更新日:2020/03/31
会社の悩みの種の一つとなるのが、税です。企業が挙げた利益はすべてが自社のものになるわけではなく、
などの形で国に取られていきます。
課税されるのは仕方ありませんが、無駄な税金を取られたくないという感情はどのような企業も抱くものだと思います。ただし税金を減らしたいと思ってむやみに節税対策を行うと、返って会社にとって損になる自体を引き起こすかもしれません。
「会社の節税をしたい」と思い立った場合は、正しい節税のポイントをよく覚えておくと安心です。
今回は会社節税に興味のある方向けに、正しい節税を行うためのポイントを解説していきます。
税分野には、区分があいまいな箇所も多く存在します。場合によっては、ある税理士の意見が別の税理士の意見と異なるケースに遭遇するときもあります。
ですから知識もほとんどない状態で、むやみに節税を行おうとすると大失敗につながってしまう可能性があるのです。
企業の中には意図的に税を逃れようとして、脱税行為を働いてしまうところもあります。
・売上を少なく計上する
・旅費など経費をでっちあげて利益を少なく見せかける
・架空企業を倒産したことにして、発生した債権を意図的に経費計上する
などの行為は完全な脱税行為に該当し、法律で厳しく罰せられます。
たとえ脱税するつもりがなくても、間違った知識で節税を行い脱税に近い状態になってしまう可能性もあるので油断はできません。またグレーな経理処理は「租税回避」とみなされ、申告を訂正したりなどの手間が発生します。
このように無理な節税を行い、脱税や租税回避などを起こさないよう十分注意しましょう。
ここからは、無理なくできる会社節税のポイントをご紹介していきます。
まず脱税行為などに違反しない範囲で必要経費を上手く増やことで、節税することができます。必要経費を上手く増やす方法としては、
などがあります。
・交際費と少額の社外飲食費の違いを理解する
交際費は企業が社外と円滑な取引を進める上で、必ず必要となってきます。交際費は経費計上できる限界が決まっていますが、少額の社外飲食費扱いになると上限がなくなります。
少額の社外飲食費として扱われるのは、1人当り5,000円以下に支出が収まったときです。金額を考えずに飲食を行うのではなく、1人5,000円以内を基準に社外との交際を行うと節税につながります。
・在庫を評価損とみなし、経費計上する
在庫は会社の資産となるため、経費として計上はできません。しかし著しく在庫評価が下がっているとみなされたときは、評価損扱いされ経費に計上できます。
「在庫を多く抱えているが、まともに販売できなくなり困った」という場合は、評価損を上手く利用して少しでも税を削減してみましょう。ただし単なる売れ残りには評価損が適用されないため、
・自然災害で売れない状態にまで損傷しているか
・明らかに売れないほどありふれたものになっているか
などの条件をクリアしているか事前に確認しておきましょう。
・使っていない設備を除却する
固定資産は、持っているだけで税が掛かってきます。しかし明らかに使っていない固定資産は、除却処理を行うことで経費扱いになります。
除却とは、使わない固定資産を破棄する行為です。固定資産は使えない状態になるので、当然資産とは扱われず経費扱いにできます。
破棄すると表現すると取り壊しの手間が掛かると思うかもしれませんが、実際には「有姿除却」という方法も取れます。有姿除却では固定資産を今後一切使わないと宣言することで、除却と同じ扱いにして経費計上を可能とします。
有姿除却の際は、明らかに使っていない証明ができるよう準備を忘れないでください。
会社役員には、役員報酬が与えられます。そして役員報酬は、経費の一部として利益から差し引くことが可能です。
ただし役員報酬を経費計上するには、いくつか注意点があります。
まず、「定期同額給与」で役員報酬を支給しないといけません。定期同額給与とは、毎月同時期に同額の役員報酬を支給するタイプです。
役員報酬を急に上げて、税逃れを行おうとする企業も存在します。そのため定期同額給与に基づかない給与支払い分は経費とみなされず、課税されて余計に税金を取られてしまいます。
また非常勤役員がいる場合は、「事前確定届出給与」に基づいて給与を支払う必要があります。
非常勤役員には、毎月のように同額の給与支払いを行うわけにはいきません。しかしそれでは、定期同額給与に該当しないので経費計上ができなくなってしまいます。
そこで事前確定届出給与として管轄税務署に了解をもらい、非常勤役員に決まった給与を払うとその分も経費計上することが可能です。
ただし届出期限内に申請を行わないと、経費計上ができなくなるので注意しておきましょう。
利益が出ているときは、もったいぶらず積極的に投資を行うのも節税のポイントです。
たとえば、以下の二つのケースの場合では
「多めに利益が出ている年は、新サービスの立ち上げや新入社員の雇い入れなどを行う」ほうがその年の課税額は減少しますし、将来的にも利益が向上して会社にプラスに働きます。
このように投資タイミングを的確につかむと、節税にも大きな効果があります。
節税に効果的なのが、青色申告です。
青色申告は複式簿記で記述する必要があるなど、手間が掛かる申告方式です。しかしその分所得から65万円控除が受けられるというメリットから、個人事業主からも人気を得ています。
会社が青色申告を利用すると、
などのメリットを受けられます。
ぜひ青色申告を活用して、適切な節税を行ってください。
会社の経理を確実に行うことは節税への一歩につながります。
経理を適当にやっている会社は利益や経費に関する抜け漏れや記入ミスも多くなり、それだけ後々損をすることになるでしょう。常日頃から正確に計算ができる人材を雇っておき、確実に経理処理を行えば節税対策も施しやすくなります。
しかし会社規模が大きくなると、経理処理にも時間や負担が掛かるでしょう。クラウド会計ソフトなどを活用すると日々の経理処理を自動化できる上に、ミスも削減され経理担当の負担も軽くなったりとさまざまなメリットがあります。
まだ手作業やExcelのみで経理処理を行っている場合は、クラウド会計ソフト導入も検討してみてください。
今回は、会社でできる節税のポイントを分かりやすく解説しました。
無理な節税は、法律に引っかかる可能性もあるのでおすすめできません。しかし税制を理解した上で無理のない経費計上を行い、税制優遇も併用すればかなりの節税が可能です。
節税対策効果を最大化できるよう、経理処理自体も効率化してみてください。