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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第10回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 育児休業中の副業

X社では、以前より副業を推進しています。この度、副業として動画の編集を請け負って(フリーランス契約)いる正社員Yが育児休業を取得することになりました。X社では育児休業中(賃金は支給なし)ですが、副業に関する提出書類を見ると副業は継続して請け負っているようで、それにかかる業務時間も以前より多くなっています。そのような場合、Yの育児休業給付金はどうなりますか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. Yは恒常的に就業できる状態なので、法令上の育児休業を取得しているとは認められず、したがって育児休業給付金は対象外となる。
  2. X社では就業しておらず育児休業を取得していると認められるが、副業の業務時間及び収入によっては育児休業給付金が減額され又は支給されない。
  3. Yを雇用しているX社からは給与が支給されないので、副業は育児休業中の就業とは認められず、育児休業給付金は満額受給できる。

正解:C…Yを雇用しているX社からは給与が支給されないので、副業は育児休業中の就業とは認められず、育児休業給付金は満額受給できる。

解説:育児・介護休業法上の育児休業は、子の養育を行うために、休業期間中の労務提供義務を消滅させる制度であり、休業期間中に就業することは想定されていません。しかし、労使の話し合いにより、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にその(当該被保険者を雇用している)事業主の下で就業させることはできます。就業している日が10日を超えて、かつ就業している時間が80時間を超えるときは、恒常的・定期的に就業していると判断され、育児休業給付金は支給されません。

一時的・臨時的な就業であっても、その事業主から支給単位期間に賃金が支払われた場合は、その賃金額が多ければ、育児休業給付金が減額され又は支給されない(雇用保険法第61条の7)こととなっています。

上記からもわかる通り、育児休業給付金に影響するのは、当該被保険者を雇用している事業主の下で就業して、支給された賃金がある場合です。そのため、今回のケースでは育児休業給付金は満額受給できることになります。

問2 育児休業中の社会保険料の免除

育児休業中は毎月の給与に係る社会保険料及び賞与に係る社会保険料が免除されますが、健康保険法の改正により、2022年10月から育児休業中の社会保険料の免除要件が見直されます。2022年10月以降免除要件の見直し後、賞与に係る保険料免除のルールはどうなるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 育児休業中であっても、賞与に係る社会保険料は免除されなくなる
  2. これまで通り、賞与支給月の月末時点で育児休業を取得していれば賞与に係る社会保険料は免除される
  3. 賞与支給月に育児休業を取得しており、かつ1月を超える育児休業等を取得している場合に限り、賞与の社会保険料免除の対象となる

正解:C…賞与支給月に育児休業を取得しており、かつ1月を超える育児休業等を取得している場合に限り、賞与の社会保険料免除の対象となる

解説:現行法のしくみでは、育児休業が月末をまたぐか否かによって、保険料免除の可否が決まるため、不公平感が否めませんでした。また、賞与月の月末に1日でも育児休業等を取得していると賞与保険料が免除されるため、賞与の社会保険料免除を目的として、賞与月に育児休業が集中するという現象もおきていました。それらを解消するために、2022年10月から育児休業中の社会保険料の免除要件が見直されます。

具体的には、従来の「月末が育児休業中であること」に加えて、下記の見直しが行われます。

① 短期の育児休業等の取得に対応して、同月内に14日以上の育児休業等を取得した場合には当該月の保険料を免除する。
② 賞与に係る保険料については、1月を超える育児休業等を取得している場合に限り、免除の対象とする。
③ 連続する二以上の育児休業等を取得する場合は、一つの育児休業等とみなして保険料免除の規定を適用する。

賞与に関しては②のとおり、賞与支給月に育児休業を取得しており、かつ1月を超える育児休業等を取得している場合に限り、賞与の社会保険料免除の対象となります。2022年10月以降はご注意ください。

問3 出生時育児休業中の就労申し出について

令和4年10月に子どもが産まれる予定の男性従業員がいます。その者から、育児休業を取得したいと申し出がありました。ただし、業務との調整があるので、完全に休業するのではなく、育児を手伝いながら部分的に働きたいと相談されました。この場合、この従業員は育児休業を取得できるのでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 育児休業中は原則働くことができないので、働く前提の休業は取得できない。
  2. 令和4年10月に新設される出生時育児休業であれば、本人の希望があれば自由に就労が可能なため、出生時育児休業を取得することができる。
  3. 労使協定を締結している場合は出生時育児休業中の就労は認められており、法令の範囲内で会社と従業員で合意した場合は、就労しながら出生時育児休業が取得できる。

正解:C…労使協定を締結している場合は出生時育児休業中の就労は認められており、法令の範囲内で会社と従業員で合意した場合は、就労しながら出生時育児休業が取得できる。

解説:従来の育児休業は、仕事が育児かの二者択一の制度だったのですが、令和4年10月から施行される出生時育児休業では、業務と調整しながら、仕事と育児の両方を選択できる制度となっています。具体的には、労使協定を結んだ上で、本人から申出があれば、「休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分を限度」に恒常的・定期的な就労が可能となります。また、子の出生後8週間以内に最長4週間、2回に分割して取得が可能ですので、例えば月末の繁忙期は仕事をして、その前後で分割取得できるもの魅力です。

完全に業務をストップできないとしても、業務の比重を少し減らして、その分育児の時間を確保することが可能であれば、1か月くらい育児休業したいと思う男性従業員は、会社側を思っているよりも多いものです。ただし、就労したくない従業員を就労させることはできませんし、通常の育児休業中は、一時的・臨時的な場合以外は就労させることはできませんので注意が必要です。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。