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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第18回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 雇用保険マルチジョブホルダー制度

65歳であるXさんは、スーパーと飲食店の2つの会社に勤めています。スーパーでは週4時間働き、飲食店では週12時間働いています。ある日、スーパーの店長から「令和4年1月1日から週に10時間働いてもらえないか」との相談があり、Xさんはスーパーでの労働時間を週10時間に増やすことにしました。
この場合、会社はどのように対応すべきでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. スーパーの労働時間が増えたことにより、飲食店の労働時間と合わせて、週の労働時間 が20時間以上となったため、スーパーが雇用保険加入手続きを行わなければならない。
  2. スーパーと飲食店の労働時間の合計が週20時間以上となったため、雇用保険加入手続きが必要となるが、飲食店が「生計を維持するために必要な主たる賃金を受けている事業所」に当たるので、飲食店が雇用保険取得手続きを行わなければならない。
  3. このケースでは、原則雇用保険加入手続きを労働者が行うものであるから、会社は労働者から加入申請の協力を求められた場合に、協力すれば良い。

正解:C…このケースでは、原則雇用保険加入手続きを労働者が行うものであるから、会社は労働者から加入申請の協力を求められた場合に、協力すれば良い。

解説:従来の雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等の適用要件を満たす場合に適用されます。

これに対して、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度(令和4年1月1日施行)です。

その適用要件は、①複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること、②2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること、③2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であることの3点となります。

問2 障害年金の請求

厚生年金保険に加入している従業員から、「ケガの後遺症で障害が残ったので、障害厚生年金を受給したい」と相談がありました。話を聞くと、ケガをしたのはこの会社に入社する前に自営業で働いていたときのもので、ケガをしたその日に病院を受診しています。昨日、ケガをしてから1年6か月が経過したところで、障害の程度は3級に該当すると医師から診断を受けたとのことです。また、保険料の滞納や未納はないそうです。  
この場合、従業員が受けられる年金はどれになりますか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 障害認定日(ケガをした日から1年6か月を経過した日またはケガが治ゆした日)が厚生年金の被保険者期間のため、障害厚生年金を請求できる。
  2. 初診日(障害の原因となるケガについて最初に受診した日)が基礎年金の被保険者期間のため、障害基礎年金を請求できる。
  3. 障害厚生年金、障害基礎年金どちらも請求できない。

正解:C…障害厚生年金、障害基礎年金どちらも請求できない。

解説:障害厚生年金と障害基礎年金どちらを受給できるのかは、初診日(障害の原因となるケガについて最初に受診した日)においてどちらの被保険者であったかがポイントとなります。初診日に厚生年金被保険者であれば障害厚生年金を、国民年金被保険者であれば障害基礎年金のみを受けられます。障害認定日(ケガをした日から1年6か月を経過した日またはケガが治ゆした日)にどちらの被保険者であったかについては考慮されません。  今回の場合、従業員は自営業者として働いていた時(=国民年金被保険者期間)にケガを負い、受診をしています。そのため、受けられる年金は障害厚生年金ではなく障害基礎年金となります。

しかし、障害基礎年金は障害の程度が1級または2級でしか受給することができませんので、今回の場合はどちらの年金も請求できないということになります。

なお、障害認定日に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後症状が悪化し、1級または2級の状態になったときには請求日の翌月から障害年金を受給できますので、今後の経過についてもしっかり見ていくのが良いでしょう。

問3 休日振替時の割増賃金の扱い

「X社の納期に間に合わないから,明日の土曜日,休日だけど出社してほしい」。このように所定労働日だけでは業務が間に合わないような場合に、やむを得ず社員に休日出勤してもらう場面があったとします。このとき、当該土曜日の休日を、翌週の月曜日(所定労働日)と「休日の振替」を行いました。この会社の週の起算日は月曜日、週の所定労働日は月から金曜日(土日休み)、一日の所定労働時間は8時間です。その場合、割増賃金等の考え方はどうなるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 休日を振替した場合、当該日は休日ではなく労働日となるため、割増賃金支払いを考えなくてよい。
  2. 休日を振替した場合、当該日は休日ではなく労働日となるが、週の法定労働時間を超えた部分について時間外割増賃金を支払う必要がある。
  3. 休日を振替した場合でも、もともと休日と定められていた日に労働を行うため、休日割増賃金を支払う必要がある。

正解:B…休日を振替した場合、当該日は休日ではなく労働日となるが、週の法定労働時間を超えた部分について時間外割増賃金を支払う必要がある。

解説:「休日の振替」とは、休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることを言います。これにより、もともと休日と定められた日が「労働日」となり、そのかわりとして振り替えられた日が「休日」となります。

従って、休日の振替を行った場合、当初の休日に労働させた日については、「休日労働」とはならず、原則、休日労働に対する割増賃金の支払義務は発生しません。

ただし、週の法定労働時間40時間以内かどうかに注意が必要です。本ケースの場合、週の起算日が月曜日で、1日の所定労働時間が8時間です。製品納期の関係で土曜日の休日を翌週の月曜日と振り替えたので、当初休日だった土曜日は労働日、翌週の月曜日が休日、という概念になります。

土曜日は労働日だから割増賃金等は考えなくてもよい、というとそんなことはありません。月~土曜まで週6日働くとなると8時間×6日で48時間となり、週の法定労働時間を8時間超過します。この8時間については割増賃金を支払う必要があります。ただし、休日振替の場合は、割増賃金の基礎部分(×1.25の1部分)は翌週の月曜日と相殺になるため、割増部分のみ(×0.25)支払えば事足ります。

一方、休日の振替が同週内で行われれば、週の所定労働時間は変わらないため、割増賃金の支払いは必要ありません。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。