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資金調達も多様化?調達方法を使い分けよう

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1520年ぐらい前までは、資金調達先と言えば、ほぼ金融機関(銀行または信用金庫)の一択でした。もしくは、開業資金としてコツコツと貯めた預貯金(これを自己資金と言います)だったかと思います。

一方で、最近では、ベンチャーキャピタルまたはエンジェル投資家からの出資、親会社などからの借り入れ(グループファイナンス)、クラウドファンディングと言った資金調達方法も使うケースが増えてきました。

そこで、それぞれの資金調達方法のメリットやデメリットをご説明していきます。

ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家

ベンチャーキャピタルとは、主に未上場会社に資金を提供する代わりに株式を取得し、上場(株式公開/IPO)後に株式を売却して利益を得ることを目的とした組織です。

また同時に、上場に必要な経営ノウハウを提供する場合も多くあります。経営ノウハウは、未上場会社の取締役として参画する形で提供される場合が多いです。

エンジェル投資家とは、主にスタートアップ(創業直後の企業)または創業前の人たちに資金を提供する個人投資家や個人投資家グループです。

エンジェル投資家も上場後に株式を売却して利益を得ることが主な目的ですが、採算度外視で起業家の思いに共感して、起業家を応援する目的で資金が提供される場合もあります。

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から資金調達するメリットは以下の点が挙げられます。

  • 基本的に資金の返済が不要
  • 実績(会社の売上や利益)が無くても、資金調達することが可能
  • 取引先などを紹介して貰えることがある(営業負荷を下げることが可能)

一方で、デメリットは以下の点が挙げられます。

  • 上場のために急激な成長を求められる
  • 会社の意思決定に株主の意向を反映する必要がある
    ※議決権制限株式の発行による資金調達の場合は、当てはまらない時もある
  • 上場後の創業者利益が減る
  • 取得請求権付株式の場合、資金の返済を求められることがある

金融機関

資金調達と言えば、銀行や信用金庫の様な金融機関というイメージなので改めての説明は不要かもしれませんが、預かったお金を必要な人に貸し出すことを目的とした組織です。

資金調達という観点からは少し脱線しますが、もう少し詳しく説明しますと、銀行は、お金の貸し出し(これを金融仲介と言います)以外にも、信用創造と決済機能を有した営利目的の会社です。

信用金庫は、「地域で集めた資金を地域の中小企業と個人に還元することにより、地域社会の発展に寄与する」ことを目的とした非営利の協同組織です。

金融機関から資金調達するメリットは以下の点が挙げられます。

  • 相談先が沢山あり一つの金融機関がダメでも、別の金融機関から借りられることもある
  • メガバンクから借り入れが出来た場合、会社の信用が上がる
  • 会社・創業者の意向に合わせて成長が出来る

一方で、デメリットは以下の点が挙げられます。

  • 借りた金額以上の返済が必要(元本+金利の返済が必要)
  • 会社としての実績または確度の高い顧客候補が必要
    ※創業融資では、実績が無くても資金調達出来る場合がある
  • 事業計画書や返済計画などの書類作成負荷が高い(審査が厳しい)

グループファイナンス

グループファイナンスとは、親会社やグループの資金管理を行っている兄弟会社から借り入れを行うことです。

資金調達コストと呼ばれる、金利の支払い、配当金の支払い、事業計画書の作成負荷などを下げることが主な目的で導入される仕組みです。

グループファイナンスで資金調達するメリットは以下の点が挙げられます。

  • グループ内に余剰資金がある場合、早く調達することが出来る
  • グループの規模が大きい場合、低金利で借り入れることが出来る
  • 会社単独では資金調達出来ない場合でも、グループでは調達出来る時もある

一方で、デメリットは以下の点が挙げられます。

  • 当然ながらグループ企業が無い場合、利用出来ない
  • 税務処理が複雑になる場合がある
    ※子会社への寄附金処理を行う、市中金利で子会社に貸付を行うなどが必要
  • グループ会社の意向にそぐわない場合、資金調達出来ない時もある

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、不特定多数の人から主にお金の協力を求めることです。

お金以外にも、人手や原材料と言った現物出資という形で協力を求める場合もあります。

クラウドファンディングは、大別すると購入型・寄付型・株式型・融資型の4種類があります。

ここでは、購入型のクラウドファンディングとしてご説明します。

なぜならば、寄付型は自己資金に、株式型はエンジェル投資家に、融資型は金融機関に性質が似通っているため、メリットもデメリットもほぼ同じになるからです。

因みに、クラウドファンディングとは、群衆を意味する「crowd」と資金調達を意味する「funding」を組み合わせて作った造語と言われています。

クラウドファンディングで資金調達するメリットは以下の点が挙げられます。

  • 顧客及び利用者を、資金調達の前に見つけることが出来る
    ※他の資金調達方法の場合、資金調達後に顧客獲得という流れが多いですが、購入型の場合、顧客獲得後に資金調達という流れになる
  • 宣伝効果も期待出来るため、他の資金調達方法よりも金額を抑えられる
  • 資金調達出来なかった場合、商品・サービスコンセプトにニーズが無いことが分かる

 

一方で、デメリットは以下の点が挙げられます。

  • 他の資金調達方法よりも資金提供者が多くなるため、管理コストが高くなる
  • All or Nothing方式で目標金額未達の場合、1円も資金調達が出来ない
    ※All in方式であれば、支援された分の資金調達が可能
  • 法律上の通信販売に該当するため、商品の引渡時期などを明確にする必要がある
    ※他の資金調達方法よりも、計画通りに実施して行く必要がある

自己資金

自己資金も説明は不要かもしれませんが、個人であれば貯金、法人であれば現預金のことです。個人事業主であれば事業主借、中小企業であれば役員借入金なども自己資金と考えることも出来ます。

自己資金で資金調達するメリットは以下の点が挙げられます。

  • 資金調達コストが不要
    ※家族、親戚からの贈与で準備した場合、贈与税を支払う時もある
  • 資金使途の説明が不要(経営の自由度が高い)
  • まとまった自己資金がある場合、他の資金調達方法と組み合わせることが出来る

一方で、デメリットは以下の点が挙げられます。

  • 他の資金調達方法に比べて少額になる
  • 自己資金を貯めるまでに時間が必要
  • 財務レバレッジが1倍の場合、経営の効率性が悪い会社と見られる時がある

まとめ

5種類の資金調達の方法をご説明しました。

資金調達の目的、資金使途と資金調達方法のメリット・デメリットを照らし合わせた上で、最適な調達方法がどれなのかを検討なさることをお勧めします。

筆者プロフィール

森本 晃弘(もりもと あきひろ)

M&Sアドバイザリー代表

中小企業診断士

新規事業企画、連結会計コンサルティングの知識・経験を活かした、事業シナジーを生み出す全社・グループ視点での経営戦略立案を得意としている。

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