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令和6年(2024年)の年末調整のポイント解説

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令和6年の年末調整の概要

令和6年の年末調整においての話題は何といっても定額減税ですが、その他源泉徴収手続きの簡素化を図り、納税者利便を向上させる観点から、下記の年末調整関係書類について様式変更が行われる予定です(確定版は令和6年9月下旬に公表予定)。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書

また、住宅ローン控除の適用に係る手続きも変更されます。今回は令和6年の年末調整のポイントを解説します。

年末調整関係書類の様式変更

令和7年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

前年に提出を受けた扶養控除等申告書に記載された事項から異動がない場合には、異動がない旨の記載によることができることとされました。この前年から異動がない旨を記載した申告書を「簡易な申告書」といいます。この簡易な申告書は、本人の氏名、住所及びマイナンバーを記載の上、異動がない旨を余白に記載する等して提出します。

このため、簡易な申告書の提出を受けようとする給与等の支払者は、前年に提出を受けた扶養控除等(異動)申告書に記載された内容を把握しておく必要があります。

令和7年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

令和6年分 給与所得者の保険料控除申告書

以下の記載事項が削除されました。

  • 「生命保険料控除」欄の「保険金等の受取人」欄のうちの「あなたとの続柄」欄
  • 「地震保険料控除」欄のうちの「保険料等の対象となった家屋等に居住または家財を利用している者等の氏名」に係る「あなたとの続柄」欄
  • 「社会保険料控除」欄の「保険料を負担することになっている人」欄のうち「あなたとの続柄」欄

令和6年分 給与所得者の保険料控除申告書

令和6年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書

「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」に定額減税に係る記載欄が追加されました。これに伴い、「給与所得者の基礎控除申告書」については「本人定額減税対象」欄が追加されました。この欄には、本人の令和6年分の合計所得金額の見積額が1,805万円以下である場合にチェックを入れます。また、「給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」については「配偶者定額減税対象」欄が追加されました。この欄には、本人の令和6年分の合計所得金額の見積額が1,805万円以下であり、かつ同一生計配偶者の令和6年の合計所得金額の見積額が48万円以下である場合にチェックを入れます。

令和6年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書

定額減税の概要については以下の記事をご参照ください。
令和6年度(2024年度)6月スタート定額減税を詳しく解説

令和7年分 給与所得者の源泉徴収簿

裏面について、令和6年分の年末調整で使用できる計算欄が追加されました。

※この計算欄は、定額減税の計算に対応するためのものですので、令和7年分の年末調整の計算には使用できません。

令和7年分 給与所得者の源泉徴収簿

その他

住宅ローン控除の適用に係る年末調整手続きの簡略化

概要

従来の制度においては、年末調整で住宅ローン控除の適用を受けようとする人は、金融機関等から交付を受けた「年末残高証明書」を勤務先に提出しなければならないこととされていました(以下「証明書方式」といいます)。この手続きについて、令和4年度の税制改正により、金融機関が税務署に「年末残高調書」を提出し、税務当局が納税者に住宅ローンの「年末残高情報」を提供する方式(以下「調書方式」といいます)に変更する改正が行われています。

この改正は、居住年が令和511日以後である者が、令和611日以後に行う年末調整について適用されますが、金融機関等においてこの改正に対応するためのシステム改修等への対応が困難な場合には、引き続き「証明書方式」とすることができる経過措置が設けられています。

手続き

(1) 借入先の金融機関等が「調書方式」に移行している場合
納税者は、金融機関に対しマイナンバー等を記載した「住宅ローン控除の適用申請書」を提出することとされています。その後、税務当局から「年末残高情報」がマイナポータル等を通じて通知されますので、書面で出力し、勤務先に提出します。

(2) 借入先の金融機関等が「調書方式」に移行していない場合
住宅ローンの債権者である金融機関等が、まだ「調書方式」に移行していない場合には、従来どおり、金融機関等から年末残高証明書の交付を受け、「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等特別控除計算明細書」と合わせて勤務先に提出します。現状は多くの金融機関等が経過措置を利用していますので、「証明書方式」での手続きが多くなることが予想されますが、どの金融機関がいつ「調書方式」へ移行するかは不透明ですので、改正の内容は理解しておくのがよいかと思われます。

「調書方式」へ移行した金融機関の一覧は国税庁のHPでも見ることができます。

年末残高調書を用いた方式(調書方式)に対応した金融機関の一覧


まとめ

本記事では、令和6年の年末調整のポイントについて解説しました。年末調整は給与担当や総務担当にとって、とても負担の大きい業務です。昨年はインボイス対応、今年は定額減税の対応と、会社の事務負担は増える一方ですが、少しでも前倒しで業務が進められるよう、知識の助けとなれば幸いです。

本稿は、令和6年8月9日時点での国税庁の情報に基づき執筆しました。

今後、解説内容に変更が生じる可能性もありますので、最新情報は国税庁サイトでご確認ください。

参考リンク:簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)(国税庁)

参考リンク:変更を予定している年末調整関係書類(事前の情報提供)(国税庁)

参考リンク:住宅ローン控除の適用に係る手続(年末残高調書を用いた方式)について(国税庁)

筆者プロフィール

鈴木 早人(すずき はやと)

沖縄税理士会那覇支部所属

税理士法人Bricks&UK 沖縄事務所 所長

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。