓口の設置や社内相談員の育成など、気軽に相談できる体制を整えることが重要です。 

【ハラスメント対策の徹底】

ハラスメントは、心理的安全性を著しく損なう行為です。研修の実施や相談体制の整備など、ハラスメント防止対策を徹底することが重要です。 

【多様な働き方を推進する】

テレワーク(リモートワーク)やフレックスタイム制など、多様な働き方を導入することで、従業員がそれぞれのライフスタイルに合わせた働き方を選択できるようになり、心理的な負担を軽減することにつながります。

【関連記事:ハラスメント対策として相談窓口を設置しよう

働きがいのある環境を作るための制度設計

従業員が働きがいを感じられるかどうかも、メンタルヘルスにおおいに関連するポイントです。

働きがいのある環境は、従業員のモチベーション向上や定着率向上につながります。制度設計において以下の点を考慮しましょう。

【休暇制度の充実】

年次有給休暇の取得促進だけでなく、夏季休暇や慶弔休暇、サバティカル休暇など、多様な休暇制度を設けることで、従業員が心身ともにリフレッシュできる機会を提供します。

【柔軟な勤務形態の導入】

フレックスタイム制や時短勤務制度を導入することで、従業員が自身のライフスタイルや状況に合わせて柔軟に働きやすくなります。

【キャリア開発支援】

研修制度や資格取得支援、メンター制度など、従業員のキャリアアップを支援する制度を設けることで、成長意欲を高め、働きがいのある環境を構築します。

メンタルヘルス×組織開発の取り組み例

MENTAL HEALTHと書かれた木のブロック

この章では、メンタルヘルスを意識した組織開発の具体的な取り組み例を複数紹介します。

組織の規模や業種、社風に合わせて、最適な取り組みを実施することが重要です。

ストレスチェックの実施とメンタルヘルス研修

ストレスチェックは、労働安全衛生法に基づき、従業員50人以上の事業場で義務付けられています。従業員のストレス状態を把握し、適切な対策を講じるために重要なツールです。

ストレスチェックの実施に加えて、集団分析を行って職場の現状把握と職場改善の足がかりをつかんだり、メンタルヘルスに関する研修を実施したりしながら、着実に働きやすい職場づくりをすすめ、組織開発につなげることが可能です。

どんなに組織側が配慮を行い、制度設計を見直したとしても、メンタルヘルスを保つにはセルフケアや従業員同士の相互理解が欠かせません。研修を通じてセルフケア能力向上や、周囲の同僚をサポートする意識を高めることも一案です。

管理職向けには、部下のメンタルヘルス問題の兆候を早期に発見し、適切な対応をとるためのスキルを習得させることも大切です。メンタルヘルスやマネジメントが学べる研修サービス「Humany」では、一般的なメンタルヘルスに関する知識だけでなく、さまざまな業種における安全衛生やヒヤリハット対策の学習、さらに人材マネジメントまでカバーされ、e-ラーニングにも対応しています。自社に必要なコンテンツや受講方法を選択して研修実施ができるため、どのような組織にも対応している点が特長です。

労働時間の削減と休暇取得の推奨

長時間労働は、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす大きな要因の一つです。

労働時間の削減は、従業員の心身の健康を保つうえで不可欠です。ノー残業デーの設定や、業務効率化のためのツール導入など、具体的な施策を講じる必要があります。

また、休暇取得の推奨も重要です。有給休暇の取得率向上に向けて、取得しやすい雰囲気づくりや、計画的な休暇取得の促進など、組織全体で取り組むことが重要です。年次有給休暇だけでなく、夏季休暇や年末年始休暇などの長期休暇も、心身の疲労を回復するために重要です。

職場環境改善

働きやすい職場環境の整備も重要です。

たとえば、集中できるワークスペースの確保や、リフレッシュできる休憩スペースの設置など、物理的な環境改善も効果的です。テレワーク(リモートワーク)やフレックスタイム制など、柔軟な働き方を導入することも職場環境改善の一例と言えるでしょう。

リフレッシュプログラムの導入

従業員の心身の健康を促進するために、リフレッシュプログラムを導入する企業も増えています。

たとえば、ヨガやマインドフルネスなどの研修、社内ジムの設置、マッサージサービスの提供など、さまざまなプログラムがあります。リフレッシュプログラムを通じて、従業員はストレスを軽減し、心身のバランスを整えることができます。また、リフレッシュプログラムは、従業員同士の交流を深める機会にもなり、組織全体の活性化にもつながります。

【関連記事:メンタルヘルスを健康に保つには運動がいい?企業による取り組み事例も解説!

外部相談窓口の設置

社内だけでは解決が難しいハラスメントなどの問題については、外部相談窓口の設置が有効です。

専門のカウンセラーに相談できる窓口を設けることで、従業員は安心して悩みを打ち明け、適切なサポートを受けることができます。外部相談窓口は、プライバシー保護の観点からも重要です。従業員が安心して利用できるよう、周知徹底を図ることが重要です。

【関連記事:職場でパワハラが発生した場合の慰謝料はどれくらい?3つの裁判事例と相場を紹介

EAP(従業員支援プログラム)の導入

EAP(従業員支援プログラム)は、従業員とその家族のメンタルヘルスや生活上の問題をサポートするプログラムです。専門のカウンセラーによる相談、情報提供、研修など、さまざまなサービスが行われます。

EAPの導入は、従業員のメンタルヘルス対策だけでなく、生産性向上や離職率低下にも効果的です。企業規模に関係なく、導入を検討する価値があります。

【関連記事:EAP(従業員支援プログラム)を徹底解説!導入のメリット・デメリット、具体的な内容とは?

これらの取り組みは、単独で実施するよりも、組み合わせて相乗効果を狙うことが重要です。自社の状況に合わせて、最適な組み合わせを検討しましょう。

メンタルヘルス×組織開発の効果測定

メンタルヘルスと組織開発をかけ合わせる取り組みについては、費用対効果も意識しながら、適切な評価を行うことが重要です。効果測定を行うことで、投資に見合った成果が出ているかを確認し、改善点を洗い出し、より効果的な施策につなげることができます。効果測定は、取り組みのサイクルを回すうえで欠かせない要素です。

効果測定の指標

メンタルヘルス×組織開発の効果測定には、定量的な指標と定性的な指標の両方を用いることが重要です。多角的な視点から評価することで、より正確な現状把握が可能となります。

【定量的な指標】

数値で表せる指標を用いることで、客観的な評価が可能となります。指標の例は以下のとおりです。

指標 説明
ストレスチェック実施率 ストレスチェックを受けた従業員の割合
高ストレス者割合 ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された従業員の割合
休職者数・復職率 メンタルヘルス不調による休職者数とその後の復職率
離職率 一定期間における従業員の離職率
残業時間 従業員の平均残業時間
有給休暇取得率 従業員の有給休暇取得率
生産性(売上高、利益率など) 企業の生産性を示す指標
従業員エンゲージメントスコア 従業員エンゲージメントサーベイなどによるスコア

【定性的な指標】

数値化が難しい指標も、取り組みの効果を測るうえで重要な情報となります。指標の例は以下のとおりです。

指標 説明
従業員からの意見・要望 アンケートや1on1ミーティング等で得られた意見・要望
職場環境の雰囲気 相談しやすい雰囲気、風通しの良さなど
チームワークの向上 チーム内での協力体制、コミュニケーションの活性化など
組織風土の変化 チャレンジ精神、心理的安全性の醸成など

メンタルヘルスと組織開発に関するよくある質問

ここでは、メンタルヘルスと組織開発に関するよくある質問にお答えします。

メンタルヘルス対策はどこから始めたらいいですか?

メンタルヘルス対策の第一歩は、現状を把握することです。

ストレスチェックの実施と集団分析は、従業員のメンタルヘルスの状態と組織の状態を客観的に把握するうえで有効です。

ストレスチェックや集団分析を行ったうえで、相談窓口の設置や研修の実施など、具体的な対策を検討します。まずは小さく始めて、徐々に取り組みを広げていくことが大切です。焦らず、継続的に取り組むことで、着実に効果が現れてきます。

組織開発にどれくらいの費用がかかりますか?

組織開発にかかる費用は、企業規模や実施内容によって大きく異なります。

たとえば、ストレスチェックの実施は、従業員数に応じて費用が変わります。また、研修は内容や講師によって費用が変動します。組織開発コンサルタントに依頼する場合、数百万から数千万かかる場合もあります。

まずは、ストレスチェックと集団分析を通じて自社のニーズを明確にし、職場改善の優先順位を明らかにすることが重要です。

メンタルヘルス不調の社員への対応はどうすれば良いですか?

メンタルヘルス不調の兆候が見られる社員には、まずは声をかけることが大切です。しかし、不用意な声かけは逆効果になる場合もあります。「最近の様子が気になるけれど、何かあった?」など、相手の状況を尋ねるようなオープンな質問で、安心して話せる雰囲気を作りましょう。

無理に話を聞き出そうとせず、傾聴する姿勢を心がけてください。必要に応じて、産業医や専門機関への相談を促すことも重要です。

また、会社としてどのような支援ができるかを具体的に提示することも有効です。休職制度や復職支援プログラムなど、利用できる制度を説明し、安心して休める環境を整えることが重要です。プライバシーに配慮しながら、適切な対応を行いましょう。

【関連記事:職場環境改善の鍵!ストレスチェックで高ストレス者に対応するための3ステップ

どのような研修を実施すれば効果的ですか?

効果的な研修は、企業の課題や従業員のニーズに合わせて設計する必要があります。

たとえば、管理職向けには、部下のメンタルヘルスに配慮したマネジメントに関する研修が有効です。一般社員向けには、ストレスマネジメントやコミュニケーションスキル向上に関する研修などが効果的です。

また、ハラスメント防止研修も重要な研修の一つです。研修は、座学だけでなく、グループワークやロールプレイングなどを組み込むことで、より実践的な学びを提供できます。e-ラーニングを活用することで、場所や時間にとらわれずに学習できるため、多様な働き方に対応できます。

中小企業でも組織開発は必要ですか?

組織開発は、企業規模に関係なく必要です。

とくに中小企業では人材不足が深刻な課題となっている場合が多く、従業員のメンタルヘルスを良好に保ち、定着率を高めることが重要です。組織開発を通して、従業員の働きがいを高め、生産性向上につなげることは、中小企業の成長に不可欠です。

大企業に比べてリソースが限られている中小企業こそ、効率的な組織開発が必要です。外部の専門家を活用したり、公的支援制度を利用したりするなど、自社に合った方法で組織開発を進めましょう。

組織開発を成功させるためのポイントは?

組織開発を成功させるためには、経営層のコミットメントが不可欠です。トップダウンで推進するだけでなく、従業員の声を聞きながら、ボトムアップでの取り組みも重要です。

組織開発は一過性のイベントではなく、継続的なプロセスであることを認識し、PDCAサイクルを回しながら改善していく必要があります。また、明確な目標設定と効果測定を行うことで、進捗状況を把握し、軌道修正していくことが重要です。

組織全体で共通認識を持つために、定期的な情報共有や研修の実施も効果的です。

メンタルヘルスに意識を向けた組織開発で生産性を高める

笑顔で対話するビジネスパーソン

メンタルヘルスと組織開発は、企業の成長にとって切り離せない重要な要素です。従業員のメンタルヘルスが良好な状態であれば、生産性や創造性の向上、離職率の低下など、組織全体のパフォーマンス向上につながります。

逆に、メンタルヘルス問題を軽視すると、組織に悪影響を及ぼし、生産性の低下や離職率の増加、企業イメージの低下につながることがあります。

メンタルヘルスと組織開発への投資は、企業の持続的な成長に不可欠であり、結果として企業価値の向上につながります。まずは小さな一歩からでも、メンタルヘルスを重視した組織開発に取り組んでみましょう。