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【人事担当者必見】メンタルヘルスの一次予防・二次予防・三次予防とは?

公開日:2022/02/04
更新日:2026/08/19

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近年、企業における従業員のメンタルヘルス対策は、安全配慮義務の観点からも重要な経営課題となっています。本記事では、人事担当者に向けてメンタルヘルス対策の基本となる「一次予防(未然防止)」「二次予防(早期発見・対応)」「三次予防(職場復帰支援・再発防止)」の違いや具体的な取り組み内容をわかりやすく解説します。ストレスチェックの活用や産業医との連携、休職者のフォローなど、各段階で企業がすべき対策の全体像が把握でき、自社の職場環境改善に直結する実践的なノウハウを確認しましょう。

メンタルヘルス対策における3つの予防の重要性

会議

企業がメンタルヘルス対策に取り組むにあたり、一次予防、二次予防、三次予防という3つの段階を意識することは非常に重要です。ここでは、国の指針や企業の義務、そしてそれぞれの予防の役割について解説します。

労働災害防止計画と企業の安全配慮義務

厚生労働省では、労働災害を防止するための主要な対策などをまとめた労働災害防止計画を定めています。現在運用されているのは、2023~2027年度までの5カ年を計画期間とする第14次労働災害防止計画です。第14次労働災害防止計画の重点対策の中には、労働者の健康確保対策の推進などメンタルヘルスに関するものがあります。具体的には、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上にするなどの目標が掲げられています。

また、企業には労働契約法により安全配慮義務が課せられています。これは、労働者が生命や身体、心の安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をする義務のことです。メンタルヘルス不調を放置して症状が悪化した場合、企業は安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われるリスクがあります。事業場におけるメンタルヘルス対策として挙げられるのが、心の健康に関する一次予防、二次予防、三次予防です。これらを総合的に進めることで、国や企業はメンタルヘルス不調に対処しようとしています。

一次予防・二次予防・三次予防の違いと関係性

メンタルヘルス対策は、進行度合いに応じて「一次予防」「二次予防」「三次予防」の3つの段階に分けられます。それぞれの目的と具体的な取り組みの違いは以下の通りです。

予防の段階目的具体的な取り組み例
一次予防メンタルヘルス不調の未然防止ストレスチェックの実施、職場環境の改善、メンタルヘルス研修
二次予防早期発見と早期対応相談窓口の設置、産業医や保健スタッフによる面接指導
三次予防職場復帰支援と再発防止休職者へのフォロー、職場復帰支援プログラムの実施

これら3つの予防は独立したものではなく、相互に密接な関係性を持っています。例えば、一次予防のストレスチェックで高ストレスと判定された労働者に対して、二次予防として医師による面接指導を行うといったように、各段階の対策を連動させることでメンタルヘルス不調に効果的に対処できるようになります。一次予防から三次予防までを切れ目なく総合的に進めることが、働きやすい職場環境の構築につながります。
一次予防・二次予防・三次予防とは具体的にどのようなものなのでしょうか。次章以降で詳しく解説します。

メンタルヘルス対策の一次予防とは

ストレスチェックのイメージ

メンタルヘルス対策の一次予防は、メンタルヘルス不調の未然防止を指します。

一次予防は、積極的な健康の保持増進を意味するヘルスプロモーションや、仕事による健康障害の防止を意味するヘルスプロテクションを含む取り組みです。労働者が心身ともに健康で働き続けられるよう、企業が主体となって職場環境の整備や教育を行うことが求められます。

一次予防の目的はメンタルヘルス不調の未然防止

一次予防の最大の目的は、労働者が過度なストレスによってメンタルヘルス不調に陥るのを未然に防ぐことです。メンタルヘルス不調は、本人も自覚しないまま悪化することがあるため、不調が表面化する前に対策を講じることが重要です。

具体的には、労働時間・労務管理・評価制度など、労働者のメンタルヘルスに影響を与える事業場内の要因を見直し、必要に応じて改善するヘルスプロテクションの取り組みが含まれます。これにより、過重労働や人間関係のトラブルなど、ストレスの原因となる要素を排除・軽減します。

セルフケアとラインケアの推進

一次予防では、セルフケア・ラインケアが継続的かつ計画的に行われる環境を構築することが欠かせません。

ケアの種類概要と一次予防における役割
セルフケア労働者自身が自らのストレスに気づき、予防・対処すること。正しい知識の習得が不可欠です。
ラインケア職場の管理職が日常的な職場環境の把握や部下の相談対応を行い、職場環境を改善すること。

ラインケアは、職場のライン上で提供されるケア、つまり管理職が部下のメンタル不調に気づき必要なケアを提供できることを意味します。しかし、管理職に任せておけば機能するわけではありません。有効に機能させるため、管理職を対象とするラインケア研修の導入などが必要です。管理職が部下のサインに早期に気づき、適切な配慮を行うことで、メンタルヘルス不調の未然防止に大きく貢献します。

【関連記事:管理職必見!明日からできるラインケア実践ガイド|部下のメンタルヘルスを守る具体策

一次予防に位置付けられるストレスチェックの活用

一次予防に位置付けられているメンタルヘルス対策のひとつがストレスチェックです。

企業には年1回のストレスチェックの実施が義務付けられています。ストレスチェックは、ストレスに関する質問票を用いて労働者のストレス状態を調べる検査です。

ストレスチェックにより、メンタルヘルス不調の未然防止を強化できます。未然防止を強化できる理由は、過度なストレスがかかっている労働者の仕事を軽減する、申し出があった労働者に対し医師による面接指導を実施するなどの対策を講じられるからです。なお、ストレスチェックの実施状況などは、労働基準監督署に実施の都度報告しなければなりません。

職場環境の改善とヘルスプロモーション

ストレスチェックの集団分析結果を活用することで、職場環境の改善を実現できます。部署やグループごとのストレス傾向を把握し、業務量の偏りやコミュニケーション不足などの課題を特定して改善策を実行します。

また、ヘルスプロモーションとして、メンタルヘルスについての正しい知識の提供、ストレスに気づく方法、ストレスに対処する方法、良好な人間関係を構築する方法などの研修を実施します。これらを通して、労働者がメンタルヘルスの決定要因に気づき、自ら改善できるようにサポートすることが一次予防の重要な柱となります。

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メンタルヘルス対策の二次予防とは

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メンタルヘルス対策の二次予防とは、メンタルヘルス不調の早期発見と適切な早期対応を行うための取り組みを指します。一次予防で未然防止に努めても、ストレスや悩みを抱える労働者が発生する可能性はゼロではありません。そのため、不調が深刻化する前にいち早く兆候を察知し、適切なケアや治療へつなげる仕組みづくりが重要となります。

二次予防の目的は早期発見と早期対応

二次予防の最大の目的は、メンタルヘルス不調を早期に発見し、早期対応を行うことです。労働者自身のセルフケアによる気づきだけでなく、管理職によるラインケアを通じた部下の変化への気づきが不可欠です。

具体的にどのような対応が求められるのか、主な取り組みの主体と早期発見・早期対応の例を以下の表にまとめました。

取り組みの主体早期発見・早期対応の具体例
労働者本人(セルフケア)自身のストレス状態の変化に気づき、自発的に相談窓口を利用する。
管理職(ラインケア)遅刻や欠勤の増加、業務能率の低下など、部下のいつもと違う様子に気づき声をかける。
事業場内産業保健スタッフ定期健康診断やストレスチェックの結果を活用し、高ストレス者への面接指導を勧奨する。

相談窓口の設置と周知

メンタルヘルス不調に気づいた労働者や、部下の異変に気づいた管理職が、安心して相談できる窓口を設置することが二次予防の要となります。相談窓口を設置するだけでなく、全従業員に対してその存在と利用方法を周知徹底することが欠かせません。窓口の存在を知らなければ、いざという時に適切な支援を求めることができないからです。

事業場内に産業保健スタッフが在籍している場合は、彼らが最初の相談窓口となるケースが一般的です。一方で、人員に余裕がない中小企業などの場合は、人事労務部門の担当者や、外部のEAP(従業員支援プログラム)機関などを相談窓口として設定し、プライバシーが守られる環境を整備することが求められます。

産業医や保健スタッフとの連携

二次予防を効果的に機能させるためには、産業医や保健師などの事業場内産業保健スタッフとの連携が不可欠です。管理職や人事担当者だけでは、医学的な判断や専門的なケアを行うことは困難です。そのため、相談を受けた担当者が速やかに産業医などの専門家へつなぎ、適切な医療機関の受診を促すフローを確立しておくことが重要です。

また、事業場内に専門スタッフがいない場合でも、地域産業保健センターなどの事業場外資源を積極的に活用することで、専門的なアドバイスを受けることが可能です。労働者のプライバシーに十分配慮しながら、関係者が連携してサポートにあたる体制を構築しましょう。

メンタルヘルス対策の三次予防とは

産業医面談

メンタルヘルス対策の三次予防は、メンタルヘルス不調で休職している労働者の職場復帰支援ならびにメンタルヘルス不調の再発防止を指します。具体的には、休職している労働者への精神的なフォロー、職場復帰支援プログラムの実施、メンタルヘルス不調で休職している労働者の主治医との連携、管理職に対する職場復帰時における対応研修などが該当します。

メンタルヘルス不調は再発しやすいトラブルといえます。メンタルヘルス不調が再発すると、結果として離職してしまう労働者が多くなっていきます。したがって、三次予防も一次予防や二次予防と同じく、企業にとって極めて重要なメンタルヘルス対策といえるでしょう。三次予防においても、セルフケア・ラインケア・事業場内産業保健スタッフなどによるケア・事業場外資源によるケアを計画的かつ統合的に展開し、メンタルヘルス不調で休職している労働者の職場復帰を支援することが重要です。

三次予防の目的は職場復帰支援と再発防止

三次予防の最大の目的は、メンタルヘルス不調により休職を余儀なくされた従業員の円滑な職場復帰支援と、復帰後の再発防止です。メンタルヘルス不調は、一度回復したように見えても、職場環境や業務内容の調整が不十分であると再発するリスクが高まります。

そのため企業は、休職者が安心して治療に専念できる環境を整えるとともに、復帰に向けて段階的なサポートを行う安全配慮義務を負っています。再発を繰り返すことは、本人のキャリア形成に悪影響を及ぼすだけでなく、企業の労働生産性の低下や貴重な人材の流出にも直結します。したがって、休職前から復帰後までを見据えた中長期的な視点での支援体制の構築が不可欠です。

休職者へのフォローと復帰支援プログラム

休職者に対する適切なフォローと、体系立てられた職場復帰支援プログラムの実施は三次予防の中核を担います。

一般的な職場復帰支援プログラムは、以下のようなステップで進行します。企業ごとにルールを明確化し、就業規則等に定めておくことが望ましいでしょう。

ステップ内容企業側の主な対応
第1ステップ病気休業開始および休業中のケア休職の手続き、傷病手当金などの経済的補償の説明、定期的な連絡による状況把握と安心感の醸成
第2ステップ主治医による職場復帰可能の判断労働者からの職場復帰の申し出の受付、主治医の診断書の提出依頼と内容の確認
第3ステップ職場復帰の可否の判断および職場復帰支援プランの作成産業医による面談、業務内容や労働時間の調整、試し出勤制度の活用検討、プランの策定
第4ステップ最終的な職場復帰の決定事業者による最終的な復帰の決定と、職場内(管理職や同僚)への適切な情報共有と受け入れ準備
第5ステップ職場復帰後のフォローアップ復帰後の定期的な面談、業務負荷のモニタリング、必要に応じたプランの再評価と見直し

主治医や外部リソースとの連携

三次予防を成功させるためには、企業内の人事担当者や管理職だけで抱え込まず、主治医や産業医、外部の専門機関と緊密に連携することが欠かせません。休職者の回復状況や就業上の配慮事項については、医学的な見地からの判断が必要となるためです。

本人の同意を得た上で、産業医や保健師などの事業場内産業保健スタッフが主治医と情報交換を行うことで、より現実に即した復帰支援プランを作成できます。また、地域障害者職業センターが提供するリワーク支援(職場復帰支援)や、各種EAP(従業員支援プログラム)機関などの事業場外資源を積極的に活用することも有効です。外部リソースの専門的なプログラムを利用することで、休職者は生活リズムの立て直しやストレス対処法の習得を段階的に行うことができ、結果として再発リスクを大幅に低減させることが可能になります。

【関連記事:EAP(従業員支援プログラム)を徹底解説!導入のメリット・デメリット、具体的な内容とは?

企業がメンタルヘルス対策を総合的に進めるポイント

打ち合わせ

これまで解説してきた一次予防・二次予防・三次予防は、それぞれ独立して機能するものではありません。企業が従業員の心の健康を守るためには、3つの予防段階をシームレスに連動させ、総合的なメンタルヘルス対策として推進することが不可欠です。ここでは、企業が一体となって対策を進め、働きやすい職場環境を実現するための重要なポイントを解説します。

経営層のコミットメントと基本方針の明文化

メンタルヘルス対策を全社的な取り組みとして定着させるためには、まず経営層が従業員の心の健康づくりに対する強い意志を示すことが重要です。経営トップ自らがメンタルヘルスケアの重要性を認識し、企業としての基本方針を明文化して社内外へ発信しましょう。方針が明確になることで、人事労務担当者や管理職が現場での対策を実行しやすくなり、従業員も安心して支援制度を利用できる土壌が形成されます。

「4つのケア」を組み合わせた包括的な体制づくり

厚生労働省が公表している職場における心の健康づくりの指針では、メンタルヘルス対策を効果的に進めるために「4つのケア」が推奨されています。一次予防から三次予防までの各段階において、これらのケアを適切に組み合わせることが成功の鍵となります。

4つのケア主な実施内容と予防段階との関連
セルフケア従業員自身がストレスに気づき対処する取り組み(主に一次予防)
ラインによるケア管理職が部下の異変に早期に気づき、職場環境改善や相談対応を行う取り組み(一次予防・二次予防)
事業場内産業保健スタッフ等によるケア産業医や保健師、人事労務担当者が専門的な立場から従業員や管理職を支援する取り組み(二次予防・三次予防)
事業場外資源によるケア外部のEAP(従業員支援プログラム)機関や専門医、リワーク施設などを活用する取り組み(二次予防・三次予防)

PDCAサイクルによる継続的な改善

メンタルヘルス対策は、一度制度を導入して終わりではありません。ストレスチェックの集団分析結果や休職者の発生状況などの客観的なデータを活用し、PDCAサイクルを回しながら継続的に職場環境を改善していくことが求められます。計画(Plan)を立てて対策を実施(Do)し、その効果を評価(Check)した上で、次なる改善策を実行(Action)する仕組みを構築しましょう。

定期的な研修の実施と効果測定

PDCAサイクルの一環として、従業員向けのセルフケア研修や管理職向けのラインケア研修を定期的に開催し、知識のアップデートを図ることも重要です。研修実施後はアンケート等で理解度や意識の変化を測定し、次回のプログラム改善に活かすことで、組織全体のメンタルヘルスリテラシーを持続的に向上させることができます。

一次予防による未然防止から、二次予防による早期発見・対応、そして三次予防による復職支援と再発防止まで、すべてのプロセスを網羅した体制を築くことが、企業の持続的な成長と従業員のウェルビーイング実現に繋がります。

一次予防・二次予防・三次予防を一体的に進める

笑顔で働くビジネスパーソン

企業におけるメンタルヘルス対策は、従業員の健康を守る安全配慮義務を果たすために不可欠です。対策を効果的に進めるには、メンタルヘルス不調の未然防止を図る「一次予防」、早期発見と早期対応を目的とする「二次予防」、そして職場復帰支援と再発防止を担う「三次予防」の3つを総合的に推進することが重要となります。

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度の活用や、社内外の相談窓口の設置、産業医との連携など、各段階に応じた具体的な取り組みを継続し、従業員が安心して働ける職場環境の構築を目指しましょう。