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企業の健康経営への取り組みに必要な人事労務の知識と実践とは中小企業が恐れのない職場を目指すための組織開発視点を解説第7回 自社に合った健康経営宣言を作成しよう

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このシリーズにある「恐れのない職場」とは、言い換えると、痛みがなく心理的安全性が高い職場のあり方を表します。「痛み」には、身体的・心理的・社会的・スピリチュアル(霊的)側面という四つの側面があると言われています。職場というフィールドに置き換えれば、「これはどうなっているんだろう(聴きたいけど聴きづらい…)」などのモヤモヤ感のような心理的痛み、「本当は伝えたいことがあるのだけれど周りのメンバーには話しづらい」などのつながり意識の無さから来る社会的痛み、が生じがちです。

前回の記事では、健康経営の背景と取り組む意義についてご紹介しましたが、今回は、実際に健康経営を促進していく上で要となり、自社のあり方や方向性を捉える機会にもなる健康経営宣言について、解説いたします。

国が掲げる方針

健康経営宣言について、国では以下の選定基準が掲げられています。

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企業はここから逸脱することなく、しかしながら健康経営に取り組む社員がワクワク感をもち、取り組んでみたいと思えるような内容であることが重要です。

さらには、会社のお客さまや協力会社を含めた、会社にまつわる様々なステークホルダーの方々が、この宣言を見たときに、納得感を持てるような健康経営宣言であることが大切ではないでしょうか。

このように、社員一人ひとりの思いを大切にした宣言文をどのように作成したらよいのか、考えていきます。

"個"の時代の健康経営宣言

現代は、パーソナライゼーション、個人の時代と言われており、"人"を資本とする人的資本経営が叫ばれています。また、個の集団である組織では、多様な個が織り交ざりながら成り立っているため、その関係性がとても大切です。

これからは「組織も戦略も人に従う」経営が必要とされ、これまでの機械論的な組織から生命論的な組織へと変わっていきます。

機械論的な組織では、社長のバリューがそのまま数値目標となり、社員の行動となっていました。そこには個人のミッションや思いというものは存在しません。

しかし、個が重視されるこれからの時代において、社員一人ひとりがビジョンやミッションをもち、それらが統合することで会社のバリューとなっていくのです。

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健康経営宣言の作り方

参考までに、個にフォーカスした、健康経営宣言の作成のプロセスをご紹介します。

それは、ビジョン・バリュー・ミッションを軸にして、考えていく方法です。

ここでは、以下の通り定義します。

ビジョンとは、3年後に見たい光景・ありたい姿=未来

バリューとは、生まれてからこれまでの人生で、はつらつとした瞬間、または元気がなかった瞬間=過去

ミッションとは、この職場や地域で健康をテーマに果たしたい役割=現在(過去と未来をつなぐ)

自分の中に浮かぶ光景を思い描き、そこから生まれてきた未来と、過去から導き出された自身が大切にしてきたこと、ワクワクすること、それらを繋ぐことで、"今"の職場や地域で果たしたい役割が見えてきます。
そして、個々人の果たしたい役割=ミッションを統合することで、社員皆のミッション、またパーパスと言えるものが浮かび上がってくるのです。

実際に弊社でも、この宣言作成ワークを実践しました。

まずビジョンでは、レゴを用いて表現をしました。ここでは、手を使い、身体を動かすことで、言語化が難しかったり、言葉にならないものや心の深層にあるものが湧き出てきたり、といった作用があります。頭で考えることから意識的に切り離し、身体感覚を呼び起こすことが、重要な視点になってきます。

例えば、「自分自身の健康な身体」というありたい姿や、「まちの中で緑豊かな人が集うスペース」という風景などが出てきました。

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次にバリューでは、円を用いて、円の外側には出来事、内側にはその時の心情を、"健康"という視点から書き起こしました。

例えば、「親と離れること→不安・精神的負荷が大きい」「コミュニティスペースでの出会い→人と触れ合う楽しさや心地よさを感じた」などが出てきました。

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そしてミッションでは、ビジョンとバリューの両面から見えてきた、自身の果たしたい役割を付箋に書き出しました。

「皆でお互いを育て合う会社」「健康で豊かであるための選択肢づくり」「自分がワクワク働くことで周囲もワクワク働ける環境をつくる」「人・自然・ものを"つなぐ"存在」など、多様な思いが生まれました。

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最後に、それぞれのミッションを合わせて、共通する部分を導き出し、文言をまとめました。

まとめ

今回は、個の思いを大切にした健康経営宣言の作り方について、ご説明しました。
健康経営に取り組む上で、一つの指標となる健康経営宣言。社長一人で、または総務部やCSR部門など特定の部署だけで宣言文を作るのではなく、一人ひとりがどのようなストーリーを持って、この宣言文に自分の思いを重ねているのか。それらを社内で共有する、皆で創り進めていくプロセスを持てると良いのではないかと思います。

筆者プロフィール

白川 くるみ(しらかわ くるみ)

有限会社人事・労務 コンサルタント
903シティファーム推進協議会 事務局

千葉大学教育学部卒業後、大学院在学中に903シティファームに出会う。活動に携わりながら、在学中のインターンを経て有限会社人事・労務に入社。労働・社会保険手続き、給与計算等を中心に、業務のサポートに関わり、中小企業の組織運営の健全性向上に注力する。
903シティファーム推進協議会では、コミュニティマネージャーとして、農と食を通じて地域をつなげるをコンセプトに、地域でのコミュニティ作りを実践している。
関心のある教育や環境問題の視点から、SDGsや、さらにその先のウェルビーイングな社会を目指し、自らの実践を踏まえて、企業や社員に向けた新しい働き方や経営のあり方を伝えるべく活動している。

  • 「法制化記念フォーラムin宇都宮 新しい働き方から持続可能な地域づくりに向かって」(ワーカーズコープ 北関東事業本部)
  • RSデイリーニュース #人事・労務のポイント」執筆(あいおいニッセイ同和損害保険モーター営業開発部)
  • SDGsの意味とは?目的やウェルビーイングなどの用語を解説」執筆(ピー・シー・エー株式会社 P-Tips
  • 講演「若手社員の採用と定着」(主催:東上ガス株式会社)
  • 講演「法制化記念フォーラムin宇都宮 新しい働き方から持続可能な地域づくりに向かって」(主催:ワーカーズコープ北関東事業本部)

白川 くるみ 氏 連載記事

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。