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定額法?定率法?減価償却費の計算に必要となる基礎情報
今回は固定資産を購入したときに必要不可欠である「減価償却費」の計算方法についての基礎的な部分を徹底的に解説していきます。
減価償却費の計算方法は大きく分けると「定率法」と「定額法」の2つがあり、購入した時期、資産の種類、金額によって異なってきます。正しい費用を算出するには減価償却の知識は必須なので、基礎的な部分を理解しておきましょう。
減価償却とは?
固定資産は、一般的に長期間利用するものですが、使用年数の経過とともに資産としての価値がだんだんと薄れていきます。
この考え方を「減価償却」といい、減価償却は時間の経過に伴い数年にわたって固定資産を費用として計上していくことになります。
つまり、購入した資産をその年の費用に全額計上していくのではなく、固定資産が使用できる期間において分割で費用の計上をしていくようになります。この分割で計上していく方法は資産ごとに決まっているため、一律で同じではないところが厄介な部分になります。
このような複雑な計算方法をとる理由は、発生主義に基づく適正な会計処理のためです。固定資産は1年以内に利用を終えるものではなく、複数年にわたって利用をするため、固定資産購入による効果は複数年に及びます。よって、この実態を反映させ複数年にわたり費用化を行う方が会計上有用性が高いのです。
減価償却費の計算方法とは?定額法と定率法
減価償却費の計算方法は「取得価額」「耐用年数」「残存価格」「償却方法」の4つから決まってきます。
取得価額はその資産を取得したときの価格、耐用年数は取得した資産が何年間価値を持っているか(例えば車で耐用年数が6年となっている場合、その車は取得から6年間価値がある)となります。
また残存価格は、耐用年数が経過した減価償却資産のその経過している時点における資産価値となります。ちょっと難しいですが、現在税務上の考え方では残存価格という考え方は事実上なくなっているので、深く考えなくて大丈夫です。
最後に償却方法ですが、減価償却費の計算方法は大きく分けて2つあります。
それは「定額法」と「定率法」になります。
資産の区分によってどちらかが適用されるので、どちらかの償却方法を用いて減価償却費を計算していきます。
定額法の減価償却費の計算方法
では、まずは定額法の計算方法を解説していきます。
そもそも定額法とは「毎年一定の額を費用として処理する方法」のことです。
「減価償却費=取得原価×定額法の償却率」で求めることができます。
ここでいう「定額法の償却率」とは、ある資産を5年の定額で計算した場合、1÷5=0.2となり、この場合の定額法償却率は0.2となります。
この償却率は資産の耐用年数によって、償却率が変動してくるので資産ごとに確認する必要があります。
もしも資産の耐用年数が何年かわからない場合は国税庁のHPに記載されていますので、参考にしてください。
定率法の減価償却費の計算方法
定率法での償却の計算方法は簡単です。
「減価償却費=取得価額(未償却残高)×定率法の償却率」で求めることができます。ここで注意してほしいのは、計算した減価償却額が「償却保証額(資産の取得価額 × 耐用年数に応じた保証率)」より低かったとき、「改定償却率」を使って計算する必要があることです。
難しそうですが、耐用年数に応じた保証率より低い場合は別の償却率を使いましょうということです。
同じく償却率も耐用年数によって決まっているので、迷ったら国税庁のHPなどで確認しましょう。
基本的な減価償却費の計算方法は以上になります。
固定資産ソフトを使い、資産の種類、取得価額、取得日時を正確に入力すれば償却額は自動で計算してくれるため非常に便利です。
固定資産の判断の仕方~10万円を越えるかどうか~
ここからはなにが固定資産に該当するかどうかの判断の基礎的な部分について解説していきます。
最低限判断するポイントがあるので、しっかりと理解しておくと固定資産の管理が楽になります。
取得価額に関しての主なポイントは2つです。
- 取得価額が10万円以上かどうか
- 取得価額が10万円以上20万円未満かどうか
ここさえ押さえておけば大丈夫です。
ポイント1「10万円以上かどうか」
取得価額が10万円未満のものは基本的に資産に計上する必要はありません。
「消耗品費」などで費用処理してしまって大丈夫です。
資産かどうかを判断するときは、まずは10万円以上のものかどうか確認していきましょう。
ポイント2「10万円以上20万円未満かどうか」
次の判断基準として、取得価額が10万円以上20万円未満のものについてです。
この範囲に該当する金額だと「一括償却資産」または「固定資産」として処理できます。
「一括償却資産」とは3年にわたって費用に計上できるものですので、普通の固定資産とは異なるので注意が必要です。各年度に費用化できる金額、償却資産税などの判断材料を踏まえてどちらで処理するか決めていきます。一般的には「一括償却資産」で対応することが多いです。
ちなみに中小企業の場合は固定資産の少額の特例という制度があり、年間300万円までなら1つ当たりの取得価額が30万円未満のものは損金で計上することができます。こちらも合わせて覚えておくと便利です。
以上をまとめると、固定資産の購入時は20万円(中小企業は30万円)を越える場合耐用年数を用いた減価償却費の計算が必要と判断してもらえれば大丈夫だと思います。
まとめ
今回の記事では減価償却の基礎知識、減価償却費の計算方法について、また固定資産の取得価額の判断基準について解説してきました。
減価償却は会計の原則において必要不可欠なものであり、固定資産を費用に計上していくうえでも必要なものです。減価償却費の計算方法は「定率法」と「定額法」の2種類あって、どちらも固定資産の耐用年数に大きくかかわってきます。耐用年数に応じて償却できる金額が変わってくるので、国税庁のHPなどで確認はしておきましょう。
固定資産の判断基準としては、まずは取得価額が10万円以上かどうかです。
取得価額が、10万円未満なら消耗品費などで費用。10万円以上20万円未満なら一括償却資産。企業規模によりますが、20万円を超える場合は、固定資産として減価償却が必要となり、固定資産に該当するかどうかの判定には取得価額がベースとなります。
※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。