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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第19回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 「転勤支度金」から所得税や社会保険料は控除すべきか

従業員の転勤に伴い、引っ越し費用等を「転勤支度金」として1回あたり5万円を支給しようと考えています。転勤という業務に密接に関係して支給する手当ですが、あくまで実費弁済的な手当でもあります。この場合、給料として所得税や社会保険料(健康保険、厚生年金、労働保険料を含む)を控除する必要はあるのでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 業務にかかわる給料であるため、実費弁済とはみなされず、所得税も社会保険料も控除する
  2. あくまで転勤に伴う実費弁済のため、給料とはみなされず、所得税も社会保険料も控除しない
  3. 所得税法上は給与所得として課税する必要があるが、社会保険料は税法とは異なり、控除しなくてよい

正解:B…あくまで転勤に伴う実費弁済のため、給料とはみなされず、所得税も社会保険料も控除しない

解説:所得税法では、「転任に伴う転居のための旅行に充てられる支給で、通常必要と認められるものについては非課税として取り扱う」こととされています。今回のケースでは5万円と通常必要される範囲内での支給といえるため、税金はかかりません。

また社会保険料(健康保険、厚生年金)も転居に伴う交通費や家財等の運送費(引っ越し費用)に充てる実費弁済的なものは、社会保険の対象となる報酬には含まれません。労働保険料も同様です。しかしながら、通常必要と認められるものの範囲を超えた高額な手当や、転居後も毎月々の生活費の補填として支給されるような場合は、所得税、社会保険料とも控除の対象となりますので注意が必要です。

問2 退職時の健康保険証返納について

従業員が退職することになり、退職日には健康保険証を会社に返納するように本人に伝えました。ところが退職日間近になり、本人と音信不通となり、最終出社日も無断欠勤で会社に現れませんでした。よって会社側は保険証を回収ができていません。この場合、退職時の社会保険喪失の手続きはどうなるでしょうか。 次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 会社から資格喪失届を提出後、本人から直接、健保組合等に保険証を返納された場合に限り、社会保険の喪失手続きが完了する
  2. 資格喪失届に健康保険被保険者証回収不能届を添付すれば、保険証の添付がなくとも社会保険の喪失手続きが完了する
  3. 保険証の回収ができなければ、社会保険の喪失手続きはできない

正解:B…資格喪失届に健康保険被保険者証回収不能届を添付すれば、保険証の添付がなくとも社会保険の喪失手続きが完了する

解説:会社は社会保険の被保険者資格の得喪等に関する事項を健保組合や協会けんぽに届け出ます。届出の義務者は会社であるため、保険証の交付・返納については、会社を経由しなければいけないというルールとなっています。つまり健保と従業員との間で直接、保険証の交付、返納は原則行うことはできません。

しかし令和3年10月に保険証の送付については、原則は会社経由ではあるが、状況に応じ、健保から従業員への直接送付も認めるという例外規定が設けられました。

一方、返納については社員から健保への直接送付を認める例外規定は設けられていません。もし本件のように、退職社員が音信不通となり、保険証の回収ができない場合は、資格喪失届に健康保険被保険者証回収不能届を添付すれば、喪失の手続きを行うことができます。

問3 同月内に入社と退職をした従業員の社会保険料について

令和5年4月1日に新しい従業員が入社して、社会保険の取得手続きも済みました。しかし、それから間もなくして、その従業員から退職の申し出があり、令和5年4月20日をもって退職することになりました。その場合、この従業員に係る社会保険料の扱いはどうなるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 月途中での退職になるため、原則どおり保険料の納付は不要である
  2. 同月内に取得と喪失が行われた場合は、月途中での退職であっても健康保険、厚生年金保険ともに必ず保険料の納付が必要である
  3. 同月内に資格取得と喪失が行われた場合は、健康保険は必ず保険料を納付しなければならないが、厚生年金保険については一定条件下において保険料の納付は不要となる

正解:C…同月内に資格取得と喪失が行われた場合は、健康保険は必ず保険料を納付しなければならないが、厚生年金保険については一定条件下において保険料の納付は不要となる

解説:原則として、同月内に被保険者資格の取得と喪失が行われた場合は、原則、健康保険、厚生年金保険ともに保険料の納付が必要となります。
ただし、厚生年金保険については、資格を取得した月にその資格を喪失し、さらにその月に再度、次の会社で新たに厚生年金保険の資格を取得した場合、もしくは国民年金の資格を取得した場合は、先に喪失した厚生年金保険料の納付は不要となります。

しかし厚生年金保険料の納付が必要かどうかの判断は日本年金機構が行うため、実務上は、ひとまず厚生年金保険料を給与計算の際に控除して、一度納付することが一般的です。

納付が不要と判断された場合は、管轄の年金事務所から会社あてに厚生年金保険料の還付についてのお知らせが送付され、厚生年金保険料が還付されます。会社に保険料が還付された後、退職した従業員へ控除した保険料を還付する流れになります。

健康保険の保険料については、本案件のような同月内に資格取得と喪失が行われた場合、必ずその月分の保険料の納付が必要となります。厚生年金保険との取扱いが異なりますのでお間違いのないようご注意ください。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。