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電子帳簿保存法のタイムスタンプとは?2020年、2022年の改正で緩和された内容も解説

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国税関係帳簿書類(所得税法や法人税法等の国税に関する法律の規定により、保存しなければならないと定められている書類)は、電子データでの保存が認められています。近年は法改正のたびにデータの真実性を証明する「タイムスタンプ」の要件も緩和され、導入しやすくなっています。

経理担当者にとって売上の根拠となる注文書や契約書、支払いの根拠となる取引先からの請求書など国税関係の証憑や各種帳票の管理は大きな負担となります。法人税法などで保存期間も定められており、税務調査では提出を求められるため、モレのないように管理していなければなりません。

電子データでの保存の要件を満たしたタイムスタンプを使いデータ保存できれば、管理の負担は軽減され検索性もあがります。
この記事では電子帳簿保存法のタイムスタンプについて、概要や必要性、近年の法改正により緩和された要件、費用について解説します。


電子帳簿保存法のタイムスタンプとは?

電子帳簿保存法は1998年にスタートした国税関係帳簿書類を電磁的記録等による保存等を認めた法律です。電子帳簿保存法は改正を繰り返しており、スキャナ保存する要件も変化しています。 特に近年は法改正のたびに「タイムスタンプ」の要件が緩和され、導入しやすくなってきています。

タイムスタンプとは、書類の不正な改ざんを防ぐために保存した日時をデータに付与するもので、ハッシュ値という関数を使って入力値をもとに計算した固定長データです。保存した電子データにタイムスタンプを付与することで書類の存在を証明できる仕組みです。


また、書類を電子帳簿保存する際に使用するタイムスタンプは、次の2つを満たしていなければなりません。

  1. 保存期間を通じて記録事項が変更されていないことを確認できること
  2. 一般財団法人日本データ通信協会が認定するタイムスタンプを付与していること

電子帳簿保存法で国税関係書類を電子データで保存するには、「認定タイムスタンプ」を付与していなければならす、認定タイムスタンプを発行するためには、一般財団法人日本データ通信協会に時刻認証業務認定事業者として認定されてなければなりません。なかには認定スタンプでないものもありますので導入する際には確認しましょう。

2021年9月末時点で一般財団法人日本データ通信協会が発表している時刻認証業務認定事業者は次の5社です。

  • アマノ株式会社
  • セイコーソリューションズ株式会社
  • 株式会社TKC
  • 株式会社サイバーリンクス
  • 三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社

参考サイト:一般財団法人日本データ通信協会|時刻認証業務認定事業者(TSA)
https://www.dekyo.or.jp/tb/contents/list/index.html

会計システムで電子帳簿保存法対応とうたっているものは、これらのいずれかの事業者のタイムスタンプを採用しているはずですので、導入を検討する際は確認しておきましょう。

タイムスタンプの要件は法改正で緩和されている

タイムスタンプの要件は2020年、2022年の法改正で大きく緩和されています。タイムスタンプの要件がどのように緩和されたのか確認しておきましょう。

2020年の要件緩和

2020年10月の法改正では、自社のタイムスタンプ以外に取引相手のタイムスタンプも認められました。

例えば取引先からの請求書であれば、取引先のタイムスタンプが付与されていれば、自社のタイムスタンプは不要になります。

この要件緩和により書類を取引先からPDFデータで受け取り、そのまま保存できるようになり、利便性が格段にあがりました。

バックオフィスの効率化が進み生産性の向上につながる要件の緩和です。


2022年の要件緩和

2022年の改正では2023年4月1日以降、導入開始3カ月前の日までに申請が必要であった税務署長の事前承認が廃止されます。他にも次のような点で要件が緩和されます。

【帳簿類】

  • モニター、説明書の備付け等の最低限の要件を満たす電子帳簿(正規の簿記の原則に従って記帳されるものに限る。)も、電子データのまま保存することが可能
  • 信頼性の高い電子帳簿(優良な電子帳簿)については、インセンティブにより差別化(過少申告 加算税を5%軽減、青色申告特別控除を10万円上乗せして65万円)

【受け取る請求書など】

  • 紙原本による確認の不要化(スキャン後直ちに原本の廃棄が可能)
  • 電子データの改ざん等による不正に対しては、重加算税を10%加算・タイムスタンプ付与までの期間を最長約2カ月以内に統一
  • 検索要件について、「日付、金額、取引先」に限定するとともに、一定の小規模事業者については不要化

ここでいう信頼性の高い電子帳簿とは次の5つの要件をすべて満たしたものです。

  • システム間の相互関連性の確保
  • 訂正及び削除の履歴が残るシステム
  • 関係書類の備付け
  • 見読可能性の確保
  • 検索機能の確保(取引年月日、金額、取引先の3項目)

このように電子帳簿等保存制度は、経理分野の生産性の向上、テレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に向けて法改正を重ねています。税金面の優遇措置を講じていることから、政府として推進していることがわかります。


タイムスタンプにかかる費用

電子帳簿等保存制度とタイムスタンプについてご説明してきましたので、電子帳簿等保存を始めるにあたりタイムスタンプの重要性はご理解いただけたと思います。しかし、タイムスタンプは認定事業者のものを利用しなければならず、コストもかかります。

実際に電子帳簿等保存制度を導入する際には、自社で認定事業者と契約してシステムを開発するといった運用はかなりのコスト高で、ある程度のスケールメリットがないと費用対効果が得られません。

現実的には、認定タイムスタンプを搭載している会計システムを導入するのが現実的で、多くの企業が選択するのではないでしょうか。
要件が緩和されてハードルが低くなっているとはいえ、導入時の初期費用だけでなく、ランニングコストもかかることを踏まえて導入検討をするとよいでしょう。


タイムスタンプが必要な書類は?

電子帳簿保存でタイムスタンプを付与して保存しなければならないとされている書類は次のようなものです。

【重要書類】

  • 請求書
  • 納品書
  • 領収書
  • 約束手形、小切手
  • 預金通帳
  • 預り証や借用証書
  • 契約書
  • 輸出証明書 など

【一般書類】

  • 注文書
  • 検収書
  • 見積書
  • 貨物受領証
  • 入庫報告書 など

これらは各種取引の証憑となるものばかりです。契約書などは電子契約サービスが普及してきていますので、相手から届いたクラウドの契約書にタイムスタンプが付されていれば、電子保存の要件を満たしており、そのまま保存ということもあり得ます。

まとめ

電子帳簿保存法は経理部門の証憑や帳票の管理負担を軽減するために有効な手段です。近年の法改正ではタイムスタンプの要件緩和が続いており、より使い勝手がよくなっています。

また、導入手続きについても、2022年からは税務署への事前申請が不要となりますから、経理部門の生産性向上のために導入を検討してみてもよいのではないでしょうか。

自社だけで電子帳簿保存法の要件を満たすことが難しければ、タイムスタンプなどの要件を満たした会計ソフトの利用を検討してみてください。


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