更新日:2026/09/03
令和7年の年末調整においての話題は、主に基礎控除や給与所得控除の大幅な引き上げや特定親族特別控除の創設でした。令和8年は昨年に引き続き、基礎控除や給与所得控除の引き上げが中心となっています。この改正により、所得税の課税最低限が160万円から178万円に引き上げられました。今回は、これらの改正を踏まえ、下記の項目について解説していきたいと思います。
合計所得金額が2,350万円以下である個人の所得税の基礎控除額が最低4万円引き上げられ62万円(改正前58万円)となります。令和8年分以後の各年分において、居住者のその年分の合計所得金額が655万円(令和10年分以後の各年分にあっては132万円)以下である場合における所得税の基礎控除の額は、62万円に次の金額(基礎控除の特例)を加算した額となります。
①令和8年分及び令和9年分
イ、合計所得金額が489万円以下である場合・・・42万円
ロ、合計所得金額が489万円を超え655万円以下である場合・・・5万円
②令和10年分以後の各年分
合計所得金額が132万円以下である場合・・・37万円
※基礎控除の特例も考慮した具体的な基礎控除の金額は次の表のとおりとなります。
| 合計所得金額※ (収入が給与だけの場合の収入金額) | 基礎控除 | |
|---|---|---|
| 令和8・9年分 | 令和10年分以後 | |
| 132万円以下 (206万円以下) | 104万円 | 99万円 |
| 132万円超 336万円以下 (206万円超 475万1,999円以下) | 62万円 | |
| 336万円超 489万円以下 (475万1,999円超 665万5,556円以下) | ||
| 489万円超 655万円以下 (665万5,556円 超850万円以下) | 67万円 | |
| 655万円超 2,350万円以下 (850万円超 2,545万円以下) | 62万円 | |
※特定支出控除や所得金額調整控除の適用がある場合には、上記の金額とは異なります。
※合計所得金額が2,350万円超の場合の、基礎控除額には改正はありません。
※個人住民税の基礎控除額は改正前と同様、一律43万円です。
給与所得控除について、最低保障額が65万円から74万円に引き上げられました。
具体的には次の表のとおりとなります。
| 給与等の収入金額※ | 令和8・9年分 | 令和10年分以後 |
|---|---|---|
| 190万円以下 | 74万円 | 給与等の収入金額×30%+8万円 (69万円未満となる場合は、69万円) |
| 190万円超 220万円以下 |
※給与等の収入金額が220万円超の場合の給与所得控除額に改正はありません。
※個人住民税についても表の金額と同様です。
※令和8年分、9年分の給与等の収入金額が69万1,000円以上220万円未満である場合には、給与所得の金額は上記によらず、下記の金額とすることとされています。
| 給与等の収入金額 | 69万1,000円以上 74万1,000円未満 | 74万1,000円以上 219万1,000円未満 | 219万1,000円以上 219万3,000円未満 | 219万3,000円以上 219万6,000円未満 | 219万6,000円以上 220万円未満 |
| その給与等に係る 給与所得の金額 | なし | その収入金額 -74万円 | 145万1,000円 | 145万3,000円 | 145万6,000円 |
基礎控除の引き上げに伴い、扶養親族等の所得要件が4万円引き上げられました。具体的には次の表のとおりです。
| 扶養親族等の区分 | 所得要件※ (収入が給与だけの場合の収入金額) |
|---|---|
| 扶養親族 | 62万円以下 (136万円以下) |
| 同一生計配偶者 | |
| ひとり親の生計を一にする子 | |
| 特定親族 | 62万円超 123万円以下 (136万円超 197万円以下) |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 62万円超 133万円以下 (136万円超 207万円以下) |
| 勤労学生 | 89万円以下 (163万円以下) |
※合計所得金額(ひとり親の生計を一にする子については総所得金額等の合計額)の要件をいいます。
※特定支出控除の適用がある場合には、表の金額とは異なります。
令和8年11月までの給与の源泉徴収事務に変更は生じません。令和8年分の給与の源泉徴収事務においては、令和8年12月に行う年末調整の際に、改正後の基礎控除額及び改正後の国税庁において作成する「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて1年間の税額を計算し、改正前の「源泉徴収税額表」によって計算した源泉徴収税額との精算を行います。
個人住民税に関しては、令和8年分の所得に係る令和9年度分から適用されます。
また、令和9年1月1日以後に支払うべき給与については、改正後の「源泉徴収税額表」を使用して源泉徴収税額を計算することになります。
子育て支援税制の一環として、旧生命保険料及び23歳未満の扶養親族を有する場合の一般生命保険料控除の適用限度額が6万円(改正前4万円)とされました。新生命保険料控除に係る一般生命保険料控除について、23歳未満の扶養親族を有する場合の一般生命保険料控除額は、次の表のとおりです。
| 年間の新生命保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 30,000円以下 | 新生命保険料の全額 |
| 30,000円超 60,000円以下 | 新生命保険料×1/2+15,000円 |
| 60,000円超 120,000円以下 | 新生命保険料×1/4+30,000円 |
| 120,000円超 | 一律60,000円 |
※一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額は、改正前と同様の12万円となります。
<令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除兼所得金額調整控除申告書>
参考:https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho_shorui/pdf/0026004-091_01.pdf
<令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書>
参考:https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho_shorui/pdf/0026004-091_02.pdf
令和9年1月1日以降に提出すべき令和8年分以後の給与所得の源泉徴収票について、市区町村に「給与支払報告書」または「公的年金等支払報告書」を提出した場合には、税務署長に「給与所得の源泉徴収票」又は「公的年金等の源泉徴収票」を提出したものとみなされます。そのため、税務署提出用の「給与所得の源泉徴収票」や「公的年金等の源泉徴収票」を作成し、提出する必要がなくなります。
なお、受給者へ交付する源泉徴収票は、引き続き、全ての受給者に対して作成・交付を行う必要があります。
参考:https://www.nta.go.jp/users/gensen/hotei/index/minashi.htm
本記事では、令和8年の年末調整に影響する改正のポイントについて解説しました。年末調整は給与担当や総務担当にとって、とても負担の大きい業務です。みなさんにとって少しでも前倒しで業務が進められるよう、知識の助けとなれば幸いです。
本稿は、令和8年8月15日時点での国税庁の情報に基づき執筆しました。
今後、解説内容に変更が生じる可能性もありますので、最新情報は国税庁サイトでご確認ください。
≪参考≫令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0025005-051.pdf
沖縄税理士会那覇支部所属。
税理士法人Bricks&UK 沖縄事務所 所長。