公開日:2023/08/25
更新日:2025/04/30
「パルスサーベイとは何か」「ストレスチェックとの違いは何か」と問われたら、あなたは十分に説明できるでしょうか。
本記事では、パルスサーベイの定義や特徴、メリット・デメリット、具体的な活用事例までを徹底解説します。また、法律で義務付けられているストレスチェックとの違いについても取り上げ、それぞれの目的や実施頻度、質問内容の違いを確認します。さらに、パルスサーベイ導入のポイントについても触れているので、従業員のエンゲージメント向上や組織改善に役立てたい人事担当者や経営者の方にとって必見の内容です。
パルスサーベイを効果的に活用するための知識を身につけ、組織活性化への第一歩を踏み出しましょう。
従業員の働きがいを高め、生産性向上や離職率低下につなげるためには、従業員の状況を正確に把握することが重要です。そのための有効な手段として、パルスサーベイとストレスチェックがあります。まずは、それぞれがどのようなものか、概要を理解しましょう。
パルスサーベイとは、従業員のエンゲージメントや満足度、組織の状況などを把握するための短い質問を、定期的に繰り返して行う調査です。「パルス(pulse)」は脈拍、「サーベイ(survey)」は調査を意味し、脈拍を測るように、短い間隔で従業員の状況を継続的に把握することを目的としています。
パルスサーベイは、数問の質問で構成され、回答にかかる時間は数分程度と短時間で完了するように設計されています。実施頻度は組織のニーズに合わせて選びますが、定点観測と課題の早期発見・対処を狙うなら、月1回程度行うことが望ましいでしょう。主な特徴は以下のとおりです。
パルスサーベイを実施することで、以下のような従業員の状況を把握できます。
具体的な質問例を挙げます。質問形式は、5段階評価、複数選択、自由記述など、さまざまな形式が利用可能です。従業員の思いを吸い上げやすいかどうか、組織全体の評価や推移のモニタリングがしやすいかどうかを考えて、質問項目や形式を組み立てます。
質問内容 | 質問形式の例 |
---|---|
あなたは現在の仕事にやりがいを感じていますか? | 5段階評価 |
あなたは職場の人間関係に満足していますか? | 5段階評価 |
あなたは現在の仕事量に満足していますか? | 5段階評価 |
直近1週間で、仕事で強いストレスを感じたことはありますか? | 複数選択(例:はい/いいえ) |
あなたのチームのコミュニケーションは円滑だと思いますか? | 5段階評価 |
現在の仕事で困っていることはありますか? | 自由記述 |
これらの質問を通して、従業員の状況を多角的に把握し、組織改善に役立てられます。
ストレスチェックとは、労働安全衛生法に基づき、職場における心理的な負担の程度を把握するための検査で、年に1回以上の実施が義務付けられています。従業員自身のストレスへの気づきを促し、メンタルヘルス不調の予防につなげることを目的としています。
ストレスチェックは、労働安全衛生法に基づき、事業者が従業員のメンタルヘルス対策を行うための仕組みの一つです。ストレスチェックの実施により、従業員が自身のストレス状況を客観的に把握し、必要に応じて医師との面談指導を受ける機会を提供することで、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的としています。
ストレスチェックは、労働安全衛生法第66条の10に基づいて実施が義務付けられています。ストレスチェックの実施方法、結果の取り扱い、医師による面接指導などが規定されています。
ストレスチェックは、一般的に以下の手順で実施されます。
パルスサーベイを実施するメリット・デメリットを整理して解説します。
パルスサーベイの主なメリットは以下のとおりです。
メリット | ポイント |
---|---|
低コストで実施できる | パルスサーベイは、数問程度の簡単な質問をオンラインで実施することが多いため、従来のアンケート調査に比べて、印刷費や郵送費などのコストを抑えられます。 |
回答者の負担が少ない | 質問数が少なく、回答にかかる時間が短いため、従業員の負担を軽減できます。そのため、回答率の向上も期待できます。 |
リアルタイムな状況把握 | 短い周期で定期的に実施することで、従業員の状況の変化をリアルタイムに把握できます。 |
迅速な対応が可能 | 問題を早期に発見し、迅速な対策を講じることができます。 |
改善効果の測定 | 定期的に実施することで、施策の効果を測定し、職場改善につながります。 |
従業員のエンゲージメント向上 | 従業員の声を聴く機会が増えることで、従業員の会社へのエンゲージメント向上につながります。 |
パルスサーベイの主なデメリットは以下のとおりです。
デメリット | ポイント |
---|---|
深い内容の把握が難しい | 質問数が少ないため、自由記述欄を設けない限り、従業員の意見や考えを深く掘り下げることが難しい場合があります。 |
マンネリ化 | 同じような質問が続くと、回答がマンネリ化してしまう可能性があります。 |
実施頻度と設問数のバランス | 実施頻度が高すぎると、従業員の負担になる可能性があります。逆に、実施頻度が低すぎると、リアルタイムな状況把握が難しくなります。また、設問数が多すぎる場合、回答率の低下につながりかねません。適切なバランスを見つける必要があります。 |
適切なフィードバック | パルスサーベイを実施するだけでは意味がありません。結果に基づいて適切なフィードバックを行い、改善策を実施することが重要です。 |
ツール選定の難しさ | さまざまなパルスサーベイツールが存在するため、自社に合ったツールを選定することが難しい場合があります。費用や機能、使いやすさなどを比較検討する必要があります。 |
これらのデメリットを理解したうえで、パルスサーベイを効果的に活用することが重要です。
パルスサーベイサービスの「Res-Q」は、離職の予兆がみられる場合のアラートやコメント機能など、その場その場での対応につながるだけでなく、中長期的な職場改善にも活かせます。毎月たった1分で直感的に回答できる設問の構成で、スマホでも利用でき、従業員にとっての負担もありません。
パルスサーベイとストレスチェックは、どちらも従業員の状況把握を目的とした調査ではありますが、その目的、実施頻度、質問内容には大きな違いがあります。以下の表で整理します。
項目 | パルスサーベイ | ストレスチェック |
---|---|---|
目的 | 従業員のエンゲージメント向上、組織課題の早期発見と解決が目的。 従業員の満足度やモチベーション、職場環境への意見などをリアルタイムで把握し、組織改善や離職防止につなげることを目指します。 | メンタルヘルス不調の未然防止が目的。 法律に基づき、従業員のストレス状態を把握し、高ストレス者に対しては医師による面接指導につなげることで、メンタルヘルス不調の予防に貢献します。 |
実施頻度 | 高頻度(週次、月次など)。 短い周期で実施することで、変化の兆候を早期に捉えることができます。 | 年1回以上。 法律で義務付けられています。 |
質問内容 | 目的や状況に応じて柔軟に設定可能。 従業員満足度、職場環境、仕事へのモチベーション、特定のプロジェクトに関する意見など、多岐にわたるテーマを設定できます。 | ストレスの原因、心身の自覚症状、周囲のサポートに関する質問が必須となっています。 |
パルスサーベイは、従業員のエンゲージメント向上や組織課題の早期発見を目的としています。一方、ストレスチェックは、メンタルヘルス不調の未然防止を目的とした法定の検査です。
パルスサーベイは、週次や月次など高頻度で実施されます。これにより、従業員の状況の変化をタイムリーに把握できます。ストレスチェックは、年に1回以上の実施が義務付けられています。
パルスサーベイの質問内容は、企業のニーズに合わせて自由に設定できます。ストレスチェックでは、ある程度質問の内容に幅をもたせられますが、心理的な負担に関する必須事項が設けられています。
パルスサーベイは、さまざまな人事課題の解決に役立ちます。具体的な活用事例を以下に示します。
従業員の離職は、企業にとって大きな損失です。パルスサーベイを実施することで、離職の兆候を早期に発見し、対策を講じられます。たとえば、従業員の仕事への満足度や職場環境に対する不満を把握し、改善することで、離職率の低下につなげることが期待できます。
これらの質問への回答を分析することで、離職リスクの高い従業員を特定し、個別面談などを通して適切な対応が可能となります。
従業員エンゲージメントは、企業の業績向上に大きく貢献すると言われています。パルスサーベイを活用することで、従業員エンゲージメントの現状を把握し、向上させるための施策を検討することができます。
これらの質問への回答を分析することで、従業員エンゲージメントを向上させるための課題を特定し、具体的な対策を立てられます。
パルスサーベイは、組織全体の課題を把握し、改善するためのツールとしても活用できます。たとえば、部署間の連携不足やコミュニケーションの問題点を明らかにすれば、具体的な職場改善の第一歩となり、組織全体の生産性向上につながります。
これらの質問への回答を分析することで、組織全体の課題を特定し、組織改革や業務プロセス改善などの施策を検討できます。たとえば、部署間のコミュニケーションを活性化させるために、部門横断型のプロジェクトを立ち上げる、といった対策が考えられます。
上記以外にも、パルスサーベイはさまざまな用途で活用できます。たとえば、以下のような活用事例があります。
活用事例 | 内容 |
---|---|
新規採用者のオンボーディング | 新入社員の不安や疑問を早期に解消し、スムーズな職場適応を支援するために活用できます。 |
人事異動後のフォローアップ | 異動後の従業員の状況を把握し、必要なサポートを提供するために活用できます。 |
研修効果の測定 | 研修の効果を測定し、研修内容の改善につなげるために活用できます。 |
リーダーシップ開発 | リーダーの強み弱みを把握し、育成に役立てられます。 |
ハラスメント対策 | ハラスメントの発生状況を把握し、未然防止に役立ちます。 |
このように、パルスサーベイはさまざまな人事課題の解決に役立つツールです。自社の課題に合わせて、適切な質問内容を設定し、定期的に実施すれば、従業員満足度向上や組織の活性化につなげることが期待できます。
パルスサーベイを効果的に活用するためには、導入前にいくつかのポイントを押さえる必要があります。適切なツールを選定し、質問内容を精査し、結果を分析してフィードバックすることで、従業員のエンゲージメント向上や組織改善が進みます。
パルスサーベイを実施するには、適切なツールの選定が重要です。さまざまなツールが提供されているため、自社のニーズに合ったツールを選ぶ必要があります。ツール選定の際には、以下の点を考慮しましょう。
無料ツールから有料ツールまでさまざまな選択肢があります。より高度な分析やフィードバック機能を求める場合は、有料ツールを検討する必要があるでしょう。ストレスチェックの集団分析結果などを参考に、自社の課題にあわせて選びましょう。
パルスサーベイで得られる情報は、質問内容によって大きく左右されます。実施目的を明確にし、それに沿った質問を設定することが重要です。質問内容を設定する際のポイントは以下のとおりです。
パルスサーベイでは、さまざまな種類の質問を用いることができます。主な質問の種類とそれぞれのメリット・デメリットを以下に示します。
質問の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
自由記述式 | 回答者の生の声を聞ける | 定量的な分析が難しい場合がある |
選択式 | 集計・分析が容易 | 回答の幅が限定される |
評定尺度式 | 定量的な分析が可能 | 回答者の主観に左右される |
上記を踏まえて質問の仕方を組み合わせるのがおすすめです。
以下は、パルスサーベイでよく用いられる質問の具体例です。これらの質問を参考に、自社の状況に合わせた質問を作成しましょう。
パルスサーベイを実施したら、結果を分析し、フィードバックすることが重要です。結果分析のポイントは以下のとおりです。
分析結果に基づいて、具体的な改善策を立案し、実行することが重要です。また、従業員にフィードバックすることで、パルスサーベイへの参加意欲を高め、より精度の高いデータを得ることができます。フィードバックの際には、以下の点に注意しましょう。
これらのポイントを踏まえ、パルスサーベイを効果的に活用することで、従業員エンゲージメントの向上、離職率の低下、組織風土の改善といった効果が期待できます。従業員の意見を定期的に収集し、組織改善につなげることで、より良い職場環境を構築していくことができるでしょう。
本記事では、パルスサーベイとストレスチェックの違いを中心に、パルスサーベイのメリット・デメリット、活用事例、導入ポイントなどを解説しました。
パルスサーベイは、従業員のエンゲージメントや組織の状態をリアルタイムで把握するための手軽なサーベイであり、ストレスチェックは労働安全衛生法に基づき、年に1回以上の実施が義務付けられているものです。目的や実施頻度、質問内容が大きく異なるため、それぞれの特性を理解することが重要です。
パルスサーベイを効果的に活用することで、離職防止や従業員エンゲージメント向上、組織改善といった効果が期待できます。導入にあたっては、適切なツール選定、質問内容の設定、結果分析とフィードバックを丁寧に行うことが成功の鍵となります。
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