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インボイス制度Q&A事業者目線の様々な視点から見た疑問をピックアップして、一問一答形式で分かりやすく解説インボイス制度Q&A Vol.2

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事業者目線から見たインボイス制度に関する疑問をピックアップして、図解と共に分かりやすく解説する「Q&A」の第2弾。

今回の記事では、適格請求書の交付が免除される場合や、適格簡易請求書を交付できる場合の解説、また交付した適格請求書に間違いがあった場合や、返品・値引きがあった場合の対応方法等を具体的な事例を交えて解説していきます。


Q10:適格請求書発行事業者は、どのような場合に適格請求書の交付義務があるのですか。また、交付義務が免除される場合はあるのですか。

【A】適格請求書発行事業者には、国内において取引を行った場合に、取引先(課税事業者に限る)の求めに応じて適格請求書を交付する義務が課されます。なお、適格請求書は電子データでの提供も可能です。

ただし、次の取引は、適格請求書の交付義務が免除されます。

  • ① 3万円未満の公共交通機関による運送
  • ② 卸売市場で出荷者から委託を受けた者が卸売業務として行う生鮮食料品等の販売
  • ③ 生産者が農業協同組合、漁業協同組合、森林組合等に委託して行う農林水産物の販売
    (無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る)
  • ④ 3万円未満の自動販売機による商品の販売
  • ⑤ 郵便ポスト投函による郵便サービス

■適用税率(8%・10%)ごとの、対応の違いはありますか?

  1. 取引に係る適用税率は問いませんので、標準税率(10%)の取引のみを行っている場合でも、取引先から交付を求められたときは、適格請求書の交付義務が課されます。
  2. 免税取引、非課税取引及び不課税取引のみを行った場合については、適格請求書の交付義務は課されません。

Q11:適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付できるのは、どのような場合ですか。

【A】適格請求書発行事業者が、不特定かつ多数の者に取引を行う次の業種の場合、適格請求書に代えて、記載事項を簡易化した適格簡易請求書を交付できます。

適格簡易請求書についても、電子データでの提供も可能です。

  • 小売業
  • 飲食店業
  • 写真業
  • 旅行業
  • タクシー業
  • 不特定多数に対して行う駐車場業
  • 上記に準ずる事業で、不特定かつ多数の者に取引を行う事業

Q12:適格簡易請求書の記載事項について教えてください。

【A】適格簡易請求書の具体的な記載事項は、次のとおりです。

  • ① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  • ② 取引年月日
  • ③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • ④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)
  • 税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率(※)
    ※ 「税率ごとに区分した消費税額等」と「適用税率」を両方記載することも可

適格請求書等保存方式においては、適格請求書発行事業者が、小売業など不特定かつ多数の者と取引を行う場合には、適格請求書に代えて、適格簡易請求書を交付することができます。適格簡易請求書の記載事項は、適格請求書の記載事項よりも簡易なものとされており、適格請求書と比べると、

  • 「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載が不要である点
  • 「税率ごとに区分した消費税額等」又は「適用税率」のどちらか一方の記載で足りる点

が異なります。


Q13:適格請求書の様式は、法令又は通達等で定められていますか。

【A】適格請求書の様式は、法令等で定められていません。

適格請求書として必要な事項が記載された書類(請求書、納品書、領収書、レシート等)であれば、その名称を問わず、適格請求書に該当します。

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Q14:返品や値引き等を行う場合、適格請求書発行事業者は、何か対応が必要ですか。

【A】適格請求書発行事業者には、課税事業者に返品や値引き等を行う場合、適格返還請求書の交付義務が課されています。

ただし、適格請求書の交付義務が免除される場合と同様、次の場合には、適格返還請求書の交付義務が免除されます。

  • ① 3万円未満の公共交通機関による運送
  • ② 卸売市場で出荷者から委託を受けた者が卸売業務として行う生鮮食料品等の販売
  • ③ 生産者が農業協同組合、漁業協同組合、森林組合等に委託して行う農林水産物の販売
    (無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る)
  • ④ 3万円未満の自動販売機による商品の販売
  • ⑤ 郵便ポスト投函による郵便サービス

Q15:適格返還請求書の記載事項について教えてください。

【A】適格請求書発行事業者には、課税事業者に対して返品等を行う場合、適格返還請求書を交付する義務が課されています。適格返還請求書の記載事項は、次のとおりです。

  • ①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  • ②返還等を行う年月日と、返品のもととなった取引年月日
  • ③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • ④返還等の金額に係る税率ごとに区分して合計した額(税抜又は税込)
  • ⑤返還等の金額に係る消費税額等又は適用税率

Q16:当社は、請求書を取引先にインターネットを通じて電子データにより提供していますが、この請求書データを適格請求書とすることができますか。

【A】請求書データに適格請求書の記載事項を記録して提供することにより、適格請求書の交付に代えることができます。

適格請求書発行事業者は、国内において取引を行った場合、取引先(課税事業者に限る)から求められたときは、適格請求書に代えて、電子データでの提供が可能です。
ただし、適格請求書発行事業者が提供した電子データをそのまま電子保存する場合は、電子帳簿保存法の要件を満たした状態で保存する必要があります。

電子データによる提供方法としては、光ディスク、磁気テープ等の記録用の媒体による提供のほか、例えば次の方法があります。

  • ① EDI取引における電子データの提供
  • ② 電子メールによる電子データの提供
  • ③ インターネット上にサイトを設け、そのサイトを通じた電子データの提供

(注)EDI(Electronic Data Interchange)取引とは、異なる企業・組織間で商取引に関連するデータを、通信回線を介してコンピュータ間で交換する取引等をいいます。


Q17:交付した適格請求書に誤りがあった場合、何か対応が必要ですか。

【A】

① 売手が交付した適格請求書等に誤りがあった場合

売手である適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書(電子データも含む)の記載事項に誤りがあったときは、買手に対して、修正したそれぞれの書類を交付しなければなりません。

② 買手が交付し売手が確認した仕入れ明細書等に誤りがあった場合

買手が作成した仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当するので、買手において誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手である適格請求書発行事業者に確認を受けます。
この場合は、売手である適格請求書発行事業者は、改めて修正した適格請求書等の交付は必要ありません。

Q18:交付した適格請求書等に誤りがあった場合の、修正した適格請求書等の交付方法について教えてください。

【A】交付方法は

  • 誤りがあった事項を修正し、改めて記載事項の全てを記載したものを交付する方法
  • 当初に交付したものとの関連性を明らかにし、修正した事項を明示したものを交付する方法

などが考えられます。


Q19:当社は機械用部品の卸売業者です。販売先に対しては一カ月ごとに請求書を交付しており、単価や数量誤りなどにより当月の請求金額が変わる場合には、以下のとおり、継続的に翌月の請求書で前月の過少請求又は過大請求分を加減算し調整しています。以下の請求書について登録番号等を追加することで適格請求書の記載事項を満たす場合、現在と同様に当月分の請求書で前月分の過少請求等を調整する記載は認められますか。

【A】過少請求等の調整に関しては、単に誤りを修正するもののほか、返品に該当するものも含まれると考えられます。

返品等については、適格返還請求書を交付しなければなりませんが、適格返還請求書と適格請求書は一つの書類で交付することができます。
したがって、ご質問のような過少請求等について、翌月の請求書で継続的に調整している場合、当月分の請求書で前月分の過少請求等を調整する方法で、修正した適格請求書の交付があったものとして認められます。

この場合における当月分の適格請求書等に記載すべき「税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)」及び「税率ごとに区分した消費税額等」は、前月分の過少請求等について計算を行った調整後の金額となります。


Q20:適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者は、その旨が書面で通知されるそうですが、登録日から通知を受けるまでの間の取引については、既に請求書(区分記載請求書等の記載事項である「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」を記載しており、「税率ごとに区分した消費税額等」の記載はありません。)を交付している場合、改めて、適格請求書の記載事項を満たした書類を交付しなければいけませんか。

【A】

ご質問の場合、登録日から登録の通知を受けるまでの間の取引について、相手方に交付した請求書は、

  • 登録番号
  • 税率ごとに区分した消費税額等

の記載がなく適格請求書の記載事項を満たしていません。

したがって、取引先が仕入税額控除の適用を受けるためには、記載事項を満たしている適格請求書の保存等が必要なので、通知を受けた後は下記のどちらかの対応が必要となります。

  • 「登録番号」「税率ごとに区分した消費税額等」を記載し、適格請求書の記載事項を満たした請求書を改めて相手方に交付する
  • 適格請求書の記載事項として不足する事項を相手方に書面等で通知する

まとめ

適格請求書に決まった形式はありませんが、仕入税額控除を受けるためには、必要な記載事項を満たしている適格請求書等の保存が必要になります。

現在の自社の請求書等に足りない記載事項は何か?またその記載事項を満たす請求書等を作成するには、どういった対応が必要か?

インボイス制度がスタートして取引先に影響が出ないよう、要件を満たす適格請求書等を交付できるように制度開始前までに準備をする事が重要です。


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筆者プロフィール

持木 健太

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役
中小企業診断士

DX推進の総責任者として、テレワーク環境構築・ペーパーレス化・電子帳簿保存法対応・ビジネスモデルの再構築などで活躍中。
企業の労働生産性向上や付加価値向上を目指して、中小企業から上場企業まで幅広く対応している。

持木 健太 氏 連載記事

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