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経理担当者なら知っておきたい!棚卸をする際のポイント

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決算業務のひとつに棚卸があります。棚卸は決算日に物品の有高を品目別に確認して資産価値を算出する作業のことです。

なぜ決算業務かというと、棚卸資産の資産価値が決算書に反映されるためです。また、在庫を確認することで使用した原料材や有価物の帳簿の数字が正しいかを裏打ちする側面もあります。

小売業など多くの商品を扱う業種では非常に労力を要する作業ですが、利益を計算するうえで重要な仕事です。

この記事では棚卸のポイントについて詳しく解説します。


棚卸とは

棚卸とは決算日における現物の在庫数を確認して資産の価値を計算する仕事です。棚卸の対象は資産価値のあるものすべてです。商品や原材料だけでなく有価物や貯蔵品も対象となります。

【棚卸の対象となるもの】

  • 商品や製品
  • 原材料
  • 仕掛品(製品で作成途中のもの)
  • 切手や印紙などの有価物

また、労働保険の印紙保険料(雇用保険印紙)は見落としがちですが有価物と認識して棚卸をします。


棚卸の目的

棚卸の目的は在庫を確認することで会計期間の売上原価や基準日における資産の価値を算出することです。また、現物確認しますので、在庫数が帳簿上の数字と一致することで決算数字の正確性を補填することもできます。逆に、在庫数と帳簿の差異を追求することで不正を見つけることもできます。

棚卸の手順

棚卸には事前準備が必要です。製品の棚卸を例にとると、実地棚卸作業では品目を型番別にカウントしますので、事前準備として品目別に型番の明細を記載した一覧表を作成しておくとよいでしょう。

【棚卸表の記載事項】

  1. 棚卸日
  2. 品名と型番
  3. 個数
  4. 単価
  5. 金額

実際の棚卸作業は限られた時間で多くのものの在庫を確認しなければならず時間との闘いです。

在庫確認の実務では、ひたすら「3」の個数のみを数えていきます。「4」「5」は棚卸日に単価が算出できていないこともありますので算出でき次第、後追いで記入することも多くあります。


棚卸のポイント

棚卸の手順をご説明しましたので、実施するうえでのポイントをご紹介します。

(1)数だけでなく製品の品質もチェックする

棚卸は単純に数を数えればよいわけではありません。カウントしながら品質や製品の状態も確認します。棚卸では破損や汚れがあり販売できないものは在庫とは認識しません。また品質が低下して正規の価格で販売できないものは評価を下げます。該当する場合は損失や低価評価損を計上して簿価を修正します。

(2)預け在庫も忘れずにカウントする

預け在庫とは社内にある在庫ではなく、外部の倉庫や取引先の倉庫に置いてある在庫です。委託販売先などに製品を預けている場合が該当します。現実的には取引先の倉庫で棚卸することは難しい場合が多いので棚卸日の預かり証で数を確認します。

預け在庫は数量が多く、後になってから大きな誤差が発生する可能が高いので定期的な現物実査をしたほうがよいでしょう。

(3)仕掛品は進捗により評価する

仕掛品とは、カンタンに言えば作りかけの製品ことです。製造業では多くの工程を経て製品が出来上がりますので、棚卸日に製品として完成していないものも発生します。

作りかけも在庫としてカウントしますが、最初の工程の作りかけと最終工程の作りかけでは価値がちがいます。そのため、実施日にどの工程にある仕掛品かを把握してカウントしていきます。


帳簿と差異があった場合は?棚卸誤差率とは?

棚卸には、実際の在庫数を確認する「実地棚卸」と、帳簿上の在庫数を計算する「帳簿棚卸」があります。通常、棚卸といえば実地棚卸をさします。理論的には実地棚卸と帳簿棚卸の在庫数は一致するはずですが、現実は必ず一致するとは言えません。数が合わない場合は、実際の在庫数に合わせて帳簿を修正します。

在庫と帳簿があわない場合の差異率を「棚卸誤差率」といいます。多くの会社は0.1以下を目標値としています。

【数量ベースの場合の計算式】
棚卸誤差率(%)=在庫差異数量(絶対値)÷棚卸後数量×100

棚卸誤差率は数量以外に金額や品目をベースに計算することもあります。

棚卸誤差率の誤差が大きい時や特定の品目に偏って差異が発生している場合は原因を確認します。特定の品目の在庫が分割保管されていたり、出庫時に記入した型番がちがうなど原因はさまざまです。次回の棚卸時に誤差がなくなるように努力していきましょう。


在庫の評価方法

棚卸した在庫の評価方法は複数あり会社が選択します。材料は仕入れた条件により単価が一定でないことから採用している評価方法により、在庫一覧表の項目(4)単価がかわってきます。代表的な評価方法を確認しましょう。

(1)原価法
取得時の価格をもとに評価する方法です。取得時の価格は変動することもあります。その価格のちがいの処理方法により評価方法が複数あります。

  • 個別法
    取得価格を商品有高帳で個別の管理し、取得単価を棚卸時の単価とします。
  • 先入先出法
    先に取得したものから順に販売される、または消費されると仮定して期末単価を計算する方法です。期末有高から取得価格を確認して処理します。
  • 平均原価法
    ○総平均法:期首在庫の単価と当期仕入の取得価格を加重平均して期末単価とする方法です。
    ○移動平均法:期中に仕入れた取得単価を追加取得するごとに平均していき基準日現在の単価を求める方法です。
  • 売価還元法
    資産の種類ごとに原価率を計算して期末有高の販売価格に原価率をかけて計算する方法です。
  • 最終仕入原価法
    会計期間のなかで最後に仕入れた時の取得価格を期末の単価とする方法です。期間損益の計算に著しい弊害がない場合にのみ認められています。

(2)低価法
取得価格と基準日(決算日)の時価を比較して低い価格を単価とする方法です。

  • 洗替法
    取得価格と時価を比べて低い方を簿価としますが、翌期に比較する時は切り下げた評価額を戻し入れて取得価格と時価を比べる方法です。
  • 切放法
    取得価格よりも時価が低い場合に時価を単価とした場合は、翌期以降の取得価格を切り下げた時価と認識する方法です。

評価方法により単価はかなりかわりますので、自社の評価方法を確認して棚卸一覧表を作成しましょう。


帳簿と実地棚卸差異の修正方法

棚卸を実施で数量が不足している場合は「棚卸減耗費」で処理します。実務的には決算整理仕訳で期末棚卸高から数量不足分を控除する仕訳を行います。また、棚卸減耗費には消費税が課税されませんので覚えておきましょう。

棚卸減耗費で原価性のものは売上原価または販売管理費として処理しますが、災害や盗難など通常では考えられない理由が原因の場合は「特別損失」と認識します。


まとめ

棚卸は正確に行うことが重要です。資産には単価の高いものもあり、正しくカウントされていないと決算書にも影響します。
業種によっては扱う品目も多くかなりの負担となることから現場サイドから不満がでることもあります。

しかし、経理担当としては現業部門に重要性を説明して正しい棚卸を実施するように努めなければなりません。棚卸で使う単価は経理部門で計算できますので協力しながら進めましょう。


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