更新日:2019/07/05
15~20年ぐらい前までは、資金調達先と言えば、ほぼ金融機関(銀行または信用金庫)の一択でした。もしくは、開業資金としてコツコツと貯めた預貯金(これを自己資金と言います)だったかと思います。
一方で、最近では、ベンチャーキャピタルまたはエンジェル投資家からの出資、親会社などからの借り入れ(グループファイナンス)、クラウドファンディングと言った資金調達方法も使うケースが増えてきました。
そこで、それぞれの資金調達方法のメリットやデメリットをご説明していきます。
ベンチャーキャピタルとは、主に未上場会社に資金を提供する代わりに株式を取得し、上場(株式公開/IPO)後に株式を売却して利益を得ることを目的とした組織です。
また同時に、上場に必要な経営ノウハウを提供する場合も多くあります。経営ノウハウは、未上場会社の取締役として参画する形で提供される場合が多いです。
エンジェル投資家とは、主にスタートアップ(創業直後の企業)または創業前の人たちに資金を提供する個人投資家や個人投資家グループです。
エンジェル投資家も上場後に株式を売却して利益を得ることが主な目的ですが、採算度外視で起業家の思いに共感して、起業家を応援する目的で資金が提供される場合もあります。
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から資金調達するメリットは以下の点が挙げられます。
一方で、デメリットは以下の点が挙げられます。
資金調達と言えば、銀行や信用金庫の様な金融機関というイメージなので改めての説明は不要かもしれませんが、預かったお金を必要な人に貸し出すことを目的とした組織です。
資金調達という観点からは少し脱線しますが、もう少し詳しく説明しますと、銀行は、お金の貸し出し(これを金融仲介と言います)以外にも、信用創造と決済機能を有した営利目的の会社です。
信用金庫は、「地域で集めた資金を地域の中小企業と個人に還元することにより、地域社会の発展に寄与する」ことを目的とした非営利の協同組織です。
金融機関から資金調達するメリットは以下の点が挙げられます。
一方で、デメリットは以下の点が挙げられます。
グループファイナンスとは、親会社やグループの資金管理を行っている兄弟会社から借り入れを行うことです。
資金調達コストと呼ばれる、金利の支払い、配当金の支払い、事業計画書の作成負荷などを下げることが主な目的で導入される仕組みです。
グループファイナンスで資金調達するメリットは以下の点が挙げられます。
一方で、デメリットは以下の点が挙げられます。
クラウドファンディングとは、不特定多数の人から主にお金の協力を求めることです。
お金以外にも、人手や原材料と言った現物出資という形で協力を求める場合もあります。
クラウドファンディングは、大別すると購入型・寄付型・株式型・融資型の4種類があります。
ここでは、購入型のクラウドファンディングとしてご説明します。
なぜならば、寄付型は自己資金に、株式型はエンジェル投資家に、融資型は金融機関に性質が似通っているため、メリットもデメリットもほぼ同じになるからです。
因みに、クラウドファンディングとは、群衆を意味する「crowd」と資金調達を意味する「funding」を組み合わせて作った造語と言われています。
クラウドファンディングで資金調達するメリットは以下の点が挙げられます。
一方で、デメリットは以下の点が挙げられます。
自己資金も説明は不要かもしれませんが、個人であれば貯金、法人であれば現預金のことです。個人事業主であれば事業主借、中小企業であれば役員借入金なども自己資金と考えることも出来ます。
自己資金で資金調達するメリットは以下の点が挙げられます。
一方で、デメリットは以下の点が挙げられます。
5種類の資金調達の方法をご説明しました。
資金調達の目的、資金使途と資金調達方法のメリット・デメリットを照らし合わせた上で、最適な調達方法がどれなのかを検討なさることをお勧めします。
M&Sアドバイザリー代表。
中小企業診断士。
新規事業企画、連結会計コンサルティングの知識・経験を活かした、事業シナジーを生み出す全社・グループ視点での経営戦略立案を得意としている。