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組織サーベイとは?種類や目的を詳しく解説
目まぐるしく変化する現代のビジネス環境において、企業が成長を続けるためには組織内の状況を客観的に把握し適切な状態へ導けるよう対応し続けることが求められています。一方で、テレワークやオンライン会議などが普及し対面でのコミュニケーション機会が減少しつつあることで、個々の従業員が考えていることや組織の状態を把握することが難しくなっているという企業も少なくないでしょう。こういった状況を受けて、現状把握のツールである組織サーベイへの注目が近年高まってきています。そこで今回は、組織サーベイとはどのようなものか、具体的な種類や実施時の注意点などを詳しく解説していきます。
組織サーベイとは
組織サーベイとは、企業が組織の状態を見える化するために従業員に対して行う調査のことです。主にアンケートを通して従業員のモチベーションやエンゲージメントなどを把握し、組織の抱える課題や問題点を洗い出して課題解決や組織の方向性の見極めに繋げていくことが目的となります。
企業が目標の達成や生産性の向上を実現するためには、個々の従業員が高いパフォーマンスを発揮できることが重要だと考えられています。しかし、従業員のコンディションは心身の健康状態の他、職場内の雰囲気や労働環境など様々な要素に影響されるため、目には見えにくく把握が難しいものです。そこで、企業は組織サーベイによって従業員の会社に対する認識や評価、職場内の実態などを可視化することで、組織内の現状や抱える課題などを明確にすることが出来ます。
組織サーベイが注目される背景
近年多くの企業で導入されるようになった組織サーベイですが、なぜこの組織サーベイが注目されるようになったのでしょうか。その背景として、企業がモチベーションやエンゲージメントなど従業員の内面を重視するようになったということが挙げられます。
労働人口の減少や働き方の多様化といった昨今の変化に伴い、多くの企業では人材不足が深刻な課題となってきました。企業が継続的に成長していくためには、人材の確保や従業員の離職防止に努めるとともに、限られた人材で最大限のパフォーマンスを発揮し生産性を高めていくことが不可欠となっています。そのためには、従業員一人ひとりが高いモチベーションを持って自発的に業務に取り組めることが重要です。
また、テレワークの普及などによって対面でのコミュニケーション機会が減少したことによって、組織としての繋がりを感じにくくなったり、チームのマネジメントが難しくなったりといった課題も生じるようになりました。
これらの課題を改善し働きやすい環境をつくっていくためのツールとして、従業員の意識や職場環境などの実態を可視化できる組織サーベイが注目されるようになっているのです。
組織サーベイの種類
組織サーベイには、目的に応じていくつかの種類があります。今回は、主な3つの種類について解説します。
モラールサーベイ
モラールサーベイは、意識調査や従業員満足度調査(ES調査)などとも呼ばれ、従業員の企業に対する満足度やモチベーションなどを把握するために行う調査です。職場内の雰囲気や人間関係などの実態を明らかにし、従業員が企業に対して感じる不平不満を抽出することで課題改善に役立てることが出来ます。ヒアリング項目としては、労働条件や福利厚生などの制度面、職場内のコミュニケーションや働きがいといった従業員の働きやすさに関する項目が主となります。
エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイは、従業員が企業に対して持つ愛着や熱意などを測る調査です。エンゲージメントが高まると離職率の低下やパフォーマンスの向上にも繋がるとされているため、近年関心の高まっている調査だと言われています。「仕事で自分が何を期待されているか把握できているか」「仕事に熱意をもって取り組めているか」といった設問が中心となり、組織の活性化や個人の成長にも役立つと同時に、エンゲージメントメント低下の傾向を察知していち早く対処することもできます。
ストレスチェック調査
ストレスチェックとは、従業員の職場内におけるストレス状態を把握する検査のことで、調査を通して従業員に自身のストレスがどのような状態にあるのか把握してもらう取り組みです。労働安全衛生法に基づき、従業員が50人を超える事業所での年1回の検査が義務付けられており、ストレスの原因に関する項目、心身の自覚症状に関する項目、周囲のサポートに関する項目の3項目のヒアリングが必要とされています。従業員のストレス状態を明らかにすると同時に、従業員自身にストレス状態を把握してもらうことで、メンタルヘルス不調を未然に防止することにも役立ちます。
組織サーベイを実施する際に注意点
実際に組織サーベイを実施する際には、いくつか注意すべき点があります。
まず組織サーベイの実施にあたっては、その目的と把握したい内容を明確にしておく必要があります。目的が明確でなければ適切な質問項目を設定することができず、形式的にアンケートを実施しただけになり、必要な情報を集めることが出来ません。組織サーベイの目的を明確にし従業員からの理解を得ておくことで、率直な回答を得やすくなります。
また、調査の際には従業員の負担が大きくならないような配慮も必要です。通常業務に影響が生じるような過度な負担は、調査への参加意欲を削ぎ実のある回答が得られなくなる可能性があります。また、調査項目が増えると結果を分析する労力も増えていきますので、実施者と回答者双方の負担を抑えるためにも、設問数を増やし過ぎないといった工夫が必要です。
さらに、調査を実施した後は結果を分析し問題点の改善や課題解決などに取り組むことが非常に重要となります。せっかく調査を行っても結果が何も反映されなければ、従業員はいくら意見を伝えてもそれが活かされることがないと感じ、かえって企業へ不信感を抱く恐れもあります。調査の実施だけで終わることなく、その後のアクションを起こすことまでが組織サーベイの意義であると言えます。
まとめ
組織サーベイはただ調査を実施するだけでは意味がありません。組織サーベイによって得られた従業員の声と職場の実態の情報をもとに、あるべき企業の姿を目指して課題改善への施策検討や実施を積み重ねていくことが重要です。企業の継続的な成長のために、ぜひ目的にあった組織サーベイの活用を検討してみてください。
※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。
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