公開日:2023/01/20
会社書類の「ペーパーレス化」が推進される中、その影響は「給与明細」にも及んでいます。特に給与関連業務に携わる担当者からすれば、給与明細の電子化、およびその効果やメリットが気になるところですよね。
ここでは、給与明細を電子化するとできることや、メリット・デメリットについて解説、また給与明細電子化の流れについてもご説明しますので、参考にしてみてください。
これまでの給与明細は、「給与計算をしてから所定のツール・フォーマットに入力、紙の「給与明細書」として出力し、従業員へ渡す……」という流れが一般的でした。
しかし法改正により、2007年以降には給与明細の「電子交付」が可能になりました。
電子交付には「電子メールによる交付」「社内LAN・WANまたはネット上から閲覧」「CD-ROMなどの磁気媒体への記録と交付」などの方法があります。
近年ではクラウドソフトを活用し、Web上から給与明細書を閲覧、ダウンロードできる形式で交付する企業が増えています。
これから給与明細を電子化した場合、以下のような「紙の給与明細ではできないこと」が実現可能です。
「電子データ」で扱うことで、紙の場合よりも効率よく交付ができたり、コストの削減、効率化が叶ったりといったプラスの効果が生まれます。また勤怠管理システム等との連携ができれば、業務の自動化、ミスの減少といった効果も期待できるでしょう。
給与明細を電子化すると、管理を行う会社側、従業員側のそれぞれにメリットが得られます。具体的なメリットを見ていきましょう。
給与明細の電子化により、会社が得られるメリットは以下のとおりです。
それぞれくわしく見ていきましょう。
業務効率アップにつながる
給与明細を電子化すると、作成から交付までにかかる手間を削減できます。
従来の給与明細の交付方法では、
といった業務フローが発生します。
しかし、給与明細を電子化してしまえば、印刷~送付までの業務フローをカットできます。
従業員専用の基幹システムやWebサイトに掲載するのであればアップロードするだけですし、メール送信であれば添付して送信するだけです。
控えも電子データを作成した時点で自動保管されますし、発生する作業といえばフォルダ分け程度なので、業務プロセスの大幅な短縮につながるでしょう。
検索機能が使えるので、給与明細を管理しやすくなる
電子化のいいところは、給与明細のデータ管理がしやすい点です。
給与明細のデータを部署ごと・人ごと・日付ごとなどにフォルダ分けしておけば、欲しいデータを一発で検索できます。これが紙の給与明細となると、保管場所を取りますし、対象の給与明細を探そうと思うと時間がかかるでしょう。
保存場所も取らず、かつ検索がしやすいため、給与明細の管理が格段にラクになるはずです。
紙やインク代などのコスト削減に効果あり
紙の給与明細を交付する場合、さまざまなコストが生じます。
いっぽう、電子化した給与明細は、こうしたコストがかかりません。
発生するコストは、給与明細の作成・管理ツールの利用料、作成・送信・管理にかかる人件費程度です。
給与明細、および他の書類を電子化すれば、保管にスペースを割く必要もなく、オフィスもコンパクトな形式で済みます。固定費を抑えられれば、利益を生みやすくなるでしょう。
給与明細の電子化によるメリットは、従業員側にもあります。
それぞれ見ていきましょう。
場所や時間を問わずいつでも給与明細を確認できる
給与明細を電子化すると、実物が手元になくても給与明細の内容を確認できるようになります。
メール形式で届く場合は過去のメールを見ればよいですし、Webから閲覧できる場合はログインするだけで確認できます。出先であってもスマホやタブレットからかんたんに確認・印刷・共有ができる、利便性は格段にアップするでしょう。
紛失リスクが減る
紙の給与明細は「紛失リスク」を伴います。一方、電子化した給与明細については、データの消失リスクこそあれど、紛失のリスクはありません。
仮に従業員側でダウンロードした給与明細を消去してしまったとしても、メールやWebからかんたんに再ダウンロードができます。
給与明細の電子化は業務効率化、コスト削減、利便性の向上……というふうにいいことずくめに思えます。ただ、電子化にはデメリットや注意したい点もありますので、あらかじめ知っておきましょう。
給与明細の電子化には、電子化に対応した給与明細システムの導入、またはアップグレードが必要になります。つまり導入コストがかかるというわけです。
このようなシステムは、買い切り型であればまとまった初期費用が、クラウド型であれば初期費用+月額料金が必要になるケースが多いでしょう。
導入の際には従業員数や会社の規模に適したシステムを選ぶと、ムダな出費を減らせます。複数の給与明細システムを比較検討し、自社に最適なものを選んでみましょう。
給与明細データはサーバー内で保管されますが、システムや料金プランによっては「5年まで保管、それ以降は消去される」といったものもあります。
こうした給与明細システムを利用する場合は、1年ごとにバックアップを保管しておくか、無期限のシステム・料金プランへアップグレードするなどの対策が必要になります。電子化の際には注意しましょう。
電子化した給与明細には、手動送信でのメールアドレス間違いや、保存データ媒体(USBなど)の紛失による「情報漏洩リスク」もあります。また、クラウド型の給与明細システムであっても、ハッキングなどによるデータ流出のリスクはゼロではありません。
こうした情報漏洩を防ぐには、情報セキュリティ対策を徹底することが重要です。労務担当者が知識を身に付けるほか、利用する給与明細システムを選ぶ段階で、セキュリティ性能を確認しておきましょう。
給与明細を電子化する大まかな流れは、以下の4ステップです。
給与明細を電子化するにあたり、企業は従業員から同意を得なければなりません。
もし同意が得られない場合は、電子化に承諾しない従業員に対し、従来の方法(紙の給与明細)で給与明細を発行する必要があります。
この場合、電子データだけではなく、紙での交付にも対応できるシステムを選ぶか、個別で紙の給与明細書を発行するかの方法で解決するでしょう。
その後、給与明細電子化システムの選定と導入を行います。
選定時には
といった視点から、最適なものを選びましょう。
システムを選んだら、セキュリティ対策を決定、実行します。
ウイルスや不正アクセス対策はもちろん、アクセセス権限の管理も含めた「情報漏洩の防止措置」を明確にしておきましょう。データ消失に備えたバックアップの方法、規定を決めておくことも重要です。
導入が完了したら、実際に電子データで給与明細を作成、交付(または配信、アップロード)しましょう。
不具合がないかチェックし、問題なければそのまま毎月利用していけばOKです。
給与明細を電子化すると、業務の効率化やコスト削減を叶えられる効果があります。
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「紙の給与明細による業務の手間を減らしたい」「ペーパーレス化してテレワークしやすい環境を作りたい」という企業は、ぜひ給与明細の電子化を検討してみてはいかがでしょうか。