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ストレスチェックの実施状況について解説!問題点と効果とは?

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日本におけるストレスチェックの実施状況

ストレスチェック制度の義務化後、厚生労働省はストレスチェック制度の実施状況を公表しています。ストレスチェックの実施率、従業員の受検率、医師による面接指導の実施率について見ていきましょう。

ストレスチェックの実施率

ストレスチェックを実施した事業者の割合は、全体的に高く、事業規模が大きいほど実施率は高くなっています。特に1000人以上の大企業のほぼ全てが実施という状況です。大企業がリソースと組織的な義務感に富んでいるため実施しやすい環境にあることが関連しています。一方、従業員が100人未満の小規模事業者では、実施率が80%を下回っています。

ストレスチェック実施率:全体の実施率: 82.9%

事業場規模別実施率
50~99人 78.9%
100~299人 86.0%
300~999人 93.0%
1000人以上 99.5%

参考文献:厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況」(平成29年7月)

ストレスチェックの受検率

ストレスチェックの受検率は全体的に80%程度と高いものの、事業場の規模に関わらず、約80%に留まっています。ストレスチェックの実施状況が良好な大企業でもストレスチェックの受検率は小規模事業者との差はほとんどありません。

ストレスチェックの受検率:全体の受検率: 78.0%

事業場規模別受検率
50~99人 77.0%
100~299人 78.3%
300~999人 79.1%
1000人以上 77.1%

参考文献:厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況」(平成29年7月)

ストレスチェック後の医師による面接指導実施率

医師による面接指導の実施率は非常に低く、0.6%にとどまっています。これは、高ストレスが判定された従業員が適切なフォローアップを受けていない可能性が高いことを示しています。また、事業規模に関わらず医師による面接指導の実施率が低いため、ストレスチェック後の制度が整えられていないケースが多いことが考えられます。

医師による面接指導の実施率:全体での実施率0.6%

事業場規模別実施率
50~99人 0.8%
100~299人 0.7%
300~999人 0.6%
1000人以上 0.5%

参考文献:厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況」(平成29年7月)

ストレスチェック実施状況に対する問題点と効果

ストレスチェックの実施状況のデータからストレスチェック実施における問題点が分かります。ストレスチェックの問題点について解説していきます。

ストレスチェック実施の問題点:小規模事業者へのサポートが必須

事業規模が小さいほどストレスチェックの実施率が低い傾向です。事業規模に関わらずストレスチェックが実施できるサポート体制を築く必要があります。小規模事業者では職場の文化やリソースの限界によりストレスチェックの実施が難しくなっている可能性があります。ストレスチェックの実施ための人的資源の不足などを補助するツールやシステムの補助が必要です。

ストレスチェック実施の問題点:医師による面接指導の充実

医師による面接指導の実施が極めて限られていることは、ストレスチェックの結果が十分に活用されていないことを意味します。ストレスチェックにより高ストレス者と判断された従業員へのサポートを充実させる必要があります。

ストレスチェック実施による効果

ストレスチェックの実施は従業員のメンタルヘルスの改善に良い効果をもたらしています。ストレスチェックに参加し、職場環境の改善を経験したグループは、参加しなかったグループと比較して心理的な苦痛が著しく改善されたと報告されています。従業員のメンタルヘルスを向上させるには、ストレスチェックだけでなく、ストレスチェックの結果を基にした職場環境の改善が不可欠です。職場環境を改善することで、ストレスチェックの効果を最大限に活用できます。

参考文献:Effect of the National Stress Check Program on mental health among workers in Japan: A 1-year retrospective cohort study

ストレスチェックの活用を推進するための対策とは?

ストレスチェック実施後に浮かび上がった問題点を解消し、ストレスチェックの活用推進するための対応策を解説していきます。

ストレスチェック実施のためのリソースの配分

小規模事業者に対しては、政府や業界団体からの支援を強化し、ストレスチェックの実施に必要なリソースを提供することが必要です。ストレスチェックの制度を充実させるための補助金やシステム、人的資源の支援などによりストレスチェック制度を充実させることができます。

従業員への教育と啓発

従業員がストレスチェックの重要性を理解し、積極的に参加するようにするための教育プログラムを強化する必要があります。ストレスチェックを受検することの意義や高ストレス者と判断された場合に、医師による面接指導を受ける利点を従業員に理解してもらうことでストレスチェックの価値を高めることができます。ストレスチェックの正しい利用は、従業員のメンタルヘルスを守ることになり、従業員と事業者双方にとってメリットがあります。

医師による面接指導の質の向上

医師による面接指導の質を高める取り組みと面接指導を受けやすいシステムが必要です。国外事例では、イギリスのHealth and Safety Executive (HSE)では職場でのメンタルヘルスを支援するための明確なガイドラインを提供しており、ストレス管理のための具体的なステップを企業が踏むことを推奨しています。日本でも同様のガイドラインを設け、より具体的な対策を推進することが有効です。

まとめ

ストレスチェックの実施が義務化され、ストレスチェックが多くの事業者で実施されています。ストレスチェックの実施に対していくつかの問題点はあります。しかし、実施率は高くなっており、ストレスチェックの実施による従業員のメンタルヘルスへの好影響も出てきています。今後の課題としてストレスチェックの実施後の活用を充実させる必要があります。

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