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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第5回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 半日休暇日の残業について

一日の所定労働時間が8時間の会社において、午前中に半日(4時間)の年次有給休暇を取得した従業員が、終業時刻を超えて2時間の残業をしました。午後からの出勤時間と残業時間を合計すると6時間になります。このような場合、残業をした2時間に対して割増賃金の支払いは必要でしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 半日年休と合わせると8時間を超えているため、終業時刻後の2時間に対して割増賃金(×1.25割増)を支払う必要がある
  2. 終業時刻を超えた2時間に対しては、通常の賃金(×1.0)を支払えばよい
  3. 法定労働時間の8時間を超えていないため、一切の賃金は支払う必要がない

正解:B:終業時刻を超えた2時間に対しては、通常の賃金(×1.0)を支払えばよい

解説:時間外労働割増賃金の計算においては、実際に労働した時間が8時間を超えた場合に、割増賃金を支払えばよいことになっています。今回のケースでは、午後からの出勤時間と終業時刻後の労働時間とを合わせても6時間となっているため、割増賃金を支払う必要はありません。

だからといって、何も支払わなくていいというわけでなく、終業時刻後の労働時間については,その時間に応じた通常の賃金(×1.0)を支払わなくてはいけません。いわゆる「法定内残業」ということになります。もちろん、就業規則等において「終業時刻を超えた時間については割増賃金を支払う」となっていれば、割増賃金を支払うことを妨げるものではありません。その点については、労使であらかじめ取り決めをしておくのがいいでしょう。

問2 【厚生年金】労災年金と厚生年金の併給の調整

労災保険の障害補償年金を受給している従業員から,厚生年金保険の障害厚生年金を併給する場合の支給額がどうなるのか問い合わせがありました。障害補償年金と障害厚生年金の支給額はそれぞれどうなるのでしょうか?次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 障害厚生年金は満額が支給され、労災の障害補償年金は減額される
  2. 労災の障害補償年金は満額が支給され、障害厚生年金は減額される
  3. 労災の障害補償年金・障害厚生年金両方ともに満額が支給される

正解:A. 障害厚生年金は満額が支給され、労災の障害補償年金は減額される

解説:労災保険の給付目的は業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害または死亡に対して保険給付をおこなうことです。つまり,労災保険の場合は業務上または通勤による病気やケガを負ったことが保険給付の要件となっています。

対して、厚生年金保険は労働者の老齢・障害または死亡について保険給付をおこなうことを目的としているため、業務上であるか業務外であるかの要件はありません。したがって、労災年金と厚生年金の両方を受け取ることが可能です。

しかし、両制度からの年金が未調整のまま支給されますと、受け取る年金額の合計が被災前に支給されていた賃金よりも高額になってしまいます。また、保険料の負担について厚生年金保険は被保険者と事業主とが折半、労災保険は事業主が全額負担していることから、事業主の二重負担の問題が生じてしまうため、労災年金の受給額が減額されることとなっています。

問3 【健康保険】傷病手当金の金額の計算

中途入社した社員が私傷病により療養することとなり、傷病手当金を受給することになりました。この社員はまだ入社して6ヶ月のため、傷病手当金の額の算定に必要な12ヶ月の被保険者期間がありません。本人は前勤務先では当社と同じ協会けんぽの被保険者でした。この場合、傷病手当金の金額の計算はどうなりますか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 例外なく当社のみの被保険者期間で金額を算定する
  2. 前職の被保険者期間と当社の被保険者期間に1日も空白がなければ継続した期間として算定する
  3. 前職の被保険者期間と当社の被保険者期間に10日以上の空白がなければ継続した期間として算定する

正解:B. 前職の被保険者期間と当社の被保険者期間に1日も空白がなければ継続した期間として算定する

解説:傷病手当金の金額は、直近12ヶ月の標準報酬月額の平均を用いて計算します。被保険者期間が12ヶ月に満たない場合は、直近の継続した各月の標準報酬月額を平均した額と、30万円を比較して、低い方の金額を用います。

今回、該当社員のように前職の被保険者期間がある場合ですが、この場合、同一の保険者等において直近の継続した12ヶ月の標準報酬月額があれば、その期間を算定対象とするとしています。「継続した」がポイントとなりますので、同じ協会けんぽの被保険者であり、前職の退職日と当社への再就職日との間に1日も空白がなければ、継続という考え方になります。よって前職の被保険者期間も含めて12ヶ月の標準報酬月額の平均を用いて、傷病手当金の計算を行います。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。