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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第16回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 年次有給休暇の5日付与義務

働き方改革に伴い令和元年4月から、すべての会社において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。この年5日の年次有給休暇の扱いについて、次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 年5日の年次有給休暇に、半日年休を含めることができる。
  2. 年5日の年次有給休暇に、時間単位の年休を含めることができる。
  3. 年5日の年次有給休暇に、半日年休も時間単位年休いずれも含めることができない。

正解:A…年5日の年次有給休暇に、半日年休を含めることができる。

解説:令和元年4月から、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年5日は取得させることが会社の義務となりました(労働基準法39条7)。

年次有給休暇は1日単位で取得することが原則でありますが、労働者が半日単位での取得を希望した場合、使用者が同意した場合であれば、半日単位での年次有給休暇を与えることができます。この半日単位での年休は、年5日の対象としてカウントされます。

次に、時間単位年休ですが、労使協定を結ぶことにより、年に5日を限度として時間を単位とする年休を与えることができます。しかし半日単位での年休と違い、時間単位年休は、年5日の対象としてカウントができません。

以上、義務である年5日のカウントに、半日単位の年次有給休暇は含めることはできますが、時間単位年休は含めることはできませんので、注意が必要です。

なお、年次有給休暇5日付与義務に違反すると、罰則規定があり、30万円の罰金が科せられる可能性がありますので、ご注意ください。

問2 子の看護休暇の取得

従業員Xは3歳の子Yと5歳の子Zの子育てをしながら働いています。先日、Yの3歳児健診のため看護休暇を取りたいと申請がありました。Xの看護休暇は残り4日ありますが、すでにYの看護のために5日使っている状況です。この場合、Xは看護休暇を取得できますか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 子の看護休暇は病気の看護のための休暇なので、健診のためには取得できない。
  2. 子の看護休暇は1人につき5日が限度なので、Yの看護のためには取得できない。
  3. 問題なく取得することができる。

正解:C…問題なく取得することができる。

解説:小学校就学前の子を養育する労働者は、事業主に申し出ることにより病気やケガをした子の世話をするために、または子に予防接種や健康診断を受けさせるために、年次有給休暇とは別に看護休暇を取得することができます。

制度ができた当初は「負傷し、または疾病にかかったその子の世話」を行うための休暇とされていましたが、平成22年6月からは子に「予防接種」「健康診断」を受けさせることも取得事由に追加されました。

付与される日数は、子が1人の場合は1年度に5日、2人以上の場合は1年度に10日となります。使用する際、1人につき5日が上限という規定はありません。
したがって設問の場合、Xは看護休暇を取得できます。

また、令和3年1月1日以降は時間単位での取得が可能となり、所定労働時間に関わらず、すべての労働者が取得できるようになっています。

問5 通勤中の事故に係る労災保険の扱い

会社には通勤手段としてバス利用を届け出していた従業員がいます。ある日、この従業員は早出出勤をする必要があるため、いつものバスではなく、電車で出勤することにしました。自宅から駅までは自転車で移動したのですが、その自転車での移動中に転倒してしまい、足を捻挫するケガを負ってしまいました。

その場合、通勤中の労災保険(通勤災害)の扱いはどうなりますか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 会社が認めている通勤経路と異なるため労災保険の扱いにはならず、健康保険で処理することになる。
  2. 通勤中の事故であるため、どんな通勤手段をとっていても必ず労災保険の適用となる。
  3. 会社が認めた経路ではなくとも、自転車と電車で会社に向かうルートが合理的な経路であれば労災保険の適用となる。

正解:C…会社が認めた経路ではなくとも、自転車と電車で会社に向かうルートが合理的な経路であれば労災保険の適用となる。

解説:通勤とは、労働者が自宅等の住居から会社等の就業場所への移動を、合理的な経路および方法によって行うことをいいます。合理的な経路とは、鉄道・バスなどの通常利用する公共交通機関での経路、自家用車で一般的に通る経路(地図アプリ等で示される経路)をいいます。

会社が認めた経路以外で起きた事故の場合でも、その経路が合理的な経路に該当するかどうかが、労災適用有無の判断ポイントとなります。本件では自宅から会社まで自転車と鉄道を利用しての通勤となり、一般的には経路、手段ともに合理的なものであると考えられますが、自転車でどんなルートを通っていたかによって判断が分かれます。

自宅から駅までまっすぐ向かっていたのであれば合理的な経路となり通勤と認められますが、完全に就業や通勤と全く関係ない目的かつ経路で自転車を走らせていた場合は、通勤と認められない場合があります。

通勤中の災害については、労災保険からの給付が、健康保険に優先することになります。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。