更新日:2025/06/06
ストレスチェックの料金がいくらかかるのか、今年度の実施に向けて不安ではありませんか。
本記事では、ストレスチェック料金の相場を人数規模別・実施方法別(紙媒体・WEBシステム)にくわしく解説します。また、料金に含まれるサービス内容や追加費用が発生するケース、IT導入補助金など、費用を抑えるための具体的な方法もご紹介します。さらに、ストレスチェック実施の流れや、導入しやすいツール選びのポイントも確認しましょう。
予算に応じた最適なストレスチェック実施方法が見つかり、安心して従業員のメンタルヘルスケアに取り組めるようにぜひ最後までご覧ください。
ストレスチェックとは、労働安全衛生法に基づき、事業者が従業員に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査です。年に1回の実施が義務付けられています。
ストレスチェックの実施により、従業員自身のストレスへの気づきを促し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐとともに、職場環境改善につなげることが目的です。
具体的には、以下の目的で実施されます。
ストレスチェックは、医師や保健師などの専門家によって作成された質問票を用いて行われます。質問票には、主に下記のような項目が含まれます。
ストレスチェックの結果は、個別に従業員に通知されます。高ストレス者と判定された従業員には、医師による面接指導が推奨されます。面接指導は、従業員が希望した場合にのみ実施され、事業者は面接指導を受けるよう勧奨する義務があります。面接指導の結果、医師が必要と認めた場合は、就業上の措置(作業の転換、労働時間の短縮など)を事業者に勧告することができます。
ストレスチェックの実施にあたっては、従業員のプライバシー保護が重要です。事業者は、ストレスチェックの結果を適切に管理し、他の従業員や第三者に漏洩しないよう努めなければなりません。また、ストレスチェックの結果を人事評価などに利用することは禁止されています。
【関連記事:ストレスチェック基本の「き」がわかる!導入手順・実施方法・注意点まとめ】
ストレスチェックの料金は、いくつかの要素から構成されています。サービス内容や実施規模によって料金が変動するため、事前に内訳をしっかりと確認することが重要です。
基本料金には、一般的に以下のサービスが含まれています。
サービス内容 | 詳細 |
---|---|
ストレスチェック実施システムの利用料 | WEBシステムを利用したストレスチェックの実施に必要な費用です。 |
質問票作成・配布 | ストレスチェックで使用する質問票の作成と、対象者への配布にかかる費用です。紙媒体の場合は印刷・郵送費などが含まれる場合もあります。 |
回答データの集計 | 回答されたデータの集計が行われます。集団分析レポートの作成費用が含まれる場合もあります。 |
高ストレス者への面接指導勧奨 | ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された場合に、医師による面接指導を勧奨するための通知費用などが含まれます。 |
実施事務手数料 | ストレスチェック実施に関わる事務的な手続きにかかる費用です。 |
これらのサービス内容はサービス提供事業者によって異なるため、必ず事前に確認しましょう。
基本料金以外に追加費用が発生するケースもあります。主な例としては以下のようなものがあります。
これらの追加費用のうち、集団分析や労基署への報告書作成など、確実に必要となる部分が基本料金に含まれるサービスであれば、合理的だと言えるでしょう。
【関連記事:ストレスチェック集団分析結果の見方は?部署・年代・階層別の傾向と対策を解説】
ストレスチェックの料金は、実施人数、実施方法、提供されるサービス内容によって大きく異なります。相場を把握することで、適切な予算計画を立てることができます。
一般的に、ストレスチェックの実施費用は受検者数が増えるほど単価が下がります。少人数の場合は、高めの単価になる傾向があります。
人数規模 | おおよその料金相場(1人あたり) |
---|---|
~50人 | 4,000円~7,000円 |
51人~100人 | 3,000円~6,000円 |
101人~300人 | 2,000円~5,000円 |
301人~ | 1,500円~4,000円 |
上記はあくまで目安であり、業者やサービス内容によって変動します。正確な料金は、複数の業者から見積もりを取得して比較検討することが重要です。
ストレスチェックの実施方法は、大きく分けて紙媒体とWEBシステムの2種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、料金相場も異なります。
紙媒体での実施は、かつてはWEBシステムに比べて費用が抑えられる傾向がありました。しかし、集計や分析に手間がかかるため、人件費などの間接費用が発生することから、近年はWEB実施のほうが安価となるケースも増えています。また、回答の入力ミスや紛失のリスクも考慮する必要があります。
人数規模 | おおよその料金相場(1人あたり) |
---|---|
~50人 | 2,000円~10,000円 |
51人~ | 1,500円~6,000円 |
WEBシステムでの実施は、初期費用は高くなる傾向がありますが、回答の自動集計や分析機能により、担当者の負担を軽減できます。また、回答の入力ミスや紛失のリスクも低く、セキュリティ面でも安心です。
人数規模 | おおよその料金相場(1人あたり) |
---|---|
~50人 | 3,000円~6,000円 |
51人~ | 2,000円~5,000円 |
【関連記事:ストレスチェックの運用ガイド|効果的な実施と活用で職場環境を改善】
ストレスチェックの実施には費用がかかりますが、工夫次第で費用を抑えることが可能です。ここでは、補助金の活用や費用を抑えるためのポイントを紹介します。
ストレスチェック導入に際しては、活用できる補助金制度が存在します。代表的なものとしては「IT導入補助金」があります。この補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する際に、その費用の一部を補助するものです。ストレスチェックシステムも対象となるため、積極的に活用を検討しましょう。ただし、補助金の要件や申請期間などは年度によって変動するため、最新の情報を確認することが重要です。
IT導入補助金を利用することで、ストレスチェックシステムの導入費用の一部を補助金で賄うことができます。補助対象となる経費や補助率、申請方法などは、IT導入補助金の公式サイトで確認しましょう。申請期間が限られているため、余裕を持って準備を進めることが大切です。
【関連記事:IT導入補助金でストレスチェックツール導入!従業員のメンタルヘルス対策と離職防止に効果的な方法を解説】
参考:IT導入補助金2025
補助金の活用以外にも、費用を抑えるためのポイントがいくつかあります。以下にまとめたので、ストレスチェック導入の際に参考にしてください。
ポイント | 詳細 |
---|---|
実施方法の選択 | ストレスチェックの実施方法は、紙媒体とWEBシステムの2種類があります。一般的に、WEBシステムの方が費用を抑えることができます。紙媒体の場合は、印刷費や郵送費、集計作業などにかかる人件費が発生するため、WEBシステムと比較して費用が高額になる傾向があります。実施規模や社内環境に合わせて最適な方法を選びましょう。紙媒体と併用できるツールを選ぶのも一案です。 |
ツールの機能比較 | ストレスチェックツールによって、料金や機能が異なります。必要な機能が基本料金に含まれているものを選べば、費用を抑えられます。 |
業務効率化 | ストレスチェックの実施にあたり、どんなに見かけ上の費用が抑えられたとしても、工数が増えたり導入に手間がかかったりするのでは意味がありません。導入の手間や従業員への周知のしやすさなどに配慮されているツールを選べば、残業代などの間接コストがカットできるでしょう。 |
これらのポイントを踏まえ、自社に最適な方法でストレスチェックを実施し、従業員のメンタルヘルス対策に役立てましょう。
【関連記事:【企業必見】ストレスチェックでわかる退職リスク!離職防止のための具体的な対策と活用事例】
ストレスチェックの実施は、法律で定められた手順に従って行う必要があります。以下に、その大まかな流れをステップごとに解説します。
ストレスチェックを実施する前に、実施時期、対象者、実施方法、個人情報の取扱いなどを含めた実施計画を策定します。
策定した計画に基づき、実際にストレスチェックを実施します。労働者に質問票を配布し、回答を回収します。実施方法は、紙媒体またはWEBシステムなど、事業場の状況に合わせて選択できます。
紙媒体で実施する場合は、回答済みの質問票を回収し、集計作業を行います。個人情報の取り扱いには十分注意が必要です。
WEBシステムを利用する場合は、システムへのログイン情報を労働者に配布し、オンライン上で回答をしてもらいます。システムによっては、自動的に集計が行われるため、事務作業の負担を軽減できます。
ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された労働者には、医師による面接指導を勧奨します。面接指導を受けるかどうかは、労働者本人の意思に委ねられます。事業者は、面接指導の結果にかかわらず、従業員を解雇したり、不利益な扱いをしたりしてはいけません。
回収した質問票や面接指導の結果を基に、医師による集団分析を行います。集団分析では、職場全体のストレス要因を分析し、職場環境改善につなげることが目的です。個人の回答内容が特定されるような形で結果を公表することは禁止されています。
ストレスチェックの実施記録や結果は、適切に記録・保存する必要があります。保存期間は、実施日から5年間です。
ストレスチェックの実施後、職場環境改善に向けた具体的な取り組みを行い、その結果を評価・検証することが重要です。また、従業員の健康状態の変化を把握するため、定期的なフォローアップを実施することも効果的です。継続的なPDCAサイクルを回すことで、より効果的なストレス対策を実施できます。
【関連記事:ストレスチェックの受検を従業員に拒否されたら?受検率を高めるポイントを解説】
ストレスチェックツールを選ぶ際には、自社の規模やニーズ、予算に合わせて最適なツールを選ぶことが重要です。以下のポイントを参考に、比較検討してみましょう。
ストレスチェックツール導入にかかる手間や時間は、ツールによって大きく異なります。クラウド型のツールであれば、手軽に導入できる場合もあるでしょう。
一方で、オンプレミス型の場合は、サーバーの準備や設定などが必要となるため、導入に時間がかかる傾向があります。自社のIT環境や人的リソースを考慮し、導入しやすいツールを選びましょう。
また、従業員へのアカウント発行やツールの使用方法の説明なども考慮する必要があります。導入サポートが充実しているツールを選ぶことで、スムーズな導入を実現できます。
ストレスチェックの実施においては、従業員への受検勧奨やリマインダー送信、未回答者へのフォローアップなどが重要です。ツールによっては、これらの機能が含まれている場合もありますので、実施担当者の負担軽減を考慮してツールを選びましょう。
また、従業員がストレスチェックをスムーズに受検できるよう、操作性の良いツールを選ぶことも大切です。スマートフォンやタブレットに対応しているかどうかも確認しておきましょう。
ストレスチェック実施後は、結果を集計・分析し、職場環境改善につなげる必要があります。ツールによっては、自動的に集計・分析を行い、レポートを作成してくれる機能が備わっているものもあります。レポートの内容やカスタマイズ性なども確認し、自社のニーズに合ったツールを選びましょう。また、高ストレス者への面接指導勧奨者がいち早くわかる機能なども、担当者の負担軽減につながります。
ストレスチェックで得られた情報は、個人情報保護法に基づき適切に管理する必要があります。ツールを選ぶ際には、セキュリティ対策が万全であるかどうかを確認しましょう。データの暗号化やアクセス制限、サーバーの設置場所なども重要な選定基準となります。プライバシーマークやISMSなどの認証を取得しているツールは、セキュリティ対策がしっかり行われていると判断できる一つの目安となります。
ストレスチェックツール導入後、操作方法や分析結果に関する質問など、さまざまな疑問が生じる可能性があります。ツール提供事業者のサポート体制が充実しているかどうかは、非常に重要なポイントです。メールやチャットなどで気軽に問い合わせができるか、FAQやマニュアルが充実しているかなどを確認しましょう。
ストレスチェックの目的は、職場環境改善につなげることです。単に実施するだけでなく、その結果を分析し、具体的な対策を立てる必要があります。ツールによっては、職場環境改善のためのコンサルティングサービスを提供している場合もあります。自社だけで職場環境改善を進めるのが難しい場合は、このようなサービスの利用も検討してみましょう。また、ストレスチェックの結果に基づいて、適切な研修プログラムなどを提案してくれるツールもあります。
【関連記事:50人未満の事業場におけるストレスチェック:実施するメリットと方法】
ストレスチェックの料金は、実施人数、実施方法、サービス内容によって大きく変動します。この記事では、料金相場や内訳、費用を抑えるための補助金活用やポイントなどを解説しました。WEBシステムを利用した方が費用を抑えられる傾向があり、IT導入補助金を活用できる可能性もあります。
ストレスチェック導入にあたっては、費用面だけでなく、導入のしやすさ、実施段階でのスムーズさ、集団分析のしやすさ、情報管理・安全性、サポート体制、職場改善に活かせるかどうかも考慮し、自社に最適なツールを選びましょう。適切なストレスチェック実施で、従業員の健康を守り、生産性の高い職場づくりを目指しましょう。