公開日:2021/03/02
健康経営とは経営管理と健康管理を統合したものです。近年はメンタルヘルスが注目されストレスチェックの実施など社員の健康にスポットが当たっています。この記事では、健康経営のメリットや導入方法を説明しつつ事例をあげて詳しく解説します。
健康経営とは「ヘルシーカンパニー」の考えに基づいた経営方針で、社員の健康管理を経営課題として戦略的に取り組む経営手法のことです。
人間は健康を損なうと集中力がなくなり、仕事に対するモチベーションも下がり、遅刻や早退・欠勤などが増加します。そのような状況になるとパフォーマンスは上らず業績も悪化します。このように社員の健康と業績には相関関係があるのです。
簡単にいえば、健康経営は独立していた「経営管理」と「健康管理」を統合するものです。健康経営では従業員の健康に対する費用は将来の投資と考え業績向上・企業価値向上を目指します。
引用:経済産業省|「健康経営・健康投資」とは
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/180710kenkoukeiei-gaiyou.pdf
健康経営で得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的なメリットを確認してみましょう。
社員が健康であれば遅刻・早退・欠勤などが減り急な休みをカバーする業務がなくたるためトラブル対応の時間が不要となり労働生産性があがります。労働生産性があがれば少数精鋭で業務をこなすことができ人件費がおさえられ利益が増加します。
また、シフト制の業務や工場のラインなど勤務が安定すれば代替要員を減らすことができ余剰人員をかかえずにすむのです。
健康経営は政府主導で進められており「健康経営優良法人認定制度」を設けています。健康経営に取り組むホワイト企業として社会に認識されれば目に見えないメリットを享受できます。
従業員・求職者・関係企業・金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができれば企業イメージも向上します。
2020年度は健康経営優良法人として大規模法人部門に1481法人、中小規模法人部門に4723法人が認定されました。
健康経営していることで就活生の人気ランキングなどに載ることができます。最近の就活生は企業規模や雇用の安定、やりがい、賃金以外の価値観で企業をみており経済産業省の調査でも「従業員の健康や働き方に配慮している」は上位です。
健康経営に力を入れていることは大きなアピールポイントとなり優秀な人材が集めやすくなります。
引用:けんぽ協会|「健康宣言」で「社員を大切にする会社」をPR!
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/aichi/cat070/2018080200/201808062221/
健康経営を実施して従業員を大切にすれば体調を壊す社員も減り離職率低下につながります。健康な社員にも、会社が社員を大切にしている姿勢をみせることで退職を踏み留まらせることもできるでしょう。
会社は従業員の健康保険料を法定福利費として負担します。「健康保険組合」は独自の保険料率があり一律ではありませんが、「けんぽ協会」は折半しています。
健康経営することで法定福利費をおさえることがきます。
けんぽ協会は都道府県ごとに保険料率がちがいます。これは使用した医療費を考慮して保険料率を定めているためです。保険料率が高ければ社員も企業も費用負担が大きくなります。
企業のイメージは企業価値に影響します。企業価値が高ければ株式市場の評価が高まり資金調達しやすくなります。
優れた健康経営を実践している会社を「健康経営銘柄」として東京証券取引所の上場企業33業種から経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する制度もあります。
現在までに6回実施されており、2020年は30業種40社を選定しました。
けんぽ協会でも健康経営を推進しており「健康宣言」という独自の運動を推進しています。
「健康経営優良法人認定制度」よりもハードルは低く取り組みやすいものとなっています。評価項目は健康経営優良法人の認定内容に沿っていますので健康宣言をステップに健康経営優良法人を目指すことも可能です。
取組例
健康宣言することで提携銀行からの融資が低率で受けられたり、信用保証料の優遇があります。優遇措置は都道府県別に異なり、けんぽ協会の各支部のサイトで確認できます。
例えば、東京都であれば、みずほ銀行の金利優遇や東京信用保証協会の保証料の優遇、愛知県であれば、地元の地銀(愛知銀行・中京銀行・名古屋銀行)の金利優遇
などの優遇措置があります。
健康経営に興味があっても進め方がわからない企業もあるでしょう。アプローチの仕方をご説明します
健康経営を導入すべき企業は次のような悩みをかかえる企業です。
このような企業は従業員の健康保持や増進に取り組むことで組織の活性化や生産性向上の効果が期待できます。
このような手順で企業として取り組み、対策を評価することで更なる効果を目指すことができます。
引用:健康経営優良法人2020中小規模法人部門の認定基準
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieiyuryohojin_jireisyu200327.pdf
健康経営を進めるうえでは第一歩をふみだすことが重要です。導入事例をみてみましょう。
●事例1:化学工業薬品製造販売
[取組]
[効果]離職率は10年間で0.5%(寿退社、介護の都合等)と低水準で推移している。
●事例2:自動車販売業
[取組]
[効果]働きやすい環境づくり・健康づくりをしたことで採用面で良い影響があった。
●事例3:土木業
[取組]
[効果]市のホームページに健康経営優良法人認定取得企業として掲載され企業のPRにつながった。
このように企業ごとにオリジナリティのある取り組みがみられます。
健康経営は企業にとってもメリットの大きい取り組みです。まずは取り組める施策を検討してみましょう。
社員を大切にする会社には人も集まりますし、仕事のパフォーマンスも高くなりますので取り組み価値はあるでしょう。