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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第26回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 腰痛の持病が悪化した場合の労災の取扱い

X社は製造業を営む会社です。社員Yは前職で腰を痛め、主治医からはコルセットを着用すれば業務上問題なしと診断されていました。入社後2年間は問題なく勤務していましたが、今年、異動があり、その6か月後に腰痛を訴えました。新しい部署では、毎日1時間~数時間程度、重かったり大きかったりする物品を中腰の姿勢で運び出す作業がありました。この場合、社員Yの腰痛は、労災が認められるのでしょうか?なお、社員Yは業務中、常にコルセットを着用しています。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 部署異動前からの持病が原因なので、労災として認められない
  2. 持病の悪化が新しい部署の作業と関連がある場合は、労災が認められる
  3. コルセットを着用した上での腰痛のため、無条件に労災が認められる

正解:B…持病の悪化が新しい部署の作業と関連がある場合は、労災が認められる

解説:労災の対象となる腰痛は次の2種類に区分されます。

① 災害性の原因による腰痛(仕事中の突発的に急激な力が作用するような出来事による腰痛) 例:荷物の運搬中に足を滑らせそうになって踏ん張ったことによる腰痛

② 災害性の原因によらない腰痛(腰への負担が長時間蓄積されたことによる腰痛) 例:約20kg以上の重量物を繰り返し中腰の姿勢で取り扱う業務に3か月以上従事したことによる筋肉等の疲労が原因となる腰痛

今回のケースでは、部署変更前からの腰痛であっても、新しい部署の作業によって悪化した(上記②に該当)と医師が認める場合、労災が適用される可能性があります。慢性腰痛は、通常労災対象外ですが、腰痛悪化の原因が上記①もしくは②に該当すれば労災が適用されます。(医師の指示どおり腰を保護する心がけは大事ですが、コルセット着用は労災の判断に影響しません。)持病の腰痛だからと見すごさず、具体的な事実や状況の確認と適切な判断が必要です。

問2 労働者死傷病報告の提出義務

車輛同士の衝突による交通事故が発生し、死亡や休業があった場合、労災事故であれば会社は「労働者死傷病報告」を所轄労働基準監督署へ届け出る必要があります。この届出を故意に提出しないことは「労災かくし」と呼ばれ、厳しく規制されておりますが、次のうち労働者死傷病報告を提出する必要のないケースはどれでしょうか? 次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 自宅から仕事場に向かう通勤途中の交通事故であり、業務中でない場合
  2. 業務中の交通事故により休業があったが、1日休んですぐに復帰した場合
  3. 業務中の交通事故により1か月間休業したものの、相手方の過失による事故であり、相手方の車輛保険で補償され労災申請をしていない場合

正解:A…自宅から仕事場に向かう通勤途中の交通事故であり、業務中でない場合

解説:労働者死傷病報告は、労働者が労働災害等により死亡し、又は休業した場合に事業場を管轄する所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。ただし、通勤途中の災害は労災保険の対象とはなりますが、業務中の災害でないため、労働者死傷病報告を提出する必要はありません。必ずしも、「労災保険=労働者死傷病報告の提出」ではないことに注意が必要です。

労働者死傷病報告には、労働災害の程度により2種類の様式があり、死亡および休業4日以上の場合(様式第23号)と休業4日未満の場合(様式第24号)とに分かれます。提出期限は、死亡および休業4日以上の場合は遅滞なく、休業4日未満の場合は四半期ごとの翌月末日までとなっています。意図的に労働者死傷病報告を出さなかった、労災を隠蔽したなど「労災隠し」と判断されれば、50万円以下の罰金を科せられるなど、非常に厳しく罰せられることがあります。

問3 学生アルバイトの雇用保険加入の有無

X社において、現在アルバイトとして勤務している大学生Yが、X社新卒採用の内定を受け、来春より正社員として引き続き勤務を続けることになりました。他の新卒採用者と同様に、内定通知も出ています。Yは授業も少なくなってきたので、卒業までは1日5時間、週5日勤務(週所定労働時間25時間)ができると言っています。さて、このケースの場合、Yに対する雇用保険の加入の有無はどうなるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. Yは昼間学生なので、卒業までは雇用保険に加入する必要はない。
  2. 週所定労働時間が20時間を超える場合は学生であっても例外なく雇用保険に加入する必要がある。
  3. YがX社より内定通知を受けた後に限り、卒業前でも週所定労働時間が20時間を超える場合は雇用保険に加入する必要がある。

正解:C…YがX社より内定通知を受けた後に限り、卒業前でも週所定労働時間が20時間を超える場合は雇用保険に加入する必要がある。

解説:一般的な常時雇用のアルバイト従業員が、下記①~③を満たした場合は雇用保険に加入する必要があります。

① 31日以上働く見込みがあること

② 1週間に20時間以上働いていること

③ 昼間学生でないこと

ただし③には例外があります。「上記①と②の条件を満たし、かつ卒業見込証明書を有する者であって、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同じ会社に勤務する予定の者」は昼間学生であっても雇用保険に加入する必要があります。つまり卒業する前の段階で、すでに内定が出ている会社にアルバイト等で勤務している場合がこの例外に当てはまります。

今回ケースではYはX社より内定を受け、今後週20時間以上勤務をするので、雇用保険の被保険者となるでしょう。なお、この週20時間の判断に関しては、実際の勤務時間と常態的に乖離があり、その乖離に合理的な理由がない場合は、原則として実際の勤務時間により判断する、としている点にご注意ください。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。