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「自らこの仕事を選んだ」と思えたら、毎日が変わる だから私は経理を選ぶ 第1回
従来のワークスタイルは2020年のコロナ禍で大きな変革がありました。
在宅勤務などのテレワークや、間引き出社などといった新しい働き方をすることになった人も多くいる現状で、経理という仕事を行っていくことの多くのメリットを「フリーランスの経理部長」として、コンサルティング業務を行う前田 康二郎氏が解説していく「だから私は経理を選ぶ」シリーズを掲載してまいります。
現在経理担当として、日々経理業務をされている方だけでなく、30代、40代になって「営業から経理」など職種を変えて転職を考えておられる方や、経理の仕事に興味がある方達にもあわせて読んでいただけれたら光栄です。
コロナで経理の新しい働き方が始まった
2020年は、経理にとっても大きな変革の年となりました。
これまではほとんどの人が「週5日、フルタイムで出社し、着座をして仕事をする」という仕事のスタイルだったのが、在宅勤務、間引き出社などといった新しい働き方をすることになった人も多くいることと思います。今までは、営業など、職務柄外出できる人達が訪問先の行き返りで少し休憩して息抜きしたりしているのを見ると、ずっと社内にいなければいけない経理は息抜きするようなタイミングすらありませんでした。しかし今は在宅で作業が一段落したら、各々の息抜きの仕方でリフレッシュできるようになったと思います。
そのように考えると、経理の仕事はかなり自由度が高まったように思うのです。
私は約10年前に会社員の経理から独立して、フリーランスの経理になりました。そして昨年あたりからテレワークの働き方についてのお問い合わせを多くいただくようになりました。無自覚だったのですが、自分の働き方がいわゆるテレワークだったのです。ある会社では席を作っていただき出社をして作業をし、ある会社ではメールでデータのやりとりだけをして在宅で作業をし、またある会社では、紙の請求書や領収書をトレーにまとめておいてもらって、週に1回それを回収しに行って、在宅で処理する、など、会社のアナログ度、デジタル度に応じて使い分けをしながら経理業務を請け負ってきました。
私は20代のころから、「経理って繁忙期以外は、やり方次第で毎日出社しなくても作業だけならできるし、何社か掛け持ちもできる仕事のはずだけどな」と思っていました。もちろんIPOの作業や上場企業の管理職など、膨大な作業量や、重要なマネジメントの業務を請け負っている方はそんなに簡単な話ではないですが、いわゆる純粋な経理作業に関しては、環境さえ整えば、会社でも家でもどこでも作業はできるのではないかと考えていました。それを実践し始めて10年になりますが、これまではやはり経営者の方からみると「経理は毎日出社してくれないと」という希望があり、そこの部分が難しいと私自身も思っていました。
ところが新型コロナウィルスの影響で、経営者の方達も「フルタイム出社」という概念だけではない、新しい働き方の概念も取り入れてくださるようになってきました。経理の最大のネックであった「仕事が特に急ぎでない日でも、フルタイムで在席していなければいけない」という要件が緩和されたのです。そう考えると、私の中で「やはり経理ほど良い職種ってないのではないか」という気持ちが改めて浮かびあがってきたのです。
有事にこそ本当に組織に必要な職種が鮮明になる
コロナ前までは「経理はAIでなくなる」「このソフトウェアを入れれば経理はいらない」など、経理を仕事にする人間にとってはネガティブなフレーズばかり見せられ、そして聞かされてきました。
そういった雑誌社などからの質問などにも、半分目くじらを立てながら、なぜその発想が間違っているのか、なぜ経理が必要なのか、ということを根気よくお伝えしてきました。2020年の緊急事態宣言の後、7月、8月に、久しぶりにクライアント先や知り合いの経理の人達に会った時に、多くの人が「コロナ禍でも経理だけ出社していた」というのを聞いて驚きました。しかし「なんだ、結局経理要るんじゃん」とも思いました。むしろ他の職種のほうが「この職種、本当に要るのかな…」「この職種なくても会社まわっちゃったよね…」というのが明らかになったのではないかと思います。有事にこそ本当に必要な職種というのは浮き上がってくるものなのではないでしょうか。
そこで私は改めて、「経理は必要だということはコロナ禍ではっきりしたのだから、これからは純粋に経理という仕事の良さをもっと伝えたい」と思うようになりました。それをどのように伝えようかと考えたときに、今まで誉め言葉として受け取ってこなかった言葉を誉め言葉として受け取ってみてもいいのかもしれない、と考えました。
たとえば、「経理は楽でいいよね」という言葉は、私は皮肉や軽蔑の意味でしか受け取ってこなかったのですが「羨ましいでしょ、つぶしが効くからめっちゃいいよ」と受け取ってみてもいいのかも、と思い始めました。そのような発想で「経理の良いところ」を書き出してみると数多く出てきて、「経理ってやはり良い仕事なのかも」と思うようになりました。
経理の仕事に就くことになった人達のさまざまな理由
そもそも経理社員の皆さんは、なぜ経理の仕事をすることになったのでしょうか。
私は子供の頃から数字が好きで、親が知り合いからもらってきたレジスターを貯金箱代わりにするような子供でした。大きくなったらスーパーのレジ打ちをしてみたいと思っていました。そして音楽番組のランキングなど、順位が変動するものに興味があり、「このアーティストは、毎週、7位→5位→4位だから、次は何位だろう」と音楽好きの友達と手作りでチャート表を作って予想合戦をしていたような子供でした。大学に進学して会計のゼミを専攻し、就職は銀行などお金扱う仕事をしたかったのですが、就職氷河期とも重なりなかなかうまくいきませんでした。そのような時にたまたま時期外れに応募していた会社の張り紙を大学の就職課で見つけて、やっと内定をもらえました。それが結果的には良かったのですが、大きな会社ではなかったので希望の部署を言えることができ、私は経理をやりたいと志望書を出したところ、その通り、新卒で経理部に配属させてもらえました。それからは経理の仕事を中心に、数社で働きました。ある会社ではIPOの準備業務、上場した後の開示業務、また別の会社では管理系全般の総務人事や内部統制などを経理もやりながら覚え、その後独立して今に至ります。
私の場合、経理という仕事を「自分から選んで」生きていました。だから経理という仕事そのものに可能性は見いだせても、ネガティブなイメージを持ったことがありません。
しかし、経理の仕事をしている人達の中には、「仕方なく」「なんとなく」「流れ着いて」経理の仕事をしている人達もたくさんいるということが、年を重ねてきてわかるようになりました。自分で選んだものには誰もが情熱を持って臨めますが、好きで選んだものでないものに、そこまでの情熱を注ぐのは難しいのではないかと思います。ただ、仕事というのは実際に1日のうち3分の1近くの時間を取られるものです。仕方なく仕事をするより、気分良く仕事ができたほうがいいに違いありません。そう思うには、「自分の意志でこの仕事を選び、そしてそれは正解だった」という納得感が大切なのではないかと考えました。
改めて経理という仕事のメリットを掘り下げてみる
今回のシリーズでは、経理マニアである私なりの「経理という仕事を選んで正解!なぜなら…」という経理の「トクトクポイント」をニッチなところまで毎回取り上げていきたいと思います。
「経理を仕事に選んでおいてラッキー」、「自分がこの経理という良い仕事を選んだんだ」と思っていただけるようにお伝えできればと思います。
「だから私は経理を選ぶ」
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- 第2回 経理は業界を横断しても初日から問題なく仕事ができる
- 経理のお得なポイントは「業界を横断して転職することが他の職種よりもハードルが低く、入社後も問題なく働いていける」という点にあります。その理由を詳しく解説していきます。
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- 第3回 経理は答えが一つしかない仕事が多い
- 経理社員はなぜ経理の本を買わないのか。ブラッシュアップのための努力をしていないのではない、経理の「継続性の原則」からその理由を詳しく解説していきます。
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- 第4回 経理は一度身に着いたスキルが劣化しにくい
- 経理は簿記の概念が変わらない限り、これからもスキルのベースとして役立ちます。80代、70代でも20代、30代と変わらずできる理由を詳しく解説していきます。
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- 第5回 経理にはスランプがない
- 経理の仕事というのは、人間の感情が悪影響を及ぼさない、数少ない、一生の仕事にしやすい職種の一つである理由を詳しく解説していきます。
筆者プロフィール
前田 康二郎(まえだ こうじろう)
流創株式会社代表取締役。エイベックスなど数社で管理業務全般に従事し、サニーサイドアップでは経理部長として株式上場を達成。その後中国・深センでの駐在業務の後、独立。現在は利益改善、コンプライアンス改善、社風改善の社員研修、コンサルティング、講演、執筆活動などを行っている。著書に『メンターになる人、老害になる人。』(クロスメディア・パブリッシング)、『社長になる人のための経理とお金のキホン』(日経BP 日本経済新聞出版)、他多数。
前田 康二郎 氏 連載記事
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- 「ちょっとした仕事への取り組み方の違い」をポイントに、経営者が安心して信頼するバックオフィスの社員には、どのような特長や習慣があるかを解説
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- だから私は経理を選ぶ
- 「経理という仕事を選んで正解!なぜなら…」という経理の「トクトクポイント」をニッチなところまで解説
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- AIやITで、経理は本当になくなるのか?~共存する人とAIとIT~
- AIをはじめとした IT技術でできる経理業務とできない業務の具体的な境界線、また、100%IT、100%人間、ではなく、「共存」が実務上重要であるという内容を解説
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- 数字の良い会社には「敬意」がある
- 財務情報を専門的に取り扱う「経理」が非財務情報の正しい理解をしておくことで、敬意のある行為が良い非財務情報を形成し、それが良い財務情報として連動し数値化されることを理論的に説明できます。
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- 社長と経理が共有すべき経理とお金のキホン
- 社長と経理が共有しておくべき経理やお金の基本概念などについて分かりやすくお伝えします。
※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。