更新日:2023/04/21
ストレスチェックには、80項目・57項目・23項目の3種類があります。
項目数が多いほどより詳細な調査をおこなえるので、労働環境の見直しに力を入れたい事業場は、詳細な結果を測定できる80項目版ストレスチェックの実施をぜひご検討ください。
そこでこの記事では、80項目版ストレスチェックにはどのような特徴があるのか、また具体的な質問内容から57項目版との違いを解説いたします。
80項目版ストレスチェックでは、現在一般的に実施されている57項目版ストレスチェックに加え、23個の質問に追加で回答する必要があります。
質問数が多いぶん回答に10分程度の時間を要しますが、従業員の仕事に対するストレスに加え、働きがいや上司のマネジメント、人事評価に対するストレスについても把握できるのが特徴です。
ストレスチェックは部署や課など、一定のグループから得た意見を調査する「集団分析」により、より詳細なデータを測定できます。
80項目版ストレスチェックは項目数が多いので、集団分析により57項目版よりも的確な問題点を把握でき、社内環境の改善に力を入れられます。
ただし小規模な集団分析は個人が特定されるリスクがあるため、厚生労働省では10人未満の分析結果を提供していない点に注意が必要です。
そのため集団分析をおこなう際は、10人以上のグループを集計の対象にしましょう。
80項目版ストレスチェックは、57項目版・23項目版と比較すると、それぞれ以下のような違いがあります。
57項目版ストレスチェックは、厚生労働省が推奨している一般的なツールです。
5分程度で回答できるので、80項目版よりも手軽に取り組め、従業員が仕事の手を止めることなく実施できます。
職場でストレスを感じる原因や、その原因に対する従業員のストレスの度合いを把握できるので、現在多くの企業で導入されているのが特徴です。
23項目版ストレスチェックは、57項目版ストレスチェックを簡略化したものです。
80項目版ストレスチェックよりも質問数が3分の1以下になるので、詳細なデータを得ることは難しいでしょう。
従業員の回答からストレスの原因や社内の問題点を分析し、職場環境の改善へとつなげたい場合は、より詳細なデータを得られる80項目版ストレスチェックの導入をご検討ください。
80項目版ストレスチェックでは、57項目版の結果に加え、以下のようなデータを測定できるのが特徴です。
57項目版ストレスチェックでは担当する仕事量が多いなどの身体的負担を測定できますが、80項目版では精神的な負担や、役割のなかで生じるジレンマなども測定できるのが違いです。
80項目版ストレスチェックでは、以下のような質問から精神的負担や役割葛藤を測定できます。
このような質問の結果から身体的負担と精神的負担の双方を把握でき、心身ともにストレスに配慮した職場環境を整備できるのです。
80項目版ストレスチェックでは仕事の意義や役割などの「作業レベル」、上司の統率力などの「部署レベル」、公正な人事評価などの「事業場レベル」で仕事の資源を分析できるのも特徴です。
具体的には以下のような質問から、職場環境要因を測定できます。
このような質問により、企業のなかで従業員がそれぞれどのような役割を担っているか明確に理解しており、上司や経営層との信頼関係が成り立っているかを測定できるのです。
ワーク・エンゲージメントとは、仕事に対する誇りややりがいを感じることで、従業員が熱心に仕事に取り組む原動力になります。
80項目版ストレスチェックでは、以下のような質問により、ワーク・エンゲージメントを測定できます。
従業員の会社へのエンゲージメントが高まれば、やりがいを感じながら長く働いてもらえるので、採用や教育にかかる費用や時間の削減にもつながります。
ソーシャルキャピタルとは従業員の協調行動の活発化が社会の効率性を高めるという考えで、信頼・規範・ネットワークといった社会組織が重要だと考えられています。
80項目版ストレスチェックでは、以下のような質問によって、ソーシャルキャピタルを測定できます。
これらの質問により職場の一体感が測定できるので、分析結果を参考にしてコミュニケーションの改善を図れます。
セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなど、職場でのいじめや嫌がらせを把握することも、事業を経営していくうえで大切な取り組みです。
80項目版ストレスチェックでは、以下のような質問により、実態の把握が難しいハラスメントを調査できます。
ストレスチェックは個人が特定されることがなく、ハラスメントを受けている従業員でも意見を伝えやすいので、いじめや嫌がらせを防げます。
80項目版ストレスチェックは、57項目版と比較すると職場環境を多角的に分析できる違いがあるので、会社全体の問題点を把握し、適切な対応がとれます。
従業員のメンタルヘルスや生産性の向上にもつながるので、ぜひ80項目版ストレスチェックをご活用ください。