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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第30回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 パパママ育休プラスについて

今年の5月10日に子どもが出生した男性社員が、妻の育児休業復帰に合わせて来年の3月から5月末まで育児休業を取得したいと申し出ました。この男性の子どもは、彼が育児休業を開始しようとしている来年3月に0歳11カ月であり、保育園に入園する予定です。妻も同じく4月から職場復帰を予定しており、男性は入園直後の慣らし保育や子どもの体調管理をサポートするために育児休業を利用したいと考えています。なお、この育児休業は男性にとって初めてのものです。 この状況において、男性の育児休業に関する次の選択肢のうち、正しいものを選んでください。

  1. 子どもが保育園に通い始めた来年4月以降は、育児休業は取得できない
  2. 子どもが1歳になる前日(5月9日)まで、育児休業を取得できる
  3. 子どもが1歳になる前(0歳11カ月目)に育児休業を開始するので、5月末まで育児休業を取得できる

正解:C…子どもが1歳になる前(0歳11カ月目)に育児休業を開始するので、5月末まで育児休業を取得できる

解説:通常、育児休業は子の1歳の誕生日までとなっていまが、両親で時期をずらして育児休業を取得する場合、遅れて育児休業に入る親(このケースでは男性)は、子が1歳2か月になるまで、育児休業を取得することができる『パパ・ママ育休プラス』という制度があります。重要なポイントは、遅れて育児休業に入る親は、子が1歳になる前に育児休業に入る必要があるということです。

今回のケースでは、子の1歳の誕生日前に開始した男性の育児休業は、最長で7月9日まで取得可能です。この制度は、保育園に入所できない場合の育児休業の延長とは異なり、子どもが保育園に通園していても取得できる点が特徴です。

近年、出生時育児休業(産後パパ育休)など国の制度面の後押しもあり、男性が育児に積極的に参加する傾向が増えています。女性のように1年以上という休業はまだまだ少ないですが、子どもの入園時の慣らし保育の期間やママの職場復帰時などの段階で、2か月プラスできる『パパ・ママ育休プラス』を活用することで、更に選択肢が増えるかもしれません。

問2 社会保険の被扶養者認定について

20年以上勤務したA社を定年退職することとなった55歳のX氏は、最寄りのハローワークで基本手当を申請し、日額6千円を受給することとなりました。このX氏と同居する夫は、B社に勤務する会社員です。X氏は退職後の健康保険として、国民健康保険に加入すべきか、夫の健康保険組合の被扶養者となるか検討しています。この場合、X氏が夫の加入する健康保険組合の被扶養者となることができるか、次の選択肢より正しいものを選んでください。

  1. 基本手当は、健康保険被扶養者の収入要件(130万円未満)である収入には該当しないため、被扶養者に認定される
  2. 基本手当は健康保険被扶養者の収入にあたり、今回のケースの場合は収入要件(130万未満)を満たさないため被扶養者に認定されない
  3. X氏の基本手当給付日数は150日であり、年収が90万円(150日×日額6千円)となるため、収入要件(130万未満)を満たし被扶養者に認定される

正解:B…基本手当は健康保険被扶養者の収入にあたり、今回のケースの場合は収入要件(130万未満)を満たさないため被扶養者に認定されない

解説:被扶養者に該当する条件は、日本国内に住所(住民票)を有しており、被保険者により主として生計を維持されていること、および収入要件、同一世帯要件いずれにも該当した場合です。

収入要件とは年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ同居の場合、収入が被保険の収入の半分未満であること。

年間収入は、過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。(給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下、雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であれば要件を満たします。)

今回のケースは基本手当の額が日額3,611円を超えているため、被扶養者としては認定されません。被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれますので、ご注意ください。

問3 適用事業所以外の事業所で働く従業員の社会保険の加入について

A社で働く従業員X氏(45歳で週40時間勤務)から「健康保険は国民健康保険のままで良いが、年金については将来に備えて厚生年金保険に加入したい。」と相談がありました。A社は社会保険の適用事業所ではなく、今後も適用を受ける見込みはありません。また、他の従業員は社会保険の加入を望んでいません。従業員X氏のみを厚生年金保険に加入させることはできるのでしょうか。次から正しいものを選んでください。

  1. 事業主の同意と厚生労働大臣の認可を受けることにより、個人で厚生年金保険のみ加入することができる。
  2. 年金機構に申し出ることにより個人で加入することができるが、健康保険も併せて加入しなければならない。
  3. 個人で加入することはできないため、事業所が任意適用の認可を受け、ほかの従業員も包括的に加入しなければならない。

正解:A…事業主の同意と厚生労働大臣の認可を受けることにより、個人で厚生年金保険のみ加入することができる。

解説:厚生年金保険の制度の中心となる老齢厚生年金を受けるためには、公的年金の加入期間が10年以上あることが必要であること、また他の障害、死亡に関する保険給付についても一定の被保険者期間を必要とするとともに、現に被保険者である間に発した事故によるものでなければなりません。

しかし、適用事業所以外の事業所に転職したり、職場を転々としたりすると、厚生年金の保障が十分に行われない場合があります。この問題に対処するために、適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の従業員は「任意単独被保険者」として厚生年金保険に加入することができます。

任意単独被保険者になろうとするときは、事業主の同意(保険料の半額負担と納付義務を負うこと)を得て厚生労働大臣の認可を受ける必要があります。この認可は、申請者個人に対してされるものであり、事業所が適用事業所となる訳ではありません。そのため、当該事業所の他の従業員を包括して加入させる必要はありません。

また、健康保険法にはこのような制度は存在しないため、任意単独被保険者になる場合は、厚生年金保険のみ加入することになります。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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