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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第4回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 育児介護休業法改正に伴う個別周知・意向確認について

令和4年5月に子どもが産まれる男性社員がいます。令和4年4月の育児・介護休業法の改正に伴い、育児休業制度の個別周知と休業取得に関する意向確認の措置の該当者の第一号となります。本人からは「妻からも収入面で心配なので仕事をしてほしい、と言われており、育児休業を取得するつもりはない」と聞いています。そのような場合でも、個別周知が必要でしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 育児休業を取得しないという本人の意向があるため、個別周知は必要ない
  2. 育児休業を取得しないという本人の意向があるが、個別周知は必要
  3. 育児休業を取得しないという本人の意向を尊重し、本人の希望があれば個別周知する

正解:B.育児休業を取得しないという本人の意向があるが、個別周知は必要

解説:2022年4月以降、育児介護休業法が3段階で順次施行されます。その中で、「育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け」が、第一段として4月1日から施行されます。この措置は、誤った認識によって『自分は育児休業を取得できない』と思い込んでいる労働者がまだまだ多くいるために義務化された、という経緯があります。

周知事項は

①育児休業・出生時育児休業に関する制度

②育児休業・出生時育児休業の申し出先

③育児休業給付に関すること

④労働者が育児休業・出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取り扱いとなります。

育児休業制度の個別周知については、休業取得をする・しないや個別周知希望のある・なしにかかわらず、会社として必ず行う必要があります。今回のケースでは、個別周知によって育児休業中に雇用保険から給付が受けられたり社会保険料が免除になったりすることを知れば、育児休業を希望する可能性もあり、個別周知をしたうえで改めて意向確認することが望ましいケースと言えます。

問2 出産手当金の請求可能期間

健康保険の被保険者が出産のため仕事を休み、給与を受けられない場合の休業補償として、出産手当金があります。では、出産予定日よりも遅れて出産した場合、出産手当金の請求可能な期間はどうなるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 出産日の42日前から出産予定日後の56日間
  2. 出産予定日の42日前から出産日後の56日間
  3. 出産日の42日前から出産日後の56日間

正解:B.出産予定日の42日前から出産日後の56日間

解説:出産手当金は、出産日以前42日から出産日後56日目までの範囲内で申請が可能です。今回の例のように、出産が予定日よりも遅くなった場合は、出産予定日の42日前から申請が可能となります。よって出産予定日を基準として産前休暇に入った方が、出産予定日を過ぎて出産した場合は「出産予定日の42日前から実際の出産日の56日後まで」が出産手当金の支給対象となります。

例えば、出産予定日から7日後に出産をすれば、手当金の支給金額は98日(42日+56日)ではなく、105日(42日+7日+56日)となります。

また、多胎妊娠の場合は、出産日(出産日が予定日後の時は出産予定日)以前98日から出産日後56日目までの範囲で申請が可能です。

問3 【雇用保険】育児休業等が関係する際の失業給付の算定

育児を理由として、短時間勤務をしていた従業員が、配偶者の引っ越しを伴う転勤のため退職を選択することになりました。この従業員の短時間勤務間の賃金は、フルタイム勤務時代に比べ、時間短縮に比例して少なくなっています。この場合、失業給付はどのように算定されるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 原則どおり最後の6ヶ月の賃金総額を基に算定される
  2. 例外なく産休等に入る前(フルタイム勤務時)6ヶ月の賃金総額を基に算定される
  3. 一定要件を満たせば産休等に入る前(フルタイム勤務時)6ヶ月の賃金総額を基に算定される

正解:C.一定要件を満たせば産休等に入る前(フルタイム勤務時)6ヶ月の賃金総額を基に算定される

解説:失業給付(基本手当)の算定ベースとなる賃金日額は、被保険者として計算された最後の6カ月の賃金総額を180で除して計算するのが原則です。しかしこの従業員はフルタイム勤務時代に比べて、育児短時間勤務時は賃金額が時間短縮に比例して少なくなっています。原則とおりに算定した場合は、本来の賃金額(フルタイム勤務時)の賃金水準を適切に反映できないことになります。

こうした不合理を回避するための例外ルールが設けられています。育児休業・育児短時間勤務に関する失業給付(基本手当)算定ルールでは、次の2つの条件を満たせば、従来の賃金額(フルタイム勤務時)に基づき、失業給付(基本手当)が算定されます。

①小学校の始期に達するまでの子を養育するための休業もしくは家族を介護するための休業をした場合、または勤務時間の短縮が行われた場合

②特定受給資格者または特定理由離職者に該当

この従業員は育児短時間勤務の適用を受けていたので、①に該当します。また離職理由が配偶者の転勤ですので、正当な理由のある離職となり、②の特定理由離職者にも該当します。よってこの従業員の失業給付(基本手当)は、従来の賃金額(フルタイム勤務時)に基づき、算定することになります。

仮にこの従業員が、自己都合で退職した場合は②の要件に当てはまらないため、原則どおり最後の6ヶ月(短時間勤務時)の賃金総額を基に失業給付(基本手当)を算定します。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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