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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第29回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 年次有給休暇の5日消化義務について

2019年4月より、年次有給休暇(以下、年休)が10日以上付与される労働者を対象に、年5日の年休を取得させることが使用者に義務付けられています。この年5日の年休消化について述べたものとして、正しいものは次のうちどれでしょうか?

  1. 年5日に、半日年休と時間単位年休のいずれも含めることが出来る。
  2. 年5日に、半日年休は含めることが出来るが、時間単位年休は含めることは出来ない。
  3. 年5日に、半日年休も時間単位年休も含めることは出来ない。

正解:B…年5日に、半日年休は含めることが出来るが、時間単位年休は含めることは出来ない。

解説:2019年4月から、全ての企業において、年10日以上の年休が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年休の日数のうち年5日については必ず取得させることが使用者に義務付けられました。

原則、年休は1日単位での取得となりますが、労働者が半日単位での取得を希望して時季を指定し、使用者が同意した場合、半日単位で年休を与えることが可能です。この半日単位の年休は、本問の年5日の年休に含めることが出来ます。

続いて、時間単位の年休ですが、労使協定により、年5日を限度として時間単位で年休を与えることが可能です。しかし、半日単位の年休と異なり、時間単位の年休は本問の年5日の年休に含めることが出来ません。

もし、対象の労働者に年5日の年休を取得させなかった場合、使用者には最大30万円の罰金が課される可能性があるため、注意が必要です。

問2 自営業者を雇い入れた場合の雇用保険の扱い

飲食店を営むA社ではアルバイトを募集しています。ある日、近所の商店街で自営業を営んでいるX氏より、A社でアルバイトをしたいとの申込がありました。遅番シフトでの勤務を希望しており、手薄になる遅番の時間帯での勤務はA社にとっても都合がよく、アルバイトとして雇用する予定です。X氏ですが、1日5時間、週5日の勤務を希望しており、所定労働時間は週20時間を超える見込みです。X氏は自営業者でありますが、雇用保険の扱いはどうなるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 自営業者は個人事業主であるため、いかなる場合であっても雇用保険の被保険者にはならない。
  2. 自営業者であってもアルバイト収入が自営業収入を超える場合に限り、雇用保険の被保険者となる。
  3. 自営業者であっても週所定労働時間が週20時間超など要件に当てはまれば、他の労働者と同様に雇用保険の被保険者となる。

正解:C…自営業者であっても週所定労働時間が週20時間超など要件に当てはまれば、他の労働者と同様に雇用保険の被保険者となる。

解説:雇用保険法では、雇用される労働者を被保険者としており、会社の社長・役員や個人事業主は原則被保険者にはなりません。また労働者であっても、週所定労働時間が20時間未満もしくは継続して31日以上の雇用見込みがない、または対象者が昼間学生の場合は、被保険者とはなりません。

X氏は自営業を営む個人事業主ですが、今回のケースのように、自営業を営みつつも、他の事業主に雇用されて、週所定労働時間20時間以上かつ継続して31日以上の雇用見込みがある場合は、通常のルールと同様に雇用保険の被保険者となります。アルバイト収入、自営業収入のどちらが多いか等は関係がありません。

また、もしX氏がA社以外にも別のB社でもアルバイトをしているなど、同時に複数の会社で働いている場合(それぞれの会社で雇用保険の加入要件を満たす場合)については、生計を維持するに必要な「主たる賃金を受ける雇用関係」にある会社でのみ、雇用保険に加入することになります。

問3 半日単位年休を取得する際、一部労働が年休時間に及んでしまった場合の取り扱い

当社は、お昼の休憩前後を区切りに半日単位の年次有給休暇を認めています。午後から半日単位の年休を取得する予定の従業員がおりましたが、どうしても仕事が終わらず、本人もその仕事を片付けてから年休に入りたいと希望したため、1時間だけ延長して業務をしてもらいました。この場合の年休の処理の仕方として正しいものはどれでしょうか。次のうちから選んでください。

  1. 年休は半日単位で取得することとなっているため、この場合は年休とはならず、早退したものとして年休を取り消し、賃金を控除する。
  2. 午後からの年休を希望している以上、仮に労働者が希望していたとしても、業務を行わせることはそもそもしてはいけない。
  3. 1時間多く働いた分を所定時間外労働として、その時間に応じた賃金を支払う。

正解:C…1時間多く働いた分を所定時間外労働として、その時間に応じた賃金を支払う。

解説:そもそも年休は労働からの解放という趣旨であるため、本来の年休となる時間に労働させることは認められません。しかしどうしても仕事が片付かず、労働者からも同意を得たうえで、業務を行ってもらうことがあります。この場合に年休を取り消し、その後の早退した時間分を給料から控除すると、労働者にとって不利益が生じてしまいます。そのため、便宜的にその時間に応じた賃金(割増率を乗じない通常の時間単価)を支払い、残りの時間を年休の消化にするという方法が考えられます。

この方法が直ちに違法とまではいえないと考えられますが、本来の年休の趣旨からあまり好ましい方法とはいえません。あくまで例外的な対処法として、今後は時間単位の年休制度を導入するなどの検討をする方がよいでしょう。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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