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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第24回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 最低賃金の適用について

X県Y市に所在する鉄鋼業を営む株式会社Aは、物価の高騰などの近年の社会情勢の変化を踏まえ、A社に雇用する技能工の事業場内最低賃金を見直すこととなりました。そこで、A社が事業場内最低賃金の検討をする際に注意すべき点について、次のうちから正しいものを選んでください。
※参考:最低賃金法によるX県の最低賃金
・地域別最低賃金…1,000円
・特定(産業別)最低賃金(鉄鋼業)…1,007円

  1. 地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が同時に適用される場合、高い方が適用されるため、事業場内最低賃金は1,007円以上とする
  2. 地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が同時に適用される場合、低い方が適用されるため、事業場内最低賃金は1,000円以上とする
  3. 地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が同時に適用される場合、地域別最低賃金が必ず適用されるため、事業場内最低賃金は1,000円以上とする

正解:A…地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が同時に適用される場合、高い方が適用されるため、事業場内最低賃金は1,007円以上とする

解説:最低賃金制度とは、最低賃金法に基づいて国が最低賃金を設定し、使用者はその金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めたとしても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。

最低賃金には、地域別最低賃金(産業や職種かかわりなく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用される)と特定(産業別)最低賃金(特定の産業の基幹的労働従事者に適用)の2種類があります。両方の最低賃金が同時に適用される場合は、高い方の最低賃金が適用されます。なお、使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者の範囲、最低賃金額、算入しない賃金及び効力発生日を常時作業場の見えやすい場所に提示するなどの方法により、労働者に周知する必要があることに注意が必要です。

問2 業務災害発生時の死傷病報告の提出について

精密機械製造を行うX社において、社員Aが作業中に機械に指を挟み、ケガを負ってしまいました。冷却等の処置を行っても痛みが引かない様子だったことから、労災保険の療養補償給付にて、ケガをした当日に病院で治療を受けました。病院での診察後、痛みは少し残るものの、日常動作には問題がないとのことで、ケガをした社員Aは翌日は休まず、通常通りに出社し、いつもどおりに仕事をこなしました。
さて今回、社員Aは労災保険の療養補償給付を受けましたが、休業はしていません。この場合、労働者死傷病報告の提出は必要でしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 休業の有無にかかわらず、遅滞なく労働者私傷病報告の提出は必要
  2. 休業がないので労働者私傷病報告の提出は不要
  3. 休業していない日も含め休業が4日未満のため、後日四半期分をまとめて提出すれば足りる

正解:B…休業がないので労働者私傷病報告の提出は不要

解説:労働者が労働災害(或いは事業場内での災害)で死亡又は休業した場合には、所轄の労働基準監督署に「労働者死傷病報告」の提出が必要になります。

死亡または休業4日以上なら遅滞なく提出、休業1~3日のときは、四半期分(たとえば1~3月に事故が発生した場合は4月末日までに報告)をまとめて提出します。

一方で本件のように休業がない場合には提出は不要です。また事業場敷地外での通勤災害においても労働者死傷病報告の提出は必要ありません。

労働者死傷病報告は事業主が労働基準監督署に対して行う報告です。労災保険の制度とは異なり、労災保険利用の有無に関わらず、業務上災害による死亡、休業が発生すれば行います。

問3 監視又は断続的労働の労働時間等に関する規定の適用除外について

夜間の警備員やマンション管理人など、監視又は断続的業務で「手待ち時間」が多い業務の場合、労働基準監督署長の許可を受けることにより、労働時間、休憩及び休日に関する規程の適用を除外することができます。この労働時間等に関する規定の適用除外が認められた場合、該当労働者に支払う給与についての考え方について、次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 実労働時間分のみ最低賃金以上で支払っていれば、他の割増賃金等は支払わなくてよい
  2. 実労働時間と手待ち時間を合わせた労働時間分を最低賃金以上で支払っていれば他の割増賃金等は支払わなくてよい
  3. 実労働時間と手待ち時間を合わせた労働時間分を最低賃金以上で支払っていれば他の割増賃金等は支払わなくてよい。ただし深夜労働割増は別途支払う必要がある

正解:C…実労働時間と手待ち時間を合わせた労働時間分を最低賃金以上で支払っていれば他の割増賃金等は支払わなくてよい。ただし深夜労働割増は別途支払う必要がある

解説:身体又は精神的緊張が少ない監視業務や、休憩は少ないが手待ち時間が多いマンション管理人など、通常の労働者と比較して労働密度が疎である者について、労働基準法は労働時間、休憩、休日の規定の適用を除外しています。適用除外申請が認められれば、法定労働時間や週休制などは適用されなくなり、時間外割増賃金の支払いは不要となります。ただし、深夜労働に関する規定の適用は除外されませんので、深夜労働時間(午後10時から午前5時)に対しては2割5分以上の割増賃金の支払いが必要です。

もう一点、気をつけなければいけないことが、労働基準法の適用が一部除外されても、最低賃金法の適用が除外されるわけではないということです。例えば、拘束時間が13時間、そのうち実労働時間が6時間、手待ち時間が7時間の業務であれば、実労働時間と手待ち時間(手待ち時間は労働時間となる)を合計した13時間×最低賃金額以上を支払う必要があります。

そのため最低賃金法では、最低賃金の減額の特例を定めています。「軽易な業務に従事する者及び断続的労働に従事する者」として、都道府県労働局長の許可を受けることができれば、都道府県で定める最低賃金によらず、減額することができます。最低賃金減額が認められれば、実労働時間と手待ち時間の合計時間×減額された最低賃金額を支払えば問題ありません。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。