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人事総務ご担当者様向け 第2回実務トレーニングクイズ

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人事・総務の業務上で、知識をどのように実務に当てはめるかお悩みになる場面も多いかと存じます。

実務に不安を抱える人事・総務のご担当者様にお役立ていただけるよう、実務にまつわる問題をクイズ形式でご用意しました。

こちらの問題で自分の知識を確認してみましょう。

問1 会社都合で業務途中に帰宅させた場合の休業手当の計算

会社の都合で従業員をいつもより2時間ほど早く帰宅させました。会社都合であるため休業手当の支払いを検討する必要があります。しかしながら、2時間分の賃金を控除しても、すでに出勤している時間に相当する賃金(6,000円)は、平均賃金の6割に相当する休業手当(3,800円)を上回っています。どのように判断すればいいでしょうか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 平均賃金を上回っているので休業手当の支払いは必要ない
  2. 控除した2時間分のうち6割を休業手当として支払う必要がある
  3. 控除時間にかかわらず、1日分の休業手当を支払う必要がある

正解:A.平均賃金を上回っているので休業手当の支払いは必要ない

解説:労働基準法第26条は労働者保護の観点から、使用者の責に帰すべき休業については、平均賃金の6割までを休業手当として保障することを義務づけています。休業期間が1労働日に満たない場合の休業手当の額については、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が、平均賃金の6割に相当する額に満たない場合に、その差額を支払わなければならないとしています。

今回のケースでは、現実に就労した時間に支払われる賃金は6,000円であり、休業手当の3,800円を上回っています。そのため休業手当を支払う義務はありません。

しかしながら民法では、債務者(労働者)が債務の履行をなし得なかった場合でも、それが債権者(使用者)の責に帰すべき事由によるものであるときは、債務者は反対給付(賃金)を受ける権利は失わない(民法第536条第2項)とされており、注意が必要です。ただし、この規定は労使の合意で適用しないとすることができ、また民法で規定する「債権者(使用者)の責に帰すべき事由」は労働基準法のそれよりも広く認められているため、必ずしも支払義務が発生するものではありません。

問2 独身者にも支給する家族手当を割増賃金の基礎から除外してもよいか

従業員全員に月額3,000円の家族手当を支給し、更に扶養家族のある従業員には、扶養家族1人につき3,000円を加算して支給しています。例えば、ひと月あたり扶養家族のいない独身者には3,000円、扶養家族が3名いる従業員には12,000円の家族手当が支給されます。この場合、家族手当を割増賃金の計算基礎から除外できるかどうか、どのように判断しますか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 家族手当であるので、割増賃金の計算基礎から除外できる
  2. 従業員全員に支給される家族手当であるから、全割増賃金の計算基礎から除外できない
  3. 家族手当の内、本人及び独身者に支給される部分については、割増賃金の計算基礎から除外できない

正解:C.家族手当の内、本人及び独身者に支給される部分については、割増賃金の計算基礎から除外できない

解説:労働基準法37条5項及び労働基準法施行規則21条において、割増賃金の計算基礎から除外できる賃金として次の7種類の賃金が挙げられています。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金

これらにより、家族手当であれば割増賃金の計算基礎から除外できるように思われますが、7種類の除外賃金に該当するか否かは、名称にかかわらず実質によって取り扱うこととされています(昭和22.9.13発基17)。つまり、家族手当という名称であっても、その内容が家族手当に該当しないものは割増賃金の基礎に入れなければなりません。

割増賃金の基礎から除外される「家族手当」とは『扶養家族数またはこれを基礎とする家族手当額を基準として算出した手当』をいうので、扶養家族に関係なく支給される手当は前述の要件に該当しないことになります。ただし、設問の扶養家族が3名いる従業員に支給される12,000円の家族手当の内、9,000円(扶養家族3名×3,000円)については割増賃金の計算基礎から除外できます。


問3 本人の同意なしに給与から差し押さえ金額を控除してもよいか

従業員がカードローンの返済を滞らせたようで、裁判所から従業員給与に「債権差押命令」が届きました。本人に事情を聞いたところ「滞納したのは事実だが、給与を差し押さえられたら生活できないので困る」と言われてしまいました。給与計算の際、どのように判断しますか。次のうちから正しいものを選んでください。

  1. 賃金支払い5原則の一つ「全額払いの原則」に抵触するので控除できない
  2. 本人の同意の有無にかかわらず、「債権差押命令」に応じて控除しなければならない
  3. 本人の同意があれば、控除することができる

正解:B.本人の同意の有無にかかわらず、「債権差押命令」に応じて控除しなければならない

解説:「債権差押命令」が裁判所から会社に送達され受領すると、その後に支給する給与から差し押さえの効力が発生します。つまり、民事執行法により、会社は差し押さえられた給与を従業員へ支払ってはならないのです。このことは、従業員が差し押さえの事実を知っているかどうか、また控除に同意するかどうかに関係ありません。もし、差し押さえられた給与を従業員に支払ってしまった場合であっても、カードローン会社から差し押さえ給与の支払いを求められた場合には、会社がその支払いに応じなくてはなりませんので取り扱いには注意が必要です。もっとも、従業員の生活もありますから、給与の全額を差し押さえられることはありません。差し押さえ可能な額は民事執行法において定められています。

また、今回のカードローン返済の滞納のような債権者からの差し押さえ以外にも、養育費のような扶養義務等の債権に基づく差し押さえや国民健康保険税などの税金を滞納した場合の差し押さえなどによって給与の差し押さえを受けることがあります。何を滞納したかによって差し押さえ可能額の計算方法は異なります。
いずれにしましても、差押命令以外にも同封物があり、その中に差し押さえ金額の計算方法や差し押さえた給与を会社が債権者へ支払う方法などが記載されていますので、よく読んで対応されることをおすすめします。

今回のクイズはいかがでしたでしょうか?

皆様に知識を広げていただくために、これからも同様の実務クイズを出題してまいりますので、今後ともぜひチェックしてください。

※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。

クイズ提供元:社会保険労務士法人 未来経営(ESコモンズ メンバー)

長野県松本市に拠点を置き、それぞれ専門分野を持つ4名の社会保険労務士が在籍しています。私たちのビジョンである「元気な会社作りのお手伝い」を実現するため、母体である税理士法人未来経営ともに、人事労務分野に積極的に携わり、トータルな企業経営サポートを実現しています。

ESコモンズ主宰 有限会社人事・労務 URL:https://www.jinji-roumu.com/

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。