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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第17回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 紹介採用(リファラル採用)をする際に注意すべきこと

なかなか求人募集をしても人材が集まらず、従業員の友人や知人を採用候補者として紹介してもらう、いわゆる「リファラル採用」を行おうと考えています。リファラルによって採用が決まった際には、「採用報償金」として特別手当を支払う予定です。リファラルに取り組むことは、あくまで業務の一環ですので、もし就業時間外に行われた場合は残業代も支給します。ところがある従業員から「リファラル採用は、職業安定法(第4条)に定める『労働者の募集』にあたるので、報酬を支払うのであれば、厚生労働大臣の許可を得なければいけないのではないか」と指摘されました。
リファラル採用を行う際は、必ず厚生労働大臣の許可やあるいは届出が必要となるのでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 業務として会社の指示のもと行うのであれば、厚生労働大臣の許可や届出もいらない。
  2. 「採用報償金」を支給せず、通常の賃金のみを支給するのであれば、厚生労働大臣の許可や届出もいらない。
  3. どのような形式であろうが「労働者の募集」を行うのであれば、厚生労働大臣の許可が必要となる。

正解:A…業務として会社の指示のもと行うのであれば、厚生労働大臣の許可や届出もいらない。

解説:「労働者の募集」とは、「労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘すること」と定義されています。そして報酬を与えて「労働者の募集」を行うのであれば、厚生労働大臣の許可を必要とし、報酬を与えない場合であっても、届出をしなければならないこととなっています。

しかしながら、会社からの指示のもと業務として行うのであれば「委託」とはならないため、厚生労働大臣の許可等は必要ありません。業務として行う旨を労働契約書や就業規則等に規定し、その根拠を明確にしておくことが賢明です。

また、リファラル採用が成功した場合に支払われる「採用報償金」も、労働の対償としての賃金となりますので、極端に高額な手当や賃金規程に規定されていない場合は、違法となる可能性があるため注意が必要です。

問2 パート社員の年次有給休暇

当社は製造業で、パート社員を採用するときに、労働契約書に週所定労働日数を明記しています。入社当初は、週所定労働日数通りに働いてもらうのですが、仕事に慣れてくると、急な欠員に対応してもらったり、特急納期対応をお願いしたりするため、一時的に週所定労働日数が契約書とは異なることが多々あります。また、会社の都合や本人の希望などを考慮して調整するうちに、入社当初の契約書に記載している週所定労働日数とは乖離することもしばしばあります。 上記のような場合、パート社員の年次有給休暇の比例付与日数は、どのように考えればよいでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 入社当初から週所定労働日数が変更されてきた場合であっても、労働契約書記載の週所定労働日数が優先されるため、記載されている週所定労働日数に基づき付与する。
  2. 入社当初から週所定労働日数が変更されてきた場合には、付与日時点の週所定労働日数に基づき付与する。
  3. 就業の実態が労働契約書の記載内容と異なるときは、必ず直前1年間の実勤務日数に基づき付与する。

正解:B…入社当初から週所定労働日数が変更されてきた場合には、付与日時点の週所定労働日数に基づき付与する。

解説:パートタイム労働者の付与日数は、法律に基づき次の通り付与することになっています。

①週所定労働日数に応じて付与する
②週以外の期間によって労働日数が定められている場合には1年間の所定労働日数に応じて付与する

一時的に労働契約書記載の週所定労働日数とは違う条件で勤務するような場合であっても、その一時的な事情がなくなれば速やかに元に戻るようなケースでは、労働契約書記載の週所定労働日数に基づき付与することで問題ありません。一方、製造業や飲食業、介護などの業種では、月でシフトを管理しており、各月ごとに勤務日数が変動することも多いようです。そのような場合は、1年間の所定労働日数に基づき付与することになります。

例えば、入社当初の労働契約書では週3日勤務となっているものの、現時点の就労実態は週5日勤務であるケースは、実はよくあります。必要に応じて都度、口頭による労働条件変更がされてきたと推察される場合は、入社当初の労働契約書に縛られることなく、付与日時点の週所定労働日数によって判断します。

したがって、入社時に合意した週所定労働日数から変更があるケースでは、付与日時点の労働条件に基づき①又は②のどちらを適用するか判断することになります。

問3 自発的な研修が労働時間にあたるかどうか

会社で新しい業務システムを導入しました。まだ操作に慣れない社員が多いため、希望者にはシステムの操作になれてもらうために、終業後に操作練習として使用することを認めています。会社としては、これはいわゆる自己研鑽という立ち位置にしています。 その場合、終業後のシステム操作練習は労働時間にあたるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. どのような場合であっても、仕事に関わることなので労働時間となる。
  2. 会社が参加を命じておらず、自由・任意参加であれば労働時間とならない。
  3. 会社が参加を命じていても、あくまで練習なので労働時間とならない。

正解:B…会社が参加を命じておらず、自由・任意参加であれば労働時間とならない。

解説:労働時間の適正把握ガイドラインでは「参加することが業務上義務付けられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」については労働時間であるという見解を示しています。会社から参加を命じられていれば、労働時間にあたることは明白でしょう。

一方「労働者が会社の設備を無償で使用することの許可を取った上で、自ら申し出て、一人でまたは先輩社員に依頼し、使用者からの指揮命令を受けることなく、勤務時間外に行う訓練」は労働時間に該当しない例として示されています。

上記から会社が行う研修・教育については「自由・任意参加」かどうかが判断のポイントとなります。もしその研修が「自由・任意参加」であることが明示されていない場合は、労働時間として解される場合がありますので、業務上必要な研修なのか、自由・任意参加の研修なのか、をはっきりさせておく必要があります。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。