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職場のメンタルヘルスと生産性 ~その相互関係と改善策は?

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近年、うつ病などの精神障害による労災申請が増加していることや、厚生労働省が2015年より職場内でのストレスチェックの実施を義務化したことなどを受けて、企業におけるメンタルヘルス対策への関心がこれまで以上に高まっています。従業員のメンタルヘルスは、職場の生産性や健康経営に大きく関係していると言われており、健全な企業運営のためにメンタルヘルスの維持は不可欠であると言われていますが、ではメンタルヘルスと生産性には具体的にどのような関係性があるのでしょうか。また、生産性及びメンタルヘルスを改善させるためにどのような対策を行えばよいのでしょうか。今回は、メンタルヘルスと生産性の関係性について解説をしていきます。

メンタルヘルス不調に陥る要因

メンタルヘルスとは、精神的、心理的な健康状態を指す言葉で、うつ病などの精神障害の他、悩みや不安によるストレスなどでメンタルヘルス不調を引き起こすことがあります。ストレスの要因は個人によって様々ですが、仕事上でストレスを感じたという経験は多かれ少なかれ誰しもあるでしょう。職場に関して挙げられるストレスは、業務過多により残業や休日出勤が慢性化している、締め切りに追われていたり仕事へのプレッシャーを常に感じていたりといった業務の量や質の問題があります。また、同僚や職場内外での対人関係や、上司などからのハラスメントといった人間関係に関する問題も多く聞かれます。特にメンタルヘルスの不調は、責任感が強い人や真面目で仕事熱心な人が陥りやすいとも言われており、これらのトラブルが生じた際に一人で抱え込んだ結果心身の健康を損なってしまうというケースもあるでしょう。

メンタルヘルスと生産性の関係

メンタルヘルス不調になると、集中力が落ちる、判断力や決断力が鈍るといった症状が現れるようになり、その人本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。そうしてこれまでのように業務を処理できなくなると、業務の進行に支障をきたし、更なるストレスやモチベーションの低下にもなります。そしてメンタルヘルス不調が悪化すると、欠勤や休職、更には離職に繋がる恐れもあり、その影響が周囲にまで及んできます。職場雰囲気の悪化や他の従業員の業務負担の増加などが起きると、他の従業員のパフォーマンスまでもが低下し、職場全体の生産性の低下が起こる可能性もあります。結果として、一人のメンタルヘルス不調が企業全体の生産性の低下と業績悪化を引き起こすことにもなりかねないのです。

メンタルヘルスを改善するために

メンタルヘルスは、個人のパフォーマンスやモチベーションはもちろん、職場全体の生産性にも影響することを述べました。メンタルヘルスは、個人だけでなく企業全体の問題であり、生産性の向上や健康経営のためには全ての従業員が健全に生き生きと働くことが出来るようメンタルヘルスの保持増進、つまりメンタルヘルスケアに取り組んでいく必要があります。

このメンタルヘルスケアは、従業員の状況に合わせて3段階の対策があります。1つ目はメンタルヘルス不調に陥る前の予防、2つ目はメンタルヘルス不調に陥った際の早期発見と対応、そして3つ目はメンタルヘルス不調に陥った従業員のサポートと再発防止となります。またメンタルヘルスケアには、厚生労働省が公表した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」で示される4つのケアがあり、企業としてはこのケアに取り組むことが求められています。この4つのケアについて、簡単に説明したいと思います。

①従業員自身で行うセルフケア

1つ目のケアは、従業員が自分自身でストレスの予防や緩和を行ったりストレスに気づいた際に自分で対処をしたりするセルフケアです。ストレスの要因や感じ方は個人によって異なる上、自身でも気付かないうちにストレスを抱えていたということもあるため、セルフケアを行うにはストレスやメンタルヘルスに関する正しい知識を身につけていかなければなりません。そのため、企業としてはストレスに関するセミナーの開催など情報発信によってセルフケアを促すことが必要です。また、自身のストレス状況に気づくためにストレスチェックを実施することなども有効となります。

②管理監督者が行うラインによるケア

ラインによるケアとは、管理監督者が従業員に対して行うケアを指します。従業員自身のセルフケアだけでは対処が難しい場合など、管理監督者が部下からの相談に応じて職場内のトラブルや労働環境の改善などを行います。また、管理監督者が従業員の状態をしっかりと把握しておくことで、遅刻や欠勤、ミスの増加といった従業員の異変をいち早く察知し、早期対応を行うことが出来ます。

③産業保健スタッフ等によるケア

産業医や産業保健師が、従業員のセルフケアや管理監督者のラインケアをサポートするケアです。より専門的な立場のスタッフからメンタルヘルスに関する情報発信を行ったり、メンタルヘルスケアに関する対策を講じてもらったりと、企業の状況に合わせたメンタルヘルスケアの実施を支援してもらいます。また、職場内でメンタルヘルスに関する相談窓口を設け従業員が相談しやすい環境を整えることも有効でしょう。

④事業場外資源によるケア

事業場外資源によるケアとは、専門医療機関やサービス、カウンセリング機関など外部の機関と連携して行うケアです。メンタルヘルスの不調は職場内で相談し難いという場合もあるため、外部機関と連携することで効果が期待できるというケースもあります。また、職場内で抱える問題をより専門的な機関に相談することで解決の糸口となることもあります。

メンタルヘルスケアで期待できる効果

前項で解説したように、従業員のメンタルヘルスを保持増進するためには、3段階の対策と4つのケアを状況に応じて適切に実施することが効果的です。企業でメンタルヘルスケアに取り組むことで、生産性の低下を防ぐだけでなく、メンタルヘルス不調による労災申請の予防などリスクマネジメントにも繋がります。また、管理監督者を含めた従業員全員がメンタルヘルスに関する理解を深め予防策や早期対処に努めることで、職場内の労働環境も改善され、従業員のモチベーションアップにも繋がります。それにより、従業員の休職や離職も低下し人材不足の問題も予防できるなど、メンタルヘルスケアの取り組みによって多くの効果が期待できます。

まとめ

今回は、メンタルヘルスと生産性の関係や、メンタルヘルス保持増進のために行うべき対策について説明しました。メンタルヘルス不調者の増加や人材不足など企業の抱える課題がより複雑で深刻になる現代だからこそ、従業員が健全に生き生きと働くためにも、メンタルヘルスの保持増進は企業が取り組むべき重要な課題であると言えるでしょう。

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。