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第11回健康経営トレーニングクイズ

更新日:2025/09/12

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昨今、健康経営が注目されていますがまだまだ知識に不安のある方もいらっしゃるかもしれません。

健康経営についてもっと知りたい人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、健康経営にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 メンタルヘルスとラインケア

職場のメンタルヘルス対策では、一次予防(未然防止)、二次予防(早期発見)、三次予防(復職支援)のバランスが重要です。特に、日常のコミュニケーションを通じて不調のサインに気づき、早期の相談につなげる「ラインケア」は健康経営の基盤となります。では、次のうち、ラインケアの観点から望ましい取り組みはどれでしょうか?

  1. 産業医や保健師などの専門職にすべて任せ、管理職の役割は最小限にとどめる
  2. ストレスチェックは法定だから実施するだけで十分で、結果の職場改善は不要
  3. 管理職が日常の声かけ・業務調整・相談促進を行い、必要に応じて産業保健スタッフと連携する

正解:C…管理職が日常の声かけ・業務調整・相談促進を行い、必要に応じて産業保健スタッフと連携する

解説:ラインケアは、一次予防(未然防止)と二次予防(早期発見)の要として、現場の管理職が部下の変化に気づき対話を重ね、必要に応じて産業医・保健師・外部EAP(従業員支援プログラム)へつなぐ役割を担います。具体的には、欠勤・遅刻の増加、表情・口数・作業速度の変化、ミスやヒヤリ・ハットの増加といったサインに早期に気づき、1on1で状況を丁寧に確認し、業務量の調整や期限の見直し、休憩の取り方の再設計を行います。あわせて、社内の相談窓口や医療資源の情報を「見える化」し、誰でもアクセスできる導線を用意することが重要です。

また、管理職向けの面談技法(傾聴・受容・要約・次の一歩の合意形成)や、エスカレーション基準(自傷他害リスク、長期の体調不良、業務に重大な支障等)の明確化、記録の取り方やプライバシー配慮を研修で標準化すると、対応の質が均一化します。ストレスチェックは「実施して終わり」ではなく、職場診断→改善策(業務配分・人員配置・休憩環境・コミュニケーション設計)→効果検証というサイクルで活用することが、重症化と離職の抑制、ひいては生産性・エンゲージメント向上に直結します。

問2 受動喫煙対策とオフィス環境

受動喫煙はがん・心血管疾患などのリスク要因であり、健康経営の観点でも対策が求められます。加熱式たばこを含め、屋内での分煙や換気ルールを明確にし、来訪者も含めた配慮が必要です。次のうち、職場の受動喫煙対策として適切なのはどれでしょうか?

  1. 執務室の一角に加熱式たばこ専用エリアを設ければ、周囲での喫煙も可能になる
  2. 屋内は原則禁煙とし、必要な場合は喫煙専用室や加熱式たばこ専用室を区分し、標識・換気等を整備する
  3. 喫煙は個人の自由のため、任意ルールとマナー啓発だけで十分である

正解:B…屋内は原則禁煙とし、必要な場合は喫煙専用室や加熱式たばこ専用室を区分し、標識・換気等を整備する

解説:受動喫煙は、がん・心血管疾患・呼吸器疾患などのリスクを高めるため、健康経営においては「屋内原則禁煙」を前提に環境面と行動面の両輪で対策を講じます。やむを得ず喫煙エリアを設置する場合は、喫煙専用室を区分し、出入口や室内に標識を掲示、差圧・換気・漏れ煙対策などを満たすことが必要です。執務室や会議室、休憩スペースなど不特定多数が利用する空間での喫煙は避け、来訪者・派遣社員・協力会社を含む全ての関係者に同一ルールを適用します。

 行動面では、禁煙・節煙支援(禁煙外来・ニコチン代替療法の補助、社内チャレンジ、カウンセリング等)を制度化し、単なる禁止ではなく「喫煙をやめやすい仕組み」を提供します。受動喫煙に関する相談窓口と是正プロセスを整備し、違反発生時の迅速な是正と再発防止を徹底。空調・換気の点検記録や室内濃度の測定、従業員アンケートによる体感評価を合わせて行い、効果検証と継続改善につなげることが成果最大化の鍵です。

問3 熱中症予防と暑さ指数(WBGT)

気候変動の影響により、夏季の熱中症リスクが高まっています。室温だけでなく、湿度・放射熱を考慮した暑さ指数(WBGT)を用いた管理が有効です。次のうち、職場の熱中症対策として適切なのはどれでしょうか?

  1. WBGTや作業強度を踏まえ、こまめな水分・塩分補給、休憩の確保、空調・送風・日射対策、服装の工夫を実施する
  2. 室温だけを基準にしていれば十分で、湿度や作業強度は考慮不要
  3. 熱順化のため、真夏でもマスクを常時着用し、発汗を促す目的で運動量を増やす

正解:A…WBGTや作業強度を踏まえ、こまめな水分・塩分補給、休憩の確保、空調・送風・日射対策、服装の工夫を実施する

解説:熱中症は湿度・放射熱・気流・作業強度・衣類・個々の体調など複合要因で発生します。WBGTはこれらを総合評価する指標で、屋内外を問わず管理に有効です。対策は、1:環境:空調・送風・遮熱、日陰やミストの設置、休憩所の冷房、保冷材・冷感タオルの配布、2:作業:作業強度・連続時間の調整、休憩頻度の明確化、炎天下・高湿環境での時間帯変更(早朝シフト等)、3:個人:水分・電解質の計画的補給、吸湿速乾の服装・帽子、健康状態の自己申告とバディ制度の導入、の3層で進めます。

特に梅雨明け直後は暑熱順化が不十分なことが多いため、1〜2週間かけて強度を段階的に上げる計画が有効です。屋内でも高湿・無風だとリスクが高まりやすく、厨房・倉庫・機械室などの局所対策が重要です。体調不良時の中止基準と救急対応フロー(症状別の初期対応、通報・搬送手順、冷却方法)を明文化し、WBGT・休業者数・救護件数・現場の体感アンケート等を定点的にモニタリングして見直していくことで、事故予防と生産性維持を両立できます。

この記事の執筆者
社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/