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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第7回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 令和4年10月以降の社会保険の適用拡大に該当する従業員数の考え方

令和4年10月1日から社会保険のさらなる適用拡大が行われます。これまでは従業員数501人以上の企業が対象でしたが、令和4年10月1日からは従業員数101人以上の企業が対象となります。さてこの「従業員数101人以上」とはどのような概念になるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 正社員(フルタイム社員)、パート社員を含めた企業の総従業員数が101人以上。
  2. 正社員(フルタイム社員)、労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員の合計人数が101人以上。
  3. 正社員(フルタイム社員)の人数が101人以上。

正解:B…正社員(フルタイム社員)、労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員の合計人数が101人以上。

解説:今回の社会保険の適用拡大における従業員数101人以上のカウント方法ですが、まず前提として「事業主が同一である1または2以上の適用事業所」を単位として適用されます。つまり、それぞれの事業所単位ではなく「企業単位」というイメージです。

企業によってはパート比率が高く、所定労働時間も個人によってバラバラ、という場合もあるでしょう。今回の適用拡大における「従業員」とは「通常の労働者およびこれに準ずる者」という概念になります。具体的には「正社員(フルタイム社員)、労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員」がカウントの対象になります。

もっと分かりやすく言うと「厚生年金保険の被保険者資格を有する者」が企業内で101人以上か否かが判断の基準となります。パート社員等で、労働時間がフルタイムの3/4条件を満たさず、社会保険の被保険者でない従業員は人数カウントの対象にはなりません。

社会保険の適用拡大に関しては、総従業員数が101人以上なら対象になると誤解されている場合がありますが、概念は上記の通りですのでお間違いなく。

問2 労災による待期期間の取り扱いについて

業務中の災害により1週間ほど休業をした従業員がいます。労災初日から3日間の待期期間中は会社から休業補償を行うつもりでしたが、「6割の休業補償より10割支給される年次有給休暇を使用したい」との申出がありました。この場合、労災休業期間中であっても年次有給休暇を使用することはできるでしょうか。また年次有給休暇を使用した場合に待期期間は満たすのでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 労災による休業期間中のため年次有給休暇は使用できない。
  2. 労災による休業期間中であっても年次有給化は使用できるが、待期期間は満たさない。
  3. 労災による休業期間中であっても年次有給化は使用できるし、待期期間も満たす。

正解:C…労災による休業期間中であっても年次有給化は使用できるし、待期期間も満たす。

解説:労災による休業補償給付は、休業を開始した4日目から支給されることとなっているため、待期期間の3日間については、事業主が平均賃金の6割以上の賃金を補償しなくてはいけません。そのため、年次有給休暇が残っている従業員から、6割の休業補償より10割支給される年次有給休暇を申請してくる可能性もあります。

結論を述べると、年次有給休暇は「労働の義務の免除」と解されており、労災、私傷病等を問わず勤務しない日において当然に使用することができます。そして、この期間中に労務不能であったのであれば、たとえ年次有給休暇を使用して休んでいたとしても待期期間を満たすことになります。

問3 複数業務を要因とする労災保険給付額の算定

会社Aに勤務するX氏が、令和2年9月1日より会社Bで副業することとなりました。それから2ヶ月後のある日、X氏が会社Bの業務を遂行していたところ負傷してしまい、主治医の診断のもと2ヶ月程度休業することとなりました。複数の会社等に雇用される労働者の労災保険の休業補償給付額の算定はどのようになるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 事故が起きた勤務先の賃金額のみを基礎に給付額を決定する。
  2. すべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎に給付額を決定する。
  3. 副業・兼業の労災保険給付は、特例で一律保険給付額が設定されている。

正解:B…すべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎に給付額を決定する。

解説:令和2年9月1日以降に複数の会社等に雇用される労働者でケガや病気になった方、亡くなられた労働者のご遺族の方を対象に、複数業務を要因とする災害に関する労災保険給付について、以下のように改正となっています。

改正前…労災事故が起きた勤務先の賃金額のみを基礎に保険給付額を決定する。
改正後(令和2年9月1日以降)…すべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎に保険給 付額を決定する。

改正後の労災保険法(複数業務要因災害)の対象となる労働者は、傷病等の事由発生日に複数の会社で就業している者、またはケガや病気になった時に1つの会社のみに雇用されていた場合でも、その傷病等の原因や要因となる事由が生じた時期に複数の会社で就業していた者も対象となります。

ダブルワークについては可能な限り認めるよう国が方針を示していることもあり、複数の会社で副業・兼業を行う労働者の補償は手厚くなっていると言えるでしょう。

 

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。