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健康経営優良法人に認定されるメリットとは?

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経済産業省の支援のもとで組織された日本健康会議は、健康経営に積極的に取り組んでいる企業の「見える化」を目的として、毎年基準をクリアした企業を健康経営優良法人として認定しています。そこで今回は、そもそも健康経営とは何かということや、健康経営優良法人に認定されるためにクリアしなければならない基準と申請方法、認定されるメリットについて詳しく解説します。

健康経営にはどのようなメリットがあるの?

健康経営とは、会社で働く従業員の健康を経営課題のひとつと考え、戦略的に従業員の健康管理を実践していくことです。とはいうものの、なぜ従業員の健康が経営課題になるのか、疑問に感じる人もいるかもしれません。従業員の健康状態が向上することと会社の経営状態には大きな相関関係があるのです。

たとえば、そのひとつに生産性の向上が挙げられます。従業員が心身ともに健康な状態である場合とそうでない場合を比べれば、健康な状態である方が日々の業務をより高い効率で行ってくれると期待できるでしょう。また、心身の余裕がなければ周りの従業員のフォローアップを行うことはできません。つまり、従業員の健康状態を無視して生産性を高めることは非常に難しいことなのです。

さらに、従業員の健康状態が悪化すると、欠勤や休職をしなければならないケースが増えてしまいます。最悪の場合、離職しなければならないかもしれません。そうして人手の足らない状況になってしまうと新たな人材を雇用しなければなりません。経営的視点から考えると、そのためのコストは少しでも少ない方がよいでしょう。

医療費の問題もあります。従業員の医療費の一部は会社が負担しているからです。そのことはつまり、従業員の医療費が高くなればなるほど、会社が負担しなければならない金額も多くなるということです。一方、従業員の健康状態が良ければ、会社はより少ない医療費負担ですむことになります。従業員の健康状態は会社の財務状況にも大きく関わってくるのです。

最後に、健康経営に取り組むことで企業イメージが改善します。従業員を大切にしない企業はブラック企業と呼ばれ、就職希望者から避けられます。健康経営に取り組んでいることを広く世間にアピールできれば、従業員を大切にしている会社として企業のイメージアップにつながります。そうすると、就職や転職の市場において優秀な人材をより獲得しやすくなります。

実際、積極的に健康経営に取り組んでいる企業は多く、健康経営優良法人2022において、大規模法人部門では2,299法人が、中小規模法人部門では1万2,255法人が日本健康会議により認定されています。健康経営優良法人に認定されると、そのことを示すロゴマークを使用できます。そうすれば、健康経営に積極的に取り組んでいることを社内外に向けて強くアピールできるのです。

そのほか、健康経営に取り組んでいる企業には自治体や金融機関からインセンティブを受けられるというメリットもあります。インセンティブの具体的な内容については、各自治体や各金融機関に確認してみましょう。


健康経営優良法人に選ばれるための基準(2022年度大規模法人部門)

健康経営優良法人に選ばれるためには、あらかじめ設けられた認定基準をクリアしていなければなりません。健康経営優良法人には大企業を対象とした「大規模法人部門」と中小企業を対象とした「中小規模法人部門」があります。そして大企業の中でとりわけ積極的に健康経営に取り組んでいる上位500の企業は「健康経営優良法人ホワイト500」として、中小企業の中でとりわけ積極的に健康経営に取り組んでいる上位500の企業は「健康経営優良法人ブライト500」として認定されます。

2022年度の健康経営優良法人の大規模法人部門の認定基準は大きく分けて5つあります。「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の5つです。この5つの大項目からさらに細かく24の小項目が分かれており、そのうち9つの小項目が認定されるための必須項目となります。


必須項目

必須小項目としてまず挙げられるのは健康経営の戦略をしっかりと作成し、その戦略を社内外に向けて情報開示することです。さらに、ホワイト500やブライト500に認定されたい場合には健康経営を実践するトップランナーとして社外に向けても健康増進に関する取り組みを行っていることが条件となります。

次に、健康経営の実践に向けた組織体制の整備です。経営層の体制づくりとしては、健康づくり責任者の役職を設置しなければなりません。また、実施体制の整備として産業医や保健師の関与が必要になります。さらに、健康保険組合等の保険者と協議・連携を行う必要があります。これら3つもすべて認定されるために必須の小項目です。

「制度・施策実行」における必須項目は健康経営の具体的な推進計画の作成と受動喫煙対策に関する取り組みです。そのほか、「評価・改善」として健康経営の実施に関する効果を検証することや「法令遵守・リスクマネジメント」として定期健診の実施や50人以上の事業場ではストレスチェックを実施することなどが必須小項目となっています。


13項目以上達成しなければならない小項目

また、大項目「制度・施策実行」においては「従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討」「健康経営の実践に向けた土台づくり」「従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策」という3つの中項目があり、さらに次に挙げる15項目の小項目があります。認定されるためにはこの15の小項目のうち13項目以上を達成していなければなりません。

「従業員の健康課題を把握と必要な対策の検討」の小項目は従業員の健康診断の診断率が100%であること、受診推奨に関する取り組みを行っていること、50人未満の事業場でストレスチェックを行っていることです。「健康経営の実践に向けた土台づくり」の小項目はヘルスリテラシーの向上として管理職や従業員への教育を行っていること(参加率や実施率を測定していること)、ワークライフバランスの推進として実際に取り組みを行っていること、職場の活性化としてコミュニケーション促進のための対策を行っていること、病気の治療と仕事の両立支援として復職や私病と仕事との両立支援を行っていることです。

「従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策」には保健指導、具体的な健康保持・促進施策、感染予防対策、喫煙対策の4つの小項目があります。保健指導の小項目は実際に保健指導を行っており、かつ特定保健指導実施機会の提供に関する取り組みを行っていることです。このとき、生活習慣病予備群者への保健指導を行った場合には参加率や実施率を図っていなければなりません。

 具体的な健康保持・促進施策における小項目は食生活の改善に向けた取り組み、運動機会の増進に向けた取り組み、女性の健康保持・増進に向けた取り組み、メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組みの5つです。感染予防対策の小項目は感染症予防に向けた取り組み、喫煙対策の小項目は喫煙率低下に向けた取り組みです。

また、中小企業部門の場合は、大規模法人部門よりも認定における要件は緩和されます。

健康経営優良法人の申請方法

健康経営優良法人の申請方法は、大規模法人部門の場合、経済産業省が実施している健康経営度調査に回答し、日本健康会議認定事務局へ申請します。その後認定審査が行われ、日本健康会議において認定されます。

中小規模法人部門の場合、まずは協会けんぽや健康保険組合連合会など、加入している保険者が実施している健康宣言事業に参加します。加入している保険者が健康宣言事業を実施していない場合には、各自治体が実施している健康宣言事業に参加してもかまいません。加入している保険者と自治体のどちらも健康宣言事業を実施していないような場合には、自社で独自の健康宣言の実施を行うことも可能です。

次に自社の取り組み状況を確認し、自社が行っている具体的な取り組みを申請書に記載して日本健康会議認定事務局へ申請します。その後の流れは大規模法人部門の場合と同様です。

健康経営優良法人の上位500位を目指そう!

健康経営優良法人に認定されるための基準項目はとても多いですが、どの項目も実践的に健康経営に寄与するものです。健康経営に積極的に取り組むことは会社の経営状況を改善することにもつながります。日本健康会議では大規模法人部門・中小規模法人部門の上位500社をそれぞれ「健康経営優良法人ホワイト500」「健康経営優良法人ブライト500」として認定しています。社員の健康や自社のブランディングのためにも、それらに選ばれることを目指しましょう。

企業の健康経営への取り組みに必要な人事労務の知識と実践とは

有限会社人事・労務にて、日本初のES(人間性尊重経営)コンサルタントとして、企業をはじめ、大学、商工団体で講師を務めるなど幅広く活動する金野 美香氏が、中小企業が恐れのない職場を目指すための組織開発視点を解説していきます

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