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ソフトウェアの減価償却はどのように行う?ポイントを解説

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減価償却とは、資産価値の減少に合わせて費用を各会計期間に割り振っていく会計手続きのことを指します。減価償却の対象となる資産には、建物や機械設備などの有形固定資産だけではなく、他企業を買収する際に生じるのれん、ソフトウェア、無形固定資産、特許権や商標権なども含まれます。

この記事では、ソフトウェアの減価償却について詳しく解説していきます。

ソフトウェアの定義

減価償却の対象となる資産には、建物や機械設備などの有形固定資産だけではなく無形固定資産も含まれます。無形固定資産とは、特許権や商標権などの法律上の権利、他企業を買収する際に生じるのれん、ソフトウェアなどの資産のことです。

ソフトウェアは、コンピュータに一定の動作をさせるために命令を組み合わせて表現したプログラムなどのことを指しています。これらの無形資産は、一定のルールに従って減価償却をしなければならない場合があります。特にソフトウェアについては、まったく同じソフトウェアであっても、どのような目的で使用しているかによって減価償却の方法が異なるため注意が必要です。

ソフトウェアの会計処理

ソフトウェアの減価償却計算にあたっては、ソフトウェアの制作費を会計ルールに沿って制作目的ごとに正しく分類し、それぞれの制作目的に対応した会計処理を適用することが必要です。

ソフトウェアの制作目的は、研究開発目的と研究開発目的以外に大別されます。研究開発目的以外については、さらに3つに区分されることが特徴です。区分は「自社利用目的」「市場販売目的」「受注制作目的」の3つとなっています。


研究開発目的ソフトウェアの会計処理

研究開発目的のソフトウェア制作費については、研究開発費勘定で処理されることになっています。

研究開発費は、原則として一括して費用処理され、減価償却を行いません。また、研究開発目的以外のソフトウェア制作費のうち受注制作目的のものについては、工事契約の会計処理に準じて処理を行うことになっています。そのため、減価償却という手続きは不要です。

ソフトウェア製作費について減価償却が必要になるものは、自社利用目的ソフトウェアと市場販売ソフトウェアに限られます。これらの目的のソフトウェアのうち一定の制作費については、資産計上したうえで一定の基準に沿って減価償却計算を行い費用化するという会計処理を行うことが必要です。以下では、自社利用目的ソフトウェアと市場販売目的ソフトウェアの減価償却方法などの会計処理について、それぞれ解説します。

研究開発目的以外ソフトウェアの会計処理

自社利用目的ソフトウェアの会計処理

まず、自社利用目的ソフトウェアの会計処理についてです。

自社利用目的のソフトウェアとは、自社内の生産活動や管理部門の業務に使用目的で制作されたソフトウェアのことです。また、制作されたソフトウェアを自社内で使用して他社などの顧客に対してサービスを提供する場合も、そのソフトウェアは自社利用目的に区分されます。さらに、自社利用目的ソフトウェアが将来収益を獲得する、もしくは費用を削減するという効果が確実にあると認められる場合、ソフトウェア制作費については無形固定資産として資産計上を行い、減価償却を行うことが必要です。将来において収益獲得や費用削減の効果が認められない場合は、期間費用として一括費用処理することになっています。

自社利用目的のソフトウェアの会計処理を行うにあたっては、制作費や導入費用を正しく処理することも重要です。ポイントは、支出された制作費のうちソフトウェア勘定で処理されるべき分を正しく判断することでしょう。自社利用目的ソフトウェアの制作費と導入費用のうち、ソフトウェア勘定科目で処理しないものは、3つあります。1つ目は、パソコンやサーバーの購入費用です。これらについては、備品などの勘定科目で処理を行います。2つ目は、旧システムから新システムへのデータ移管に関する費用です。この費用に関しては、一般管理販売費として一括して期間費用処理を行います。3つ目は、導入のためのトレーニング費用です。ソフトウェアを稼働させるためには必要となる費用ではありますが、ソフトウェアの取得原価を直接的に構成する支出とは性格を異にするため、トレーニング費用については一般管理販売費として期間費用処理します。これら以外のソフトウェア制作費については、仕様変更や設定作業に関わる費用を含めて、ソフトウェア勘定を使用し、資産計上を行う処理が必要です。

資産計上されたソフトウェアの取得原価は、利用可能期間以内で減価償却を行います。ポイントは2つあります。

利用可能期間については、原則5年とされていることです。もう1つは、償却方法についてであり、定額法で減価償却を行うことになっています。企業会計審議会が発行している実務指針では、「その利用実態に応じてもっとも合理的と考えられる方法を採用すべき」とされており、一般的には定額法がもっとも合理的だとされていると認識しておきましょう。定額法による減価償却費の計算式は、「1年分の減価償却費=取得価額×定額法の償却率(1÷耐用年数)」です。5年間の定額法で計算する場合は、取得価額に0.2を掛けた金額が1年間の減価償却費となります。年の中途で取得した場合は、月割計算を行うことが必要です。

市場販売目的ソフトウェアの会計処理

続いて市場販売目的ソフトウェアの会計処理についてです。

このタイプのソフトウェアの会計処理を理解するためには、製品としてソフトウェアを販売する場合における製造過程の特徴を把握しておくことが欠かせません。その特徴は、マスターをコピーするだけで製品を作り出せることです。市場販売目的のソフトウェアを制作する場合、一般的には最初に製品マスターを完成させ、そのあとでマスターをコピーして製品としてのソフトウェアを量産して販売する方法がとられます。製品マスターとは、製品の元になるソフトウェアのことです。市場販売目的ソフトウェアの会計処理にあたっては、この製品マスターの費用に関する処理も重要なポイントとなります。

製品マスター完成までの開発費用については、ソフトウェア勘定ではなく研究開発費勘定で処理するということをしっかりと認識しておきましょう。また、一旦完成した製品マスターの機能を著しく改良するために要した費用も研究開発費で処理することになっています。結果として、市場販売目的ソフトウェアに関する費用のうち、ソフトウェア勘定で処理されるものは、研究開発費として処理されるべきもの以外の製品マスターの機能改良や強化に要した費用です。さらに、市場販売目的ソフトウェアの制作原価についても、ソフトウェア勘定では処理しないことにも注意が必要です。製品としてのソフトウェア制作原価については製造原価で処理し、販売された数量に対応する分については売上原価で処理します。

ソフトウェア勘定で処理された費用は、減価償却を行います。減価償却額は、以下の2つの方法で計算した金額のうち大きい方が償却額です。

(方法1)
減価償却額=ソフトウェア未償却残高×(各年度の実績販売数量÷各年度の期首の見込み販売数量)
ただし、初年度については、「各年度の期首」の部分について「販売開始時」と読み替えます。

(方法2)
見込有効期間を原則3年として、減価償却額=ソフトウェアの未償却残高÷残存有効期間

なお、この方法によって算出された減価償却費については、売上原価として計上することになります。著しい製品マスターの改良に該当しない改良・強化に関わる費用は、原則として販売数量に対応して売上原価に計上するという考え方をとっているからです。ただし、あまりに長期間にわたりソフトウェア資産計上が続くことがないように、見込有効期間である原則3年以内には減価償却が完了するという仕組みになっています。

ソフトウェアの減価償却計算は正確に

ソフトウェアの会計処理は、費用を正確に区分することが必要です。

そのためには、まず、そのソフトウェアの使用目的を正しく判断することが大切になります。また、使用目的を同じくする支出であっても、研究開発費など別の勘定科目として処理するケースがあることにも注意が必要です。そのうえで、ソフトウェア勘定として処理された無形資産についてそれぞれ適正な減価償却方法を適用して正確な決算処理を行えるように、減価償却に関する正しい知識を身に付けておくようにしましょう。管理しているソフトウェアの種類や数が多い場合は、管理・計算業務の負担は大きいです。

そういったケースでは、減価償却計算を自動で行ってくれる固定資産管理ソフトを使用することも有効だといえます。必要に応じ、固定資産ソフトを利用することも検討してみましょう。

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