公開日:2019/12/17
法人が事業を行うにあたっては、さまざまな税金を納めなければいけません。中には一定の条件に当てはまると納める必要がある消費税もあります。
商品やサービスにも消費税が課されるものや、そうでないものなどさまざまあります。法人はどういった商品やサービスに消費税が課され、そしてどのように計算を行い消費税を納めればよいのか知っおく必要があります。
今回は法人向けに消費税とは何か、そして消費税のかかる取引とそうでない取引を区別する方法、さらには実際の消費税計算方法までわかりやすく解説していきます。「事業を立ち上げたばかりで、消費税に関する知識がない」「課税売上額が一定を超えたので今年度分は消費税を納める必要があるが、具体的な計算方法がわからない」という方はぜひご覧ください。
消費税とは、商品やサービスなどの取引に対して加算される税のことです。世界で初めて考案したのはフランスの官僚で、商品やサービスの付加価値に対して課税を行うために発案されました。
支払いを行うのは消費者でありながら実際の課税義務者は商品やサービスを提供した側であるため、間接税の一つに区分されています。
日本では「課税売上高が1,000万円を超える事業者」に当てはまる場合に課税対象になり、当てはまらない場合は非課税扱いになるので、消費税を納める必要はありません。ただし一時的に年度売上が1,000万円を超えた場合は、その年度に対して消費税を計算して納める必要があります。
日本の消費税に関するニュースとしては、2019年10月1日の税率引き上げが記憶に新しいところです。従来8%だった消費税が10%に引き上げられ、それと同時に対象の飲食料品と定期購読新聞に対する税率を据え置く軽減税率も実施されています。このように日本では消費税が複数税率式に変更され、以前より算出などに手間がかかるようになっています。
例えば帳簿に販売履歴を記録しておくときは8%の税率と10%の税率のものを分け、小計を出してから全体の消費税を算出する必要があります。そのため「今までは手書きや手入力で計算が済んでいたが、これからはそうもいかない」と考えいる事業所も数多く存在します。これから消費税計算を行う場合は、税率の違いにも注意していきましょう。
消費税に関する計算に対して不安を感じる場合は、法人向け会計システムの利用がおすすめです。複数税率にも自動で対応してくれるので、スムーズに消費税を算出できます。今後の税率変更などに対応したい場合は、プログラムのアップデートが自動で行われるクラウド型の方が有利でしょう。
ここからは、消費税がかかる取引の区分方法についてご紹介していきます。
消費税は商品購入やサービス利用といった消費行動に対して課される税です。
そのため消費行動を伴わないものや、社会的な側面から課税にそぐわないと判断されたものに対しても消費税は課税されません。 さらに消費税はあくまで国内の消費行動に関して基本加算されるものですから、国外での消費行動に伴って発生した利益に関しては課税されません。
以上のように消費税が課されないサービスもたくさんあるので、計算の際はしっかり区別する必要があります。
ここからは税が課されるものと、課されないものの具体例をご紹介していきます。
・税が課されるもの
法人の場合は商品の仕入などに際して、仕入額の中にすでに消費税が含まれています。また自社で提供している商品やサービスの売上にも、消費税がプラスされます。 例えば事務手数料とされているものは、サービスとして事務作業を提供する際にかかる手数料なので消費税が加算されます。
・税が課されないもの
税が課されないものには、
の3種類があります。
非課税取引
消費税を取るべき条件に当てはまっていても、社会通念上などの理由から消費税を取るのにそぐわないと判断される取引は非課税取引に分類されます。
こういった項目は一見課税されるように見えても、消費税が課税されません。
不課税取引
消費税を課税するための条件に当てはまらない取引もあります。こういった取引は不課税取引と呼ばれ、非課税取引とは区別されます。
こういった項目は消費行動にあたらないなどの理由で不課税取引になります。
免税取引
国外で発生した取引に関する利益などは、免税取引にあたります。 例えば車をアメリカに輸出して得た利益は、国外での消費行動により獲得したものなので免税取引になり、消費税が発生しません。
場合によっては課税される取引
課税されない取引においても場合によっては、消費税が課されるケースもあります。 例えば賃貸の違約金は不課税取引になり通常税がかかりませんが、明け渡しに時間がかかったのが原因で発生した違約金はその間賃貸を事務所として利用していることになるので、消費税が発生します。 このように一見消費税がかからないように見える項目であっても、条件によっては消費行動に類するものと認められ課税される可能性もあるので注意しておきましょう。
ここからは、法人が消費税を納めるときの計算方法についてご紹介していきます。
シンプルに考えると、法人が納めるべき消費税額は「売上の中の消費税-仕入にかかった消費税」となります。
法人は商品やサービスを提供する際、外部から資材を調達しています。そしてその資材を購入したときに、すでに消費税込みの対価を外部に支払っていることになります。
例えば鉛筆を10本1,000円で販売しているとして、実際には外部から900円で調達しているとします。消費税を加えると実際の販売価格は1,100円、外部からの調達額は990円となります。 国に事業所が税を納める際は、販売額に追加された100円の消費税をそのまま納めると仕入の際すでに払っている消費税90円が加味されておらず、余計に税金を支払っていることになります。 そこですでに支払っている90円を引いた、100円-90円=10円だけを納めることになります。
結果的に売上総額にかかった消費税から仕入総額にかかった消費税を引けば、実際に納付すべき消費税が算出できます。
上記のように、まとめることで消費税額の計算方法はシンプルにもなります。ただし計算に必要な指標の出し方が複雑なので、よく理解しておく必要があります。
まずは「課税売上高」を算出する必要があります。課税売上高は言葉のとおり、課税対象になっている売上高のことで、課税売上高を算出する際は「損益計算書内の売上高=課税売上高」とならない点に注意してください。 課税売上高には例えば課税資産の譲渡など、損益計算書内の売上高に含まれないものも追加する必要があります。損益計算書内の売上高を課税売上高と混同しないようにしましょう。
また「課税仕入高」を算出する必要もあります。非課税や不課税の取引は除きながら、確実な課税仕入高を算出しましょう。 そして上記課税額を計算するために、課税取引、非課税取引、不課税取引、免税取引、のように取引を4つにしっかり分類する必要性も出てきます。一見不課税に見えても課税取引にあたる取引なども存在しますので、取引が発生した状況も含めて正確に判断しましょう。 最後に「(課税売上高が10%のものの合計)×10%+(課税売上高が8%のものの合計)×8%」-「(課税仕入高が10%のものの合計)×10%+(課税仕入高が8%のものの合計)×8%」で、実際に納める消費税額を計算していきます。
今回は法人が支払うべき消費税の区分や、実際の計算方法についても解説しました。
今まで消費税を納税したことがなくても、一時的に売上が1,000万円を超えていれば支払いの義務が発生するので十分注意しましょう。また複数税率にも気をつけながら課題売上高や課税仕入高を算出し、取引も消費税がかかるものとかからないものに分けていきましょう。 消費税をスムーズに計算にしたい場合は、会計システムの活用をおすすめします。