更新日:2024/04/23
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy)は、対象者が現実をどう受け取るか、という認知面に介入し、行動を修正していくアプローチ方法です。認知行動療法は、世界的にうつ病や不安障害の治療に用いられている治療アプローチの一つです。さらに、認知行動療法はメンタルヘルスに対しても有効な方法です。認知には、自動思考という無意識下でうかぶ考えやイメージがあります。この自動思考が症状、感情、行動に対して相互に影響を与えます。この考えに基づき、認知行動療法が実施されます。自動思考や行動の変化を起こすことで、症状や感情に対してポジティブな効果を与えることができるということです。
認知行動療法は、うつ病、不安障害、心身症障害、過食症などの精神疾患に対して高い有効性があることが数多くの研究で分かっています。また、怒りのコントロールや一般的なストレスに対しても認知行動療法は高い有効性があることを報告する研究もたくさんあります。このように、メンタルヘルスの不調に対しての施策として、認知行動療法は有効な一つの策となるといえます。
メンタルヘルスケアには、4つのケアが大切とされています。4つのケアとは「セルフケア」「ラインケア」「産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」です。認知行動療法は、やり方さえ知っていれば、自分自身で行うことができる「セルフケア」です。また、認知行動療法を始める際には、専門家の力が必要となってくるため、この4つのケアとの結びつきが強いメンタルヘルスケアといえます。深刻な状況に陥るために、認知行動療法を用いて、メンタルヘルスの状態を改善することはメンタルヘルスケア対策として一つの方法といえます。
認知行動療法には様々なアプローチ方法がありますが、代表的な方法「コラム法」について解説していきます。
認知行動療法を実際に行っていく上で、ネガティブな自動思考である認知の歪みについて知っておくことは重要です。認知面に対してアプローチしていく中で、どのような認知の歪みに気をつけなければいけないか知っておくことで認知面へのアプローチを正しく行うことができます。認知の歪みとして以下のものが挙げられます。
「コラム法」は、うつ病などで見られる否定的な自動思考に対処するための認知行動療法の一つの方法です。この方法は、問題のある思考パターンを認識し、それをより現実的でバランスの取れた思考へと修正することでメンタルヘルスの改善を目指します。
「コラム法」の具体的なステップは以下の通りです:
コラム法では、否定的な思考から脱却し、ポジティブな感情や行動へと変化を起こしていくことが目的です。
認知行動療法は、メンタルヘルスケアの一つの方法として重要な役割を果たすことができます。実際に、企業のメンタルヘルス対策において認知行動療法が取り入れられています。トヨタでは、認知行動療法スキルアップトレーニング講座が全従業員を対象に提供されています。認知行動療法を取り入れる目的として、ストレスマネジメントへの活用ということが掲げられており、セルフケアの一つとして従業員が実施できるようにサポートをしています。
認知行動療法(CBT)は、うつ病や不安障害などさまざまな精神疾患の治療に広く用いられる手法であり、メンタルヘルスの改善に対しても効果を発揮します。
具体的な方法の一例として「コラム法」があります。これは、否定的な自動思考を特定し、それを現実的でバランスの取れたものに修正することで、心理状態の改善を図るアプローチ方法です。
認知行動療法はメンタルヘルスケアにおいて重要な役割を果たします。自動思考の認識と改善を通じて、より健康なメンタルヘルスを保つことができます。