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会計ソフトの摘要欄に書くべき内容と活用方法は?

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会計ソフトには摘要欄があります。多くの会計ソフトでは摘要欄にはフリーワードを自由に入力できるようになっています。入力した摘要は仕訳伝票だけでなく総勘定元帳などの帳票に反映されるため、何を記入すべきか迷うこともあるでしょう。複数で入力していれば、担当者が記入しておいた方がよいと思う内容もバラバラになってしまうこともあります。

会計のデータは担当者レベルでは経費精算のための仕事との認識が強いかもしれませんが、管理会計の各種分析ツールとしてのデータ集積作業でもあります。

そのため、経費を精算すればよい、税務調査で問題なければよい、というものではありません。

翌期の予算作成時の実績データにもなりますし、物価が高騰している最近では利益減少につながる仕入原価増加の原因を探るデータにもなります。

この記事では、摘要欄に記入すべきこと、分析ツールとして活用できるデータとはどんなものか、活用方法を詳しく解説します。

摘要欄を適切に記入する重要性

摘要欄の記入方法には明確なルールはありませんが、あとで見返して仕訳の内容がわかるようにする目的があります。

決算時の科目をチェックする際には、摘要欄をみて勘定科目や税区分が適正なものかを確認します。すべての伝票をめくって確認するのではなく、帳票の摘要欄の内容から確認が必要な伝票を選んで領収書や証憑をみていきます。

経理担当の筆者ですが、税理士や監査法人の対応をしていても、帳票の摘要欄からピンポイントで確認したい伝票を指定されることがほとんどです。

このことからも摘要欄を適切に記入することがとても重要だといえるでしょう。

摘要欄に記入すべきこと

摘要欄の記入方法には明確なルールはありませんが、摘要欄が各種帳簿類に反映されることを考えると帳簿の記載事項を満たすことが必要でしょう。
帳簿の記載事項は次の(1)~(5)です。

  • (1) 取引日
  • (2) 取引先の社名や名称
  • (3) 取引内容
  • (4) 取引 金額
  • (5) 税区分(消費税の区分)

掛買いや掛売りの場合は(2)の取引先の社名や名称などの情報はマスター情報として登録するのが一般的です。しかし、現金精算する取引先を登録していることは少ないでしょう。その場合は摘要欄に(2)の取引先の情報を記入して、あとから取引先がわかるようにします。

会社によっては勘定科目や補助簿を細かく設定して取引内容を科目と補助簿で管理していることもあるでしょう。たとえば、勘定科目100は出張費、補助簿1は公共交通機関の料金、補助簿2は宿泊費、補助簿3は日当といった具合です。
このように管理していない場合は摘要欄に (3)の取引内容も詳しく記入しましょう。

摘要欄の記入例

会計ソフトでは取引日と取引金額、税区分は摘要欄以外の欄に単独で入力できるようになっているものがほとんどです。摘要欄に記入するのは取引先の社名や名称と取引内容のことが多いでしょう。摘要欄の記入例を紹介します。

交通費

交通費は移動した目的と経路を記入します。支払先が公共交通機関の場合は鉄道間の乗り入れなどもありますが、経路を細かく記載すればよいでしょう。

例:地下鉄 ○○駅~××駅 △△株式会社商談

また、乗り継ぎをして精算810円の場合であれば、

例:地下鉄 ○○駅~××駅 550円
バス バス停××~バス停△△ 260円  △△株式会社商談

など、利用した公共交通機関とそれぞれの料金を記載しましょう。

電話料金

電話料金などの毎月発生するものの摘要欄には利用した年月を記入しましょう。

例:○○会社 電話料金2023年4月分

電話料金などの通信費は固定電話や携帯電話だけでなく、データ通信費や切手代、送料など多岐にわたるため支払先を必ず記入しましょう。
また、摘要欄に年月をいれておけば支払いモレのチェックもしやすく、年間の電話料金の支払実績を集計する際に便利です。

仕入商品

仕入商品は物価上昇時には会計年度内に価格改定が行われることがあります。そのため、摘要欄には詳しい商品名や型番、購入単価と個数を記入しましょう。

例:オフィスデスク 型番ASD-1001 @35,000×10

このようにしておけば、会計年度内に同じ型番のものを購入した場合でも購入単価を把握することができ、個数を記載すれば期末商品の棚卸の際の当期仕入数を把握する場合に便利です。

交際費

客先との会食費用は交際費ですが、3,000円程度でお酒を伴わない場合は会議費で処理することもあります。そのため、摘要欄には目的と取引先名や参加者、自社の参加者、単価計算に必要な人数を記入します。

例:食事処○○○ ××会社との懇親会(参加者:××会社△△営業部長・◇◇様、当社営業部□□他5名計7名) 許可:10-10101

最後に記載した許可というのは交際費が許可制の場合の決裁番号です。交際費の使用目的が適正であるかを判断するために申請・許可の手続きをしている会社では番号を記入しておきましょう。

会議費

社内外に関係なく会食しながらの打ち合わせで飲酒を伴わない3,000円以下の会食は会議費で処理できます。税務調査によるのかもしれませんが、ビール1本程度なら会議費として認められた経験もあります。

会議費の摘要は打ち合せであることがわかるように記入します。

例:○○カフェ 決算処理の打ち合わせ 参加者:税理士・経理部4名計5名

人数を記入することで一人当たりの単価がわかります。
レシートであれば明細がわかりますが、領収書の場合は支払額が記載されているので参加人数がわからないと単価を計算できませんので人数を記入しましょう。

寄付金

寄付金は税計算でも交際費と並ぶ重要なものです。そのため、寄付先を明確に記載しましょう。

例:NPO法人○○○○ ×××基金への募金

また、例のように寄付目的を明確に記入することも重要です。最近は寄付金にも受取書を発行する団体もあります。伝票に添付するようにしましょう。

固定資産

固定資産を購入した際の摘要欄には詳しい固定資産の情報を記載しましょう。固定資産は購入月から減価償却を始めます。そのため、あとで購入時期がわかるようにしておくとよいでしょう。

例:応接セット(固定資産№:15050-1210) 購入日:2023年5月1日

このように固定資産の管理番号も記入しておけば月次決算の際に固定資産の登録モレや減価償却の処理モレにも気づけます。

摘要欄の活用方法

摘要欄を売上や経費処理をしながら管理会計のデータ集積をしているという視点で考えると、記入ルールは社内で統一しておくとよいでしょう。
例えば摘要欄に製品の型番や単価を記入していれば、仕入率上昇の原因を探るために製品の仕入値の上昇率を計算することができます。

経費増加の原因を探るため営業の出張時の宿泊単価を比較して単価上昇が経費増大の原因であれば、特定のホテルチェーンと法人契約して宿泊単価引き下げの交渉を行ったり、旅行代理店ではなく割安なネットからの申込みに変更することで経費はおさえられるでしょう。

また、頻繫にタクシー代の経費精算をしている社員を集計して、公共交通機関の利用を促すことで経費を抑えることも可能です。

このように摘要欄をうまく活用すれば必要なデータを得ることができ、分析して適時対策をすることができます。

まとめ

会計ソフトの摘要欄は自由に入力できます。税務調査でもはいらない限り特に見返すこともないという担当者もいるかもしれませんが、帳簿を作成していると考えると記入すべきことはある程度決まってきます。

また、記入することをルール化しておくことで、処理モレをチェックしやすい体制をつくることもできます。

予算管理や分析ツールとして活用するためにも、摘要欄は社内で統一したルールで記入していくとよいでしょう。予算作成や予算管理にも役立ちますので、摘要欄の活用方法を社内で検討してみるのもよいかもしれませんね。

日常の会計処理だけと思わずに、同時にデータ集積もしていると考えて取り組んでみるのもよいのではないでしょうか。

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