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人事総務ご担当者様向け 第28回実務トレーニングクイズ

人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ

公開日:2024/05/07

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 会社行事(運動競技会)に伴う災害について

A社は、会社行事(費用は全額会社負担とする)として、全員参加型のバドミントン大会を開催しました。その競技中、従業員Xが転倒し、右肩を負傷してしまいました。この場合において最も適切な対応は何でしょうか。 次のうちから正しいものを選んでください。なお、個々の事情から競技会に参加できない従業員については、欠勤扱いとしています。

  1. 会社行事とはいえ、レクリエーションは業務には当たらず、業務上災害と判断される可能性はないため、健康保険で対応する。
  2. 業務上であるものの、ケガの要因が従業員Xの不注意によるものなので、従業員自身が自費で診療を受ける。
  3. 業務上災害に当たる可能性が高いため、労災による補償を申請する。

正解:C…業務上災害に当たる可能性が高いため、労災による補償を申請する。

解説:会社行事である運動競技会に伴う災害の業務上外の認定は、他の災害と同様に、運動競技会が労働者の業務行為またはそれに伴う行為として行われ、かつ、労働者の被った災害が運動競技に起因する場合は、労災と認められます。次の要件にすべて該当する場合は、事業場内の運動競技会が業務行為として扱われます。

①運動競技会は、同一事業場又は同一企業に属する労働者全員の出場を意図して行われるものであること

②運動競技会当日は、勤務を要する日とされ、出場しない場合、欠勤したものとして取り扱われること

つまり、全員参加が原則で、参加が強制されている場合にのみ、業務であると認められることになります。通達(平12.5.18 基発366号) 一方、運動競技に伴って発生した災害が、恣意的な行為や業務を逸脱した行為に起因する場合は、労災とは認められませんのでご注意ください。

問2 事業譲渡される従業員の雇用保険手続きについて

この度、会社の事業の一部を別の会社へ譲渡することになりました。それにあたり従業員の一部も譲受会社へ異動となります。対象となる従業員の労働条件は、以前と同じままで譲受会社に承継されることとなっており、従業員もそのことは承諾しています。 しかしながら、雇用保険の手続きについては、一旦譲渡会社での資格を喪失させ、譲受会社で新たに資格取得の手続きをする必要があります。この場合、資格喪失届に記載する「資格喪失原因」はどのようになるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 譲渡すること自体は会社の都合により行われるため、「事業主の都合による離職」となる。
  2. 労働条件はそのまま承継され、労働者も承諾していることから「事業主の都合による離職」とはならず、「移籍出向」などと同じ扱いになる。
  3. 譲渡が実行された時点で、譲渡会社との雇用契約が満了となるため、「契約期間満了」による離職となる。

正解:B…労働条件はそのまま承継され、労働者も承諾していることから「事業主の都合による離職」とはならず、「移籍出向」などと同じ扱いになる。

解説:今回のケースでは、譲渡会社における労働条件がそのまま譲受会社に引き継がれ、それについて労働者が承諾しているため、民法625条1項の「契約上の地位移転方式」という扱いになります。この場合は移籍出向などと同じ扱いとなり、「事業主都合」による離職とはなりません。そのため「雇用保険資格喪失届」の資格喪失原因の選択記入欄には、[2]の「3(事業主の都合による離職)以外の理由」と記入します。なお、雇用保険の空白期間なく継続されるため、「離職票」の交付は必要ありません。

問3 従業員が逮捕・拘留された場合の社会保険料について

A社に勤務する従業員Xがある日窃盗罪で逮捕されてしまいました。当然ですが、逮捕・拘留されている間、従業員Xは働くことができないので、報酬が発生しません。一方、その間も社会保険料は発生しますが、報酬が発生しないので、徴収しようにも困難が予想されます。このように万が一、従業員が逮捕・拘留されてしまった場合、社会保険料の取扱いはどうなるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 年金事務所に届け出ることで、育児休業取得時と同じように健康保険料、厚生年金保険料ともに免除される。
  2. 年金事務所に届け出ることで、健康保険料のみ免除される特例がある。
  3. 病気休職時と同じく保険料免除等の特例はなく、会社は保険料の支払いを免れることはできない。

正解:B…年金事務所に届け出ることで、健康保険料のみ免除される特例がある。

解説:従業員が社会保険の被保険者資格を喪失するのは主に「その事業所に使用されなくなったとき」です。これは解雇、退職、事業廃止など、事実上使用関係が消滅した日をいいます。一方、一般的な病気休職の場合、賃金を受けられないのは一時的なものであるため、被保険者資格は継続します。被保険者資格が継続するということは、当然ながら保険料も発生することになり、会社は保険料の納付義務を免れることはできません。

今回のケースである「逮捕・拘留」された場合は病気休職の場合と同じように解されそうですが、保険料の徴収を免れることのできる例外に当たります。健康保険に限り、刑事施設等に収容されているときは保険料の徴収が行われないという特例があります。一方、厚生年金にはこのような特例はなく、逮捕・拘留されている間も保険料の納付義務は発生します。

特殊なケースではありますが、結論、厚生年金保険料については免除等の特例はないため、病気休職のときと同じように保険料の徴収方法をあらかじめ検討しておくべきでしょう。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/