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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第22回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 就業規則の作成・届出義務について

東京に本社を置くA社(社員数35名)では、このたび大阪に営業所を設けることになりました。大阪営業所には東京本社から数人が赴任する予定で、現地ではパート社員採用も行う予定です。大阪営業所に勤務する社員はパート社員も含め10人以上にはならない予定です。さて、この場合大阪営業所において就業規則の作成・届出義務は発生するでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 会社全体の社員数が10人を超えるため、大阪営業所においても就業規則の作成・届出義務が発生する
  2. 大阪営業所の社員数が10人を超えないため、大阪営業所においては就業規則の作成・届出義務は発生しない
  3. 東京本社で就業規則が作成・届出されていれば、営業所については勤務する社員数に関係なく、就業規則の作成・届出義務は発生しない

正解:B…大阪営業所の社員数が10人を超えないため、大阪営業所においては就業規則の作成・届出義務は発生しない

解説:常時10人以上の労働者を使用する場合、会社は就業規則を作成し、管轄の労働基準監督署へ届け出をしなければなりません。営業所など各事業場が場所的に分散しており、規模が著しく小さいともいえない場合、本社とは独立した事業場とみなします。就業規則作成・届出の義務の単位は企業単位ではなく、事業場単位で考えます。

今回のA社の場合、大阪営業所は東京本社とは分離された独立した事業場といえますので、大阪営業所で勤務する社員が常時10人以上か否かで判断を行う必要があります。その観点でみると、大阪営業所は社員数が10人を超えないため、現時点においては就業規則の作成・届出義務は発生しません。

仮にA社大阪営業所の社員数が常時10人以上となった場合は、大阪営業所においても就業規則の作成・届出義務が発生します。その際、東京本社と同じ就業規則を適用する場合は、東京本社管轄の労働基準監督署に一括して、就業規則の届出を行うことが可能です。ただし、社員からの意見聴取は東京本社、大阪営業所、それぞれで行う必要があります。

問2 1か月単位の変形労働時間制適用時の割増賃金について

A社は1か月単位の変形労働時間制を導入しています。今回、1日7時間勤務とされたシフトで働くアルバイト従業員が、実際には9時間働きました。その月の平均労働時間は週40時間以内で、その週の労働時間も40時間以内に収まっています。さてこの場合、割増賃金は支払うべきでしょうか?次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 7時間を超えたところから時間外労働割増賃金を支払うべき
  2. 8時間を超えたところから時間外労働割増賃金を支払うべき
  3. 週40時間以内に収まっているので割増賃金の支払いは不要

正解:B…8時間を超えたところから時間外労働割増賃金を支払うべき

解説:1か月単位の変形労働時間制とは、1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)以内に収まるように設定する制度です。この制度では、特定の日に8時間を超えて働いたり、週に40時間を超えて働いた場合でも、割増賃金の支払いは不要となります。ただし、勤務表や会社カレンダーで具体的に各労働日の労働時間をあらかじめ設定しておく必要があります。

今回のケースでは、アルバイト従業員の勤務時間はあらかじめ7時間と設定されていました。そのため、たとえ1か月の労働時間が平均40時間以内であったとしても、割増賃金を支払わなければいけない場合があります。具体的には、その週の労働時間が40時間以上の場合は、7時間を超えた時点から、週40時間以内の場合は法定労働時間の8時間を超えた時点から、割増賃金の支払い義務が生じます。

このケースでは、その週の労働時間が40時間以内に収まっているため、法定の8時間を超えた時点から割増賃金を支払うことになります。

問3 賃金総額10分の3減給の懲戒処分の可否について

製造業を営むA社には、何度注意しても遅刻癖が治らない従業員がいます。始末書などを書かせたりもしていますが、注意した直後はよくなるものの、しばらく経つと元に戻ってしまい、月に平均3~4回は遅刻をします。メンタル不調の可能性も考えて何度も面談をしていますが、仕事上のトラブルもなく、朝起きられない以外は健康状態に問題もなく、夜更かししてゲームをしてしまうことが遅刻の原因のようです。 あまりにも遅刻が続くため、工場長は腹に据えかねる様子で、「本人に何か罰を与えて、反省させたい。今月は遅刻が3回あったので、遅刻1回につき給料を1割カットすれば本人も真剣に考えるのではないか」と主張しています。この場合、「減給10分の3」の懲戒処分にできますか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 減給10分の3は、1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えるのでできない
  2. 減給10分の3は可能だが、1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えるため3回に分けて減給する必要がある
  3. 違反行為1回に対して減給10分の1は、平均賃金の一日分の半額を超えているためできない

正解:C…違反行為1回に対して減給10分の1は、平均賃金の一日分の半額を超えているためできない

解説:労働基準法第91条によれば、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超える減給はできません。また、減給に相当する行為が複数あった場合にも、1賃金支払期の減給額は賃金の総額10分の1を超えてはならないため、翌賃金計算期間以降に減給する必要があります。

月収26万の場合の平均賃金は8,500円前後になります。その場合、1違反行為に対して減給できるのは4,250円以下という上限があり、違反行為が複数回重なって26,000円を超えるときには、翌月以降に減給する必要があります。

つまり、労働基準法では、①1違反行為に対する減給処分の上限と、②違反行為が複数回あったときに減給できる額の月当たりの上限の2つの制限があることに注意が必要です。また、公務員には別の基準があることも勘違いしやすいポイントです。ニュースなどでよく聞く「減給10分の1、3か月の懲戒処分」などは、公務員に対してだからできる処分であって、民間会社とは区別しなくてはなりません。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。