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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第11回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 労働者に対する健康診断

事業者は労働安全衛生法の規定に基づき、労働者に対し医師等による健康診断を実施し、当該労働者ごとに診断区分(異常なし、要観察、要治療など)に関する医師等の判定を受ける必要がありますが、その健康診断の項目に異常の所見がある労働者に対しては、医師等から就業上の措置についての意見を聴く必要があります。その健康診断実施後の就業上の措置について、次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 産業医の選任義務のある事業場(労働者が50名以上)のみ、健康診断実施後の就業上の措置義務がある。
  2. 労働者数に関係なく、全ての事業場で健康診断実施後の就業上の措置義務がある。
  3. 健康診断実施後の就業上の措置については、全事業者において努力義務である(令和6年より義務化)。

正解:B…労働者数に関係なく、全ての事業場で健康診断実施後の就業上の措置義務がある。

解説:事業者は労働安全衛生法第66条第1項から第4項までの規定に基づき、労働者に対し医師等による健康診断を実施し、当該労働者ごとに診断区分(異常なし、要観察、要医療など)に関する医師等の判定を受ける必要があります。この診断区分を実施する医師等は産業医では無く、健康診断実施機関の医師です。産業医は健診結果の診断区分の「判定」する必要はなく、「確認」をすれば足りるものと考えられています。

事業者は労働安全衛生法第66条の4の規定に基づき、健康診断の項目に異常の所見がある労働者に対して、医師等から就業上の措置についての意見を聴く必要があります。この診断区分を実施する医師等は産業医です。産業医の選任義務のない事業場(労働者が50名未満)においても医師等から意見を聴く義務があります。労働者数に関係なく、全ての事業場で実施する必要があります。

産業医は健康診断の結果を確認し、通常勤務、就業制限、要休業といった3区分で判定します。健康診断が行われた日もしくは労働者が健康診断の結果を事業者に提出した日から3か月以内に行います。ちなみに健康診断実施後の保健指導は努力義務です。

問2 一般教育訓練給付金の支給額

従業員Aから、業務に関連する資格取得のために通学講座を受講したため、一般教育訓練給付金の請求をしたいが、いくら支給されるのか相談がありました。受講した講座は厚生労働大臣の指定する教育訓練で、受講料は65万円とのことです。その他の支給要件はすべて満たしているものとすると、Aさんに支払われる一般教育訓練給付金はいくらになりますか。

  1. 65万円
  2. 13万円
  3. 10万円

正解:C…10万円

解説:教育訓練給付金とは、働く方の主体的な能力開発の取組み又は中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とし、教育訓練受講に支払った費用の一部が支給されるものです。

教育訓練給付金には一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金の3種類があり、それぞれ支給要件や支給額について定められています。

一般教育訓練給付金は、①受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上(初めて支給を受けようとする方については、当分の間1年以上)あること、②受講開始日時点で被保険者でない方は、被保険者資格を喪失した日から受講開始日までが1年以内(適用対象期間の延長が行われた場合は最大20年以内)であること、③前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始日前までに3年以上経過している、など一定の条件を満たす雇用保険の被保険者(在職者)または被保険者であった者(離職者)が、一般教育訓練受講に係る対象教育訓練を受けて修了した場合に支給されます。

支給額は、受講のために受講者本人が指定教育訓練実施者に対して支払った教育訓練経費の20%に相当する額が支給されます。ただし、その20%に相当する額が10万円を超える場合は10万円となり、4千円を超えない場合は支給されません。

今回の場合、受講料は65万円のため65万円×20%=13万円となり、上限である10万円を超えているため、10万円が一般教育訓練給付金として支給されることになります。

問3 年金繰り下げ受給と在職老齢年金

日本人の平均寿命が延び続けており、「人生100年時代」と呼ばれるようになりました。そんな背景もあり、2022年4月から年金の繰り下げ受給が最大75歳までできるようになりました。年金の繰り下げを行うと、繰り下げ1カ月ごとに0.7%年金が増額するメリットがあります。では元気なうちは働いて収入を得て、年金受給を70歳まで繰り下げすると選択した場合、在職老齢年金(注)との関係はどのようになるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

※注:在職老齢年金とは、働きながら年金を受給する場合、厚生年金月額、月給額(標準報酬月額)、直近1年間の賞与を12で割った額を足した金額が47万円を超える場合、超えた金額の1/2の老齢厚生年金が支給停止になる制度。

  1. 70歳まで年金を受給しないので、働いて得た収入に関係なく、年金額が満額増額対象となり、70歳時点から42%増額の年金を満額受給できる。
  2. 本来受給できる厚生年金月額と月給・賞与を足した額が47万円を超えれば、超えた金額の1/2は支給停止となり、繰り下げによる増額の対象にはならない。
  3. 本来受給できる厚生年金月額と月給・賞与を足した額が47万円を超えれば、支給停止がかかるが、繰り下げ特例として超えた金額の1/4が支給停止対象となる。

正解:B…本来受給できる厚生年金月額と月給・賞与を足した額が47万円を超えれば、超えた金額の1/2は支給停止となり、繰り下げによる増額の対象にはならない。

解説:これまで年金受給を最大70歳まで遅らせること、つまり繰り下げが可能でした。繰り下げると、年金受給額が繰り下げ1ヶ月あたり0.7%増額し、70歳まで繰り下げると最大で年金額が42%増額します。これが2022年4月の改正で75歳まで繰り下げることが可能になりました。仮に75歳まで繰り下げた場合は65歳から受給を開始するよりも84%年金受給額が増額することになります。

年金繰り下げ受給の際によく誤解されるのが、在職老齢年金との兼ね合いです。繰り下げ期間中はいくら働いて稼いでも繰り下げる年金額には影響がない、と思われていることがありますが、ここは要注意です。

繰り下げる場合においても、厚生年金の被保険者である限り、仕事で得た収入と本来受給できる老齢厚生年金月額の合計額が47万円を超える場合は、同じく47万円を超えた分の1/2が支給停止され、本来受給できるはずの老齢厚生年金月額から支給停止された分を差し引いた金額に0.7%の割増がかかります。

 一方、老齢基礎年金については在職老齢年金による支給停止は関係ありませんので、老齢基礎年金は満額増額の対象となります。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。