更新日:2023/07/04
電子帳簿保存法にタイムスタンプは必要なの?と疑問に思っているPCAユーザーも多いと思います。
実は、2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、タイムスタンプは必須ではなくなっています。
今回は、電子帳簿保存法の対応において、タイムスタンプを利用したほうがいいのか、それとも、特に利用しなくても問題ないのかについて、説明していきます。
まずは、電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの意味について説明します。
タイムスタンプとは、ある時刻にその電子データ(書類ファイル等)が存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術です。
電子帳簿保存法においては、対象の電子データ(書類ファイル等)が付与された時刻に間違いなくあることを証明し、それ以降の改ざんされていない事が担保(真実性の確保)することにつながります。 タイムスタンプは電子帳簿保存法の「電子取引」と「スキャナ保存」の要件にて、(真実性を確保)する必要がありますので、タイムスタンプを付与する事により、真実性を担保し、検証する事により証明する事が可能になります。
次に、「電子取引」と「スキャナ保存」のタイムスタンプ要件について説明します。
「電子取引」と「スキャナ保存」について、それぞれタイムスタンプを必要とする要件が違います。
電子データ(書類ファイル等)で受領した請求書や領収書等の取引情報を、そのまま保存しなければならないのが「電子取引」です。
電子取引の要件には、電子データ(書類ファイル等)にタイムスタンプを付与する事ができるようしておくことと、定められています。
紙で受領した、取引書類を、一定の要件の下で、スキャナ等で読み取った電子データの形式で保存する事ができる制度が「スキャナ保存」です。
スキャナ保存の要件には、紙で受領した取引書類をスキャナにて読み取り電子化した後に、一の入力単位ごとに速やかにタイムスタンプを付与することと定められています。
次に、タイムスタンプの必要性について説明します。
PCAでは、電子帳簿保存法に対応するために証憑電子保管サービス『PCA Hub eDOC』のご利用を推奨しています。
その理由として、PCAソフトとの親和性が高く、『PCA Hub eDOC』で保存された証憑の情報を元に、数回のクリックで会計仕訳を自動作成することができます。
さて、タイムスタンプについてですが、『PCA Hub eDOC』でも、タイムスタンプオプションを利用いただければ簡単に付与する事ができます。
ただし、タイムスタンプはそれなりに費用も掛かることから、ここからは、タイムスタンプを利用しない方法を説明していきます。
電子取引は、タイムスタンプを付与することと定められていますが、一定の条件下でタイムスタンプを付与しなくても構わないともしています。
その条件下とは、『訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程』を作成して、その規程に沿った運用を行うこと。としています。
ただし、規程を作成したとしても、タイムスタンプの付与や改ざん防止が可能なシステム等での運用を推奨いたします。
「PCA Hub eDOC」では、改ざん防止のための機能を搭載していますので、規程の作成と合わせて、安心してご利用いただけると思います。
なお、規程は国税庁のホームページに掲載している、参考資料(各種規程等のサンプル)の中にございますので、それを参考に作成して頂ければと思います。
スキャナ保存は、紙で受領した取引書類をスキャナにて読み取り電子化した後に、一の入力単位ごとに速やかにタイムスタンプを付与することと定められていますが、以下の条件を満たすクラウドサービスに保存しているのであればタイムスタンプの代わりとなるとしています。
その条件を満たすクラウドサービスとは、NTPサーバ(※1)と同期しており、かつ、スキャンデータが保存された時刻の記録及び訂正削除ができないクラウドサービスとしています。
つまり、NTPサーバにより、その時刻に対象のファイルが間違いなくあることを証明し、クラウドサービスとして、改ざんされていない事を担保(真実性の確保)できればタイムスタンプを付与しなくてもよいとしています。
『PCA Hub eDOC』は、NTPサーバと同期しており、かつ、スキャンデータが保存された時刻が記録され、訂正削除ができない機能を搭載しているクラウドサービスなので、タイムスタンプを付与しなくても要件を満たすことができるクラウドサービスとなります。
(※1)NTPサーバというのは、正しい時刻情報を取得・配信しているサーバーのことです。
今回は、タイムスタンプについて確認しました。
タイムスタンプはそれなりにコストが掛かりますので、自社の運用と合わせて、賢くご利用頂ければと思います。
また、電子帳簿保存法の要件はタイムスタンプだけではありませんので、その他の要件も含めて、サービスを検討する事が必要です。
ご検討のユーザー様の中にはタイムスタンプを付与すれば、電子帳簿保存法に対応できると勘違いしている方もいらっしゃいます。むしろ、それ以外の要件への対応と業務として無理のない運用が重要になります。
令和6年1月1日(2024/1/1)から完全義務化になる電子帳簿保存法(電子取引)への対応は以下のコラムをご参考にしてください。