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人事総務ご担当者様向けクイズシリーズ人事総務ご担当者様向け 第3回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 【労災保険】自賠責保険と労災保険の関係

従業員が通勤途上に自動車で信号待ちをしていたところ、後ろから走ってきた自動車に衝突され、軽度のむち打ちになってしまいました。事故の相手方は自賠責保険に入っており、そちらから治療費や休業補償の支払を受けられるとのことでしたが、労災保険の取り扱いはどうなるのでしょう。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 自賠責保険が優先された場合、労災保険の同一の事由の給付は受けられない
  2. 自賠責保険、労災保険の両方から給付を受けられる
  3. 通勤途上での事故のため自賠責保険は受け取れず、労災保険が優先される

正解:A.自賠責保険が優先された場合、労災保険の同一の事由の給付は受けられない

解説:自賠責保険と労災保険の両方から重複して同一の事由の保険給付を受けることはできず、どちらか一方のみから支払われます。原則としては、自賠責保険を先行させて保険を受けることになります。これは自賠責保険には慰謝料の支払いがあるなど、被害者にとって有利となることが多いからです。但し、傷害による損害の場合は120万円までが限度となっており、それを超える場合は労災保険に切り替えます。また、被害者側の過失割合が70%以上の場合は、過失相殺が行われ、損害賠償金が減額されることがあるため注意が必要です。

自賠責保険を先行させることが原則ですが、もちろん労災保険を先に請求することも可能です。但し、今回のケースのように軽度のケガで被害者側に過失がほとんどないような場合であれば、自賠責保険を先行させる方がいいでしょう。

問2 【ハラスメント】ハラスメント被害の相談

先日、従業員からハラスメント被害にあったという相談がありました。上司から、「バカ野郎!」という暴言があったため、精神的な苦痛を感じているという内容です。相談者は匿名を希望しているため聞き取りはできませんでしたが、そのような暴言は会社として許容できるものではなく、始末書を提出してもらうことを検討しています。この対応について、どのように判断しますか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 相談者のプライバシー保護の観点から、この対応で問題ない
  2. 事実確認なく行為者への懲戒処分を検討しており、対応として不十分
  3. 人格を否定する発言には懲戒処分もやむをえず、この対応で問題ない

正解:B.事実確認なく行為者への懲戒処分を検討しており、対応として不十分

解説:2022年4月からは、事業所の規模に関係なく職場におけるパワハラ防止措置が義務化されます。防止措置の主な内容は、①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発 ②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 ③職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応 の3本柱となっています。ハラスメント被害を会社に相談してもうやむやにされたり、相談者と行為者間の私的な人間関係のトラブルとみなされたりすることが散見されたため、パワハラ防止法施行にあたっては、②と③の防止措置が義務付けられたという背景があります。

今回、ハラスメント被害の相談を放置しない対応という点についてはよいのですが、事実確認せずに懲戒処分を検討している点で問題があります。通常の事実確認は、相談者と行為者から話を聞き、聞き取り内容に齟齬がある場合には第三者からもさらに聞き取るなどします。また、相談者本人の意向を尊重することが大前提ではありますが、匿名希望による相談であっても、第三者に対する聞き取りなどから事実関係を確認することは可能です。

バカ野郎という発言は確かに人格否定する言葉ではあるのですが、その前後の文脈でハラスメントに該当するとは言えないケースもあります。例えば、製造業などでケガや事故につながる不注意な行為をした場合に、思わず注意喚起のためにでたケースなどです。もちろん、実際にハラスメント行為が確認できた場合には、行為者に対して懲戒処分を行うことに問題はありません。


問3 【育児休業】妊娠中の職場生活(時間外労働)

1か月単位の変形労働時間制を採用している会社で働く、妊娠5か月の女性従業員が、会社に対して時間外労働を免除してほしいと申請を行いました。その際の取り扱いはどうなるでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 変形労働時間制を採用している場合は時間外労働の免除はしなくてよい
  2. 法定外の時間外労働、休日労働、深夜労働が免除される
  3. 変形労働時間制をとっているので、シフトで法定労働時間を超える時間を設定している日についてはその時間までは働かせることができるが、それを超える時間については免除される

正解:B.法定外の時間外労働、休日労働、深夜労働が免除される

解説:妊産婦が請求した場合、時間外労働、休日労働、深夜労働が免除されます。(深夜労働とは午後10時から午前5時までの間の就業のことを言います)。
変形労働時間制をとられている場合にも、妊産婦が請求した場合、1日および1週間の法定労働時間を超えての労働は免除されます(労働基準法66条)。
上記規定に違反した者は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ5名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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