更新日:2019/12/24
さまざまな業種・業態の企業・法人がありますが、経理部門は共通して作業量・作業時間が多く取られてしまう傾向にあります。そのためコア業務を圧迫し、収益成長に影響を及ぼす可能性もあります。 経理部門の業務改善を推進する方法として、経理アウトソーシングが一つの有効なアプローチとなります。
経理アウトソーシングを行えば、業務効率化にとどまらないさまざまなメリットを受けられます。 今回は経理アウトソーシングのメリットやデメリット、そして導入の際のポイントまでわかりやすく解説していきます。「経理アウトソーシングの具体的なメリットとデメリットを知りたい」「どのように導入を進めたらよいかを知りたい」という方はぜひご覧ください。
経理アウトソーシングには次のようなメリットがあります。
経理業務をアウトソーシングすると、自社で経理を行う必要がなくなるため業務時間が大幅に削減されます。経理担当者がコア業務との兼任をしている企業ほど、アウトソーシングの効果は大きく現れ、削減された業務時間は収益に直結するコア業務に集中して割り振れるようになるため、将来的には収益向上も見込めます。
これらアウトソーシングによる業務割り振りの効果は、兼任で経理業務を行いがちな規模の小さい企業の方が恩恵が多く、企業規模が小さいうちは自社でExcelや会計ソフトを使うよりアウトソーシングの方が効率的とも考えられます。
経理業務のアウトソーシングはサービスとして企業から提供されているため、導入コストやランニングコストが必要になります。
ただし長期的に見ると経理業務のために社員を増員するよりも、アウトソーシングで業務委託した方がコスト削減になる可能性があります。人件費などの給与面だけでなく、教育コストや福利厚生コスト、そもそも採用するためのコストなど、さまざまなコストをアウトソーシングで削減可能です。もちろん、すでに自社内に経理業務のプロフェッショナルな人材がいる場合や、経理業務が効率化されている場合など、コスト削減できるとは限らない場合もありますので、その点は自社の経理業務が誰がどのように行われているかのプロセスを把握する必要があります。
経理アウトソーシングの業者は、経理業務のプロフェッショナルです。
専門分野に対する確実な知識を持つスタッフが担当するため、安定した業務遂行が行われます。また税法など経理に関わる制度の変更にもすばやく対応してくれるようになります。
また特定の経理担当者しか経理がわからず、経理業務がブラックボックスになった結果、経理担当者が退職してしまい引き継ぎに時間を費やしてしまうなども防げます。質の高い継続的なサービスを受けられるのもアウトソーシングの大きな特長になります。
経理アウトソーシングは次のようなデメリットも考えられるので注意しましょう。
経理業務をアウトソーシングする場合、委託された業者はサービスとして経理代行を行います。業者は交わした契約書の内容を元に作業を行います。 つまり契約外の業務やトラブルが発生した場合は、対応できない、対応が遅れる可能性が出てきます。
そのため、アウトソーシング先の業務内容と自社の状況を照らし合わせて考えていく必要があります。
経理をアウトソーシングすることで、自社内に経理に詳しい人材がいなくなってしまいます。あまりにアウトソーシングに依存してしまうと将来仮にアウトソーシングを止めた際、自社内の経理業務担当者の育成に膨大な時間とコストがかかります。
「コスト削減はしたいが、経理は自社でノウハウを積み上げながら内製化したい」という企業の場合は、経理アウトソーシングの導入は慎重な検討が必要です。
ここからは、経理業務をアウトソーシングする際のポイントを解説していきます。
・アウトソーシング以外の業務効率化やコスト削減アプローチがないか考える
・信頼して委託できる業者を選ぶ
・外部業者との引き継ぎややり取りはしっかり行う
コスト削減や業務効率化の方法として、「とりあえず経理業務をアウトソーシングする」のが、ベストな方法ではありません。
経理業務はアウトソーシング以外にも、効率化やコスト削減へのアプローチは考えられます。
例えば紙ベースで経理業務を行っている場合は、会計ソフトを導入すればペーパーレスな経理書類管理が可能になり、業務時間やコストが削減されます。またオンプレミスで会計システムを自社運用している場合は、クラウドサービスへシステム移管を行うことでサーバー管理費用などの維持コストのコスト削減につながります。 経理業務の効率化やコスト削減を考える際は、まず複数のアプローチを検討しましょう。
その上で「自社で経理業務を行うには、業務効率化やコスト削減の限界がある」と課題が見えてきた場合に、経理アウトソーシングが有効なアプローチになるでしょう。
一口に経理アウトソーシング業者と言っても、料金やサービス内容はさまざまです。
業者によってはスタッフの専門性が低かったり、委託された業務をさらに外注したりするなど、自社の大事な経理業務を委託する上で不安点を抱えている可能性があります。 そのため経理をアウトソーシングする際は、実績やしっかりしたサポートを行ってくれるかなどを事前に確認する必要があります。また選定時に自社の課題を説明し、解決へ最適な提案を行ってくれるかをよく確認しましょう。
経理をアウトソーシングする際は、外部業者への引き継ぎをしっかり行う必要があります。
アウトソーシング業者は経理業務のプロであっても、具体的にあなたの会社がどのように経理業務を行っているのかはわかりません。そのため詳細な委託用のマニュアルを作成するなど、引き継ぎがスムーズに行われるよう準備をしておきましょう。
また外部業者から自社の個人情報が流出するリスクもあります。アウトソーシング業者と契約を交わす際は、セキュリティリスクなどへの対応も明記し、トラブルが起きないような事前の対策も必要です。 委託後に結局コストの最適化ができず、アウトソーシング費用が高くついてしまった、というケースも存在します。このようなことがないように外注先とは密接にやり取りを行い、自社のルールが変わった場合には場合は契約内容の変更・見直しなども随時検討できる体制にしておくことが重要です。
今回は経理アウトソーシングのメリットやデメリット、そして導入の際のポイントなどを解説しました。
経理アウトソーシングを有効活用できれば、業務効率化によってコア業務への集中が可能になったり、経理にかけるコストが削減されたりとさまざまなメリットを受けられます。ただし導入の際はまず他のアプローチで経理課題を自社解決できないか考え、その上で導入を決めるのが最善です。
経理アウトソーシングのメリット・デメリットをしっかり理解した上で導入を行いましょう。