更新日:2022/04/05
中小企業(従業員数100~500名)の人事担当者308名を対象に、「パワハラ防止施策」に関する実態調査を実施いたしました結果、約8割の人事担当者から「利害関係が無い」「守秘義務の担保」「メンタルの専門家」の要素を持つ外部相談窓口を求める声があり、来たるパワハラ防止法施行に効果のある施策を実施していく必要が浮き彫りになりました。
詳細な結果を説明していきます。
「パワハラ防止施策」に関する実態調査
調査概要:「パワハラ防止施策」に関する実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年2月15日〜同年2月17日
有効回答:中小企業(従業員数100~500名)の人事担当者308名
「Q1.あなたのお勤め先では、2022年4月から中小企業を対象に施行される「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」に関して、対応策を実施していますか。」(n=308)と質問したところ、「実施している」が52.0%、「実施はしていないが、具体的な施策を予定している」が14.9%という回答となりました。
Q1で「実施している」と回答した方に、「Q2.あなたのお勤め先が現在実施している対応策を教えてください。(複数回答)」(n=160)と質問したところ、「社内相談窓口の設置」が84.4%、「社内体制・就業規則の整備」が67.5%、「ハラスメント事案の共有」が60.6%という回答となりました。
・社内相談窓口の設置:84.4%
・社内体制・就業規則の整備:67.5%
・ハラスメント事案の共有:60.6%
・従業員、管理職、窓口担当者向けの研修:55.6%
・e-learningの活用:34.4%
・その他:5.6%
・わからない:0.0%
Q2で「わからない」以外を回答した方に、「Q3.あなたが現在実施している対応策がQ2以外にあれば自由に教えてください。(自由回答)」(n=160)と質問したところ、「コンサルタントによるパワハラ防止に向けた研修や意見交換」や「ハラスメント事例研究」など82の回答を得ることができました。
自由回答・一部抜粋
Q1で「実施している」と回答した方に、「Q4.あなたのお勤め先のハラスメント防止施策の効果を実感していますか。」(n=160)と質問したところ、「あまりそう感じない」が25.6%、「全くそう感じない」が2.5%という回答となりました。
Q1で「実施している」と回答した方に、「Q5.あなたのお勤め先におけるハラスメント防止施策の課題を教えてください。(複数回答)」(n=160)と質問したところ、「適切なアドバイスが難しい」が36.9%、「同じ会社の従業員への相談にハードルがある」が36.2%、「全社への目的や背景の周知を徹底できていない」が29.4%という回答となりました。
Q5で「特にない」「わからない」以外をご回答の方に、「Q6.あなたのお勤め先におけるハラスメント防止施策の課題がQ5以外にあれば自由に教えてください。(自由回答)」(n=135)と質問したところ、「当事者の意識がない社員への対応」や「教育の継続」など65の回答を得ることができました。
自由回答・一部抜粋
Q1で「実施はしていないが、具体的な施策を予定している」「実施はしていないが、検討している」と回答した方に、「Q7.実施のハードルや難しいポイントを教えてください。(複数回答)」(n=90)と質問したところ、「従業員からの声の吸い上げ」が45.6%、「ハラスメントに関する教育」が45.6%、「対応に必要な人材やノウハウがない」が38.9%という回答となりました。
「Q8.利害関係がなく、守秘義務が担保されているメンタルの専門家に相談できるハラスメント防止サービスに興味はありますか。」(n=308)と質問したところ、「非常にそう思う」が26.9%、「ややそう思う」が49.4%という回答となりました。
今回は、中小企業(従業員数100~500名)の人事担当者308名を対象に、「パワハラ防止施策」に関する実態調査を実施いたしました。
まず、2022年4月から中小企業を対象に施行される「パワハラ防止法」の対応策に関して、52.0%の企業が「実施」していることがわかりました。そこで、実施している企業へ、具体的な対応策を伺ったところ、「社内相談窓口の設置」が84.4%で最多、次いで「社内体制・就業規則の整備」が67.5%という結果となりました。他にも、「コンサルタントによるパワハラ防止に向けた研修や意見交換」や「ハラスメント事例研究」などの声も挙がりました。
一方で、4社に1社以上は、「パワハラ防止法」の対応策の実施に、効果を実感していないことも明らかに。そこで、「パワハラ防止法」対応策に関する課題について伺ったところ、「適切なアドバイスが難しい」(36.9%)や「同じ会社の従業員への相談にハードルがある」(36.2%)などを指摘する意見や、「当事者の意識がない社員への対応」、「教育の継続」などについても課題を感じていることが判明しました。
また、「パワハラ防止法」の対応策を「予定・検討」している企業へ、実施のハードルについて伺ったところ、「従業員からの声の吸い上げ」(45.6%)や「ハラスメントに関する教育」が(45.6%)などが挙がりました。
最後に、「利害関係がなく、守秘義務が担保されているメンタルの専門家に相談できるハラスメント防止サービス」について質問したところ、約8割が「興味あり」と回答しました。
「パワハラ防止法」については、 2020年6月に大企業を対象に施行され、2022年4月から中小企業にも施行される予定です。今回の調査では、多くの中小企業が対応策を既に実施している、あるいは実施を検討していることが判明しました。実施・検討が進んでいるということで、施行による良い影響が広がっている反面、実際は「思うように効果が出ていない」と感じている人事担当者も少なくありません。パワハラを防止するためにどう対策をしたらいいのか、現場の声を吸い上げることに課題を感じていることが大きな原因の一つのようです。ハラスメントの感じ方には個人差があり、主観的になりやすいため、社外から第三者のサポートを得ることによって人事担当者の負担が減り、実際の職場環境の改善を実感できるようになるのかもしれません。「パワハラ防止法」の施行をきっかけに、今後は、外部の専門家に相談を考える人事担当者が増えてくるのではないでしょうか。