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労務管理とは? 業務の内容や注意すべきポイントなどを詳しく解説

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企業が活動を継続し、成長を目指すためには従業員の労働を管理する必要があります。そしてこの労働環境・労働条件の管理を行う業務が「労務管理」です。

また従来は紙ベースで行われてきた労務管理ですが、近年は労務管理システムを導入しペーパーレス化を行う企業も増えています。

本記事では労務管理の概要や仕事内容、労務管理の注意点に加え、労務管理システムの選び方のポイントについても解説します。

「労務管理を見直したい」「ITツールで労務管理の効率化を目指したい」という企業様、担当者様はぜひご参考にしてみてください。

労務管理とは

労務管理は企業が従業員を適切に管理し、労働関係の法的義務を遵守するための業務です。

経営資源のなかでも「人(従業員)」の質や量は、企業活動に大きく左右します。

労務管理は適切な労働時間の管理や福利厚生の提供、従業員の健康管理など、法令を遵守しながら従業員の働きやすい環境を整え、従業員のパフォーマンスの最大化をはかります。

そして企業の生産性向上により、最終的には「企業全体の業績向上を図ること」が目指すべきゴールとなります。

労務管理の目的

労務管理の目的は大きく分けて以下の3つです。

法令遵守の確保

労働基準法や労働安全衛生法など、労働に関する法令を遵守することは企業にとって不可欠です。

法令違反が発覚すると、企業は罰則を受けるだけでなく、社会的信用を失う可能性があります。労務管理はこれを防ぐため、法令違反にならぬよう人材・労働環境の管理を行わなければなりません。

従業員の幸福と安全の確保

従業員が安心して働ける環境を提供することは、労務管理の重要な目的です。

労働条件の整備や安全衛生管理、健康診断の実施などを通じて、従業員の健康と安全を守り、快適に働ける環境を整備します。

生産性の向上

労務管理を適切に行うことで、従業員が効率よく働ける環境を整えることができます。これにより、生産性の向上や業績の向上が期待できます。

労務管理と人事管理の違い

労務管理と人事管理は、いずれも従業員に関わる業務ですが、その焦点や目的には違いがあります。

労務管理は、主に労働条件の整備や労働時間の管理、法令遵守に関する業務を担当します。

その目的は、先述のとおり「法令を遵守しながら従業員の労働環境を整備すること」です。

一方人事管理は、従業員の採用、配置、評価、育成など、人材に関する戦略的な業務を担当します。

人事管理の目的は「適材適所の人材配置と従業員の能力開発を通じて、企業の競争力を向上させること」にあります。

労務管理の業務内容

労務管理には多岐にわたる業務が含まれます。代表的な業務内容は以下のとおりです。

法定三帳簿の作成・管理

法定三帳簿とは、労働基準法に基づいて企業が作成・管理する必要がある「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」のことです。

労働者名簿 従業員それぞれの個人情報をまとめたもの
賃金台帳 従業員それぞれの賃金支払い状況をまとめたもの
出勤簿 従業員それぞれの勤務(出勤)情報をまとめたもの

これらの帳簿は、労働基準監督署からの監査に備えて正確に作成・保管する必要があり、労務管理担当者が作成しています。

雇用契約書・労働条件通知書の作成

新たに従業員を雇用する際や契約社員の契約更新時には、労務管理が労働(雇用)契約書を作成し、労働条件通知書を発行します。

これにより労働条件を明確にし、後々のトラブルを防ぐことができます。

雇用契約書は労働契約法および民法にもとづいて労働契約を交わしたことを証明する書面です。同契約書には労働時間、賃金、業務内容などが記載されます。

また就業時間や業務内容、休日などを明記した労働条件通知書は、入社手続きが完了したあと、および労働条件が変更になったときに交付します。

就業規則の作成

就業規則は従業員の権利と義務を定める重要な文書です。企業は労働基準法に基づき、従業員10人以上の場合は就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る義務があります。

就業規則の作成も労務管理の業務のひとつであり、労働時間、休暇、給与、懲戒処分などが記載されます。

社会保険や雇用保険の加入手続き

従業員の入退社時は、労務管理が従業員の社会保険に関する手続きを行います。

具体的には健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の手続きが含まれ、都度適切な手続きを行うことが重要です。

勤怠管理

従業員の出勤・退勤時間や休暇の管理を行うことも労務管理の業務です。

適切な勤怠管理を行い法定労働時間の遵守、および残業の抑制を行います。勤怠データは給与計算の基礎データとしても重要なため、間違いのないよう厳正な管理が求められます。

給与計算

毎月の給与を正確に計算し、支払う給与計算も労務管理の業務範囲です。

給与計算では基本給、残業手当、各種手当、賞与、控除額などを正確に反映する必要があります。このときの給与額が従業員の所得税、住民税の算定に大きな影響を与えるため、抜け漏れや誤りなく正確な給与計算が必須です。

福利厚生

従業員の福利厚生制度を運営し、従業員の生活の質を向上させることも労務管理の務めです。

福利厚生には健康保険や厚生年金などの「法定福利厚生」、住宅手当や育児休業制度など任意で行う「法定外福利厚生」が含まれます。

充実した福利厚生は従業員のモチベーションを高め、離職率を低下させる効果があります。

安全衛生管理

労務管理では職場の安全性を確保し、労働災害の予防策を実施することも重要です。

安全衛生管理には労働安全衛生法に基づく安全衛生委員会の運営や、定期的な安全衛生教育の実施、衛生管理者・安全管理者の選任が含まれます。

従業員の健康管理

従業員の健康状態を管理し、必要な医療サポートを提供します。具体的には定期健康診断の実施や、ストレスチェック(※従業員50名以上の企業)の実施が含まれます。従業員の健康を守ることで、長期的な生産性向上が期待できます。

休職・異動手続き

従業員の休職や職務異動に関する手続きを行うのも労務管理の仕事です。

休職には病気休職や育児休業、介護休業などが含まれます。

異動手続きは、従業員のキャリアパスや業務の適正配置を考慮して行います。

労務管理に必要な資質

労務管理に従事する人には、以下の資質が求められます。

法令に関する知識

労務管理に携わる場合、労働基準法や社会保険法などの労働関係の法令に精通していることが重要です。法令を正しく理解し、適用する能力が求められます。

また、法改正が行われることも多いため、常に新たな情報をキャッチアップする能力も必要です。

人事管理能力

適切な人事管理を通じて、従業員のモチベーションとパフォーマンスを向上させることが重要な責務となります。よって労務管理に携わる者は、従業員の雇用や評価、育成など、人事管理に関する知識と経験が必要です。

コミュニケーション能力

労務管理者は、経営者や従業員とのコミュニケーションを円滑に行う必要があります。

明確な説明や適切な対応を通じて、信頼関係を築けるコミュニケーション能力は必須といえるでしょう。

問題解決能力

労務管理に従事する場合、労働問題や労使紛争が発生した際に迅速に対応し、問題を解決する能力が求められます。このとき冷静かつ客観的に状況を分析し、適切な解決策を見出すことが重要です。

労務管理における注意すべきポイント

労務管理を行う際には、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。

コンプライアンス(法令順守)

労務管理を行う際は、労働基準法や社会保険法、労働安全衛生法などの法令を厳格に遵守することが求められます。

法令違反は企業にとって重大なリスクとなるため、常に最新の法令(法改正の内容含む)を把握し、遵守する体制を整えることが重要です。

また内部監査や外部監査を定期的に実施し、コンプライアンス体制をチェックすることも効果的です。

多様な働き方への対応

現在、多様な働き方が求められる時代となっています。

よって労務管理においては、フレックスタイム制度やテレワーク制度(在宅勤務)、育児・介護休業制度など、従業員のライフスタイルやニーズに応じた柔軟な働き方を提供することが重要です。

就業規則の見直しを行なったり、社内規定の改定・新設を行ったりすることで、柔軟な働き方ができる従業員のワークライフバランスを向上させられます。これによりモチベーションと生産性の向上を図ることができるでしょう。

従業員が働きやすい職場環境の構築

労働環境の改善は、従業員の満足度と生産性を高めるために不可欠です。

そのためには職場の物理的な環境(オフィスのレイアウトや設備など)だけでなく、心理的な環境(職場の雰囲気や人間関係など)も考慮する必要があります。

また働き方改革の関連法案によって、労働環境の整備は急務となっています。

企業、および労務管理担当者は定期的なアンケート調査やヒアリングを行い、従業員の意見を収集しながら労働環境の改善策を講じることが重要です。

生産性を意識した業務改善

労務管理は単なる管理業務にとどまらず、生産性向上に貢献する役割を担っています。

近年はバックオフィス業務においても業務プロセスの見直しや効率化、ITツールの導入などを通じて効率を高めることが求められています。

とりわけ「勤怠管理システム」や「給与計算システム」の導入・連携は多くの企業が検討しており、ペーパーレス化が推進されつつあります。

ITツールを導入・連携すれば手作業によるミスを減らし、承認作業を省略化することができます。これにより業務効率を大幅に向上させることが可能です。

労務管理システムを選ぶ際のポイント

労務管理システムを導入すると、業務効率の向上やコンプライアンスの強化が図れます。労務管理システムを選ぶ際のポイントを説明します。

1.操作性が良く誰でもスムーズに使えるものを選ぶ

労務管理システムを選ぶ際には、操作が簡単で直感的であることが重要です。

労務管理業務を担当するスタッフはもちろん、すべての従業員がシステムをスムーズに使いこなせるよう、トレーニングやサポート体制が整っているシステムを選びましょう。

可能であればトライアル利用などを行い、実際の操作感を確認されることをお勧めします。

2.自社業務に合った機能が備わっているものを選ぶ

労務管理システムを選ぶ際には、勤怠管理、給与計算、社会保険手続きなど、必要な機能が揃っているか確認しましょう。このとき重要なのは、自社の業務フローに合った機能を持つシステムを選ぶことです。

たとえば若年層の従業員が多い企業の場合、「高年齢雇用継続給付の手続き」などシニア層の雇用に関連する機能は取り急ぎ必要ではない可能性が高いでしょう。現状に照らし合わせ、最適な機能を備えた労務管理システムを選ぶことで使い勝手も良くなります。

なお、将来的な機能追加を予定している場合は、ツールの拡張性・カスタマイズ性も確認しておくと安心です。

3.セキュリティ対策が万全なものを選ぶ

労務管理システムには従業員の個人情報が多数含まれます。そのため、データのセキュリティ対策が万全であることが必須です。

労務管理ツールを選ぶ際は、暗号化やアクセス制限などのセキュリティ機能が備わっているか確認しましょう。

4.コストパフォーマンスの高いものを選ぶ

労務管理システムを導入する場合は初期コストや運用コストを考慮し、費用対効果の高いシステムを選ぶことが重要です。

初期費用だけに注目するのではなく、月々のランニングコストやサポート費用も含めて総合的に判断しましょう。

5.給与計算システムと連携しやすいものを選ぶ

労務管理システムを選ぶ際には、給与計算システムとの連携がスムーズに行えるものを選びましょう。

双方のシステムを連携させれば勤怠データを自動で給与計算に反映させることができます。これにより手作業によるミスを減らし、効率的な運用が実現できるでしょう。

また、データの一元管理ができるため、情報の重複入力やデータ整合性の問題も回避できます。

システム導入前には現在使用している給与管理システムとの互換性、API連携の有無を確認しておきましょう。よりシームレスな連携を行いたい場合は、給与計算システムと同じメーカーで統一するのもおすすめです。

6.サポートが手厚いものを選ぶ

労務管理システムを選ぶ際には、システムの操作に関する問い合わせ対応や、トラブル発生時の対応が迅速で手厚いかどうかを確認しましょう。

特に初めてシステムを導入する企業や、ITに詳しくない担当者がいる場合には、操作説明やトラブル発生時の対応が早いサポート体制があると安心です。

また導入時のトレーニングや、定期的なアップデートに関する情報提供も重要です。手厚いサポートがあることで安心してシステムを活用でき、労務管理の効率化を図ることができます。

生産性向上や企業の価値上昇のためにも労務管理を改善していこう!

適切な労務管理の実施は、企業の生産性向上、および価値の上昇に直結します。従業員が安心して働ける環境を提供することで、従業員のモチベーションとパフォーマンスが向上し、企業全体の業績向上につながるでしょう。

またデジタル化の進展に伴い、労務管理業務もITツールを活用することが重要です。労務管理システムを導入することで、業務の効率化や正確性の向上が図れます。特に中小企業にとっては、限られたリソースを有効に活用するためにデジタルツールの導入が鍵となります。

労務管理を改善し、従業員の満足度と企業の競争力を高めるためには、常に最新の情報を収集しながら適切な対策を講じることが求められます。労務管理システムのようなITツールもうまく活用しつつ、法令遵守も徹底しつつ従業員が働きやすい環境を整え、企業の持続的な成長を目指しましょう。

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