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AI技術の進化とRPAの未来

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歯止めのかからない少子高齢化といびつな世代ピラミッド。こうした日本の現状は、間違いなくこれから労働人口が漸減していくという厳しい現実を物語っています。

そしてすでに現在、人材市場では優秀な即戦力を獲得することが非常に困難になっています。
新卒採用にかかるコストも増大する一方で、高い採用コストをかけて人材を獲得してもなかなか定着してくれないといった悩みもあります。

このような状況下で、いくら「日本企業における社員ひとりあたりの生産性は海外に比べて低い」などといわれても、なかなか効果的な手を打ちにくいというのが多くの企業様のお悩みではないでしょうか。

私たちPCAは、こうした問題を解決するカギはAI技術の進化とRPAにあると考えています。

産業界に普及が進むAI技術

「AI技術」という言葉から、皆さんはどのようなものを連想されるでしょうか?
たとえば、昨今注目を集めている自動運転車などがもっとも典型的でわかりやすい一例かもしれません。

自動運転の難易度(自律性)はレベル0~5に分かれています。レベル0が完全手動、レベル5はどんな場所でも完全に自動運転ができる状態を指します。現在実用化されているのはレベル3です。これは特定の場所(高速道路など)での自動運転を実現し、ドライバーはシステムが対応しきれない緊急時だけ運転操作を行えばよいというものです。法規制の問題などがクリアされれば、遠くない将来、長距離トラック運転手などの労務負担は大幅に軽減されるでしょう。

また、現在Amazonが開発を進めている「自動倉庫(Amazon Robotics)」などもAI技術を産業に利用した典型例でしょう。Amazon Roboticsでは、広大な倉庫の中をAIがコントールするロボットが荷物を抱えて縦横無尽に走り回り、従来人間が担当していた負荷の大きい肉体労働の代替をしています。人間は、ロボットが運んできた荷物を確認し、棚入れ・棚出しを行うだけで、倉庫内を歩き回る必要はありません。これにより入庫/出庫のスピードは劇的に改善され、オペレーションコストが大幅に削減できたそうです。

アメリカの小売王手「ウォルマート」もこれと同様の「Alphabot(アルファボット)」というシステムを導入しており「ロボットが単調な反復作業を処理する間に、店舗スタッフは他の、もっと人間的な作業ができる」としています。

社員は経営者が思う以上に「働いている」

さて、AI技術の産業導入事例として「自動運転」と「自動倉庫」のふたつを掲げました。

ここまでお読みくださった方のなかには「当社は自動車にも物流にも関係しない。当社の従業員の大半は営業職かデスクワーカーだから、こうした事例は直接関係がない」などとお感じになった方も多いのではないでしょうか。

しかし、このふたつの事例をここに掲げたのには理由があります。
これらの事例から「①自動車の運転のように、誰がやっても(もちろんAIでも)あまり効率が変わらない仕事」や、「②倉庫の荷入れ・荷出しなどに象徴される、単調な反復作業」は、人間がやるよりもAI(+ロボット)と人間の協働型にした方が生産性が高まるということは、ここまでの説明でご理解いただけたでしょう。実はこれとそっくり同じことが、デスクワーカーにもあてはまるのです。

もしあなたが経営者であれば、あなたの会社の社員が、1日あたりどれだけ、上記の①や②に該当する作業に時間を費やしているかを考えてみてください。たとえば事務職であれば「やり方さえ知っていて、時間をかければ誰にでもできる集計作業」などがこれらに相当するでしょう。あるいは、外廻りの営業職をサポートする営業アシストなどの仕事もそうかもしれません。

もちろん、その仕事に熟達しているかそうでないかによって作業効率やクオリティは違います。しかしどんなベテランでもこうした仕事で「平均的な社員の数倍の働きをする」ということは困難ではないでしょうか。

また、①や②のような仕事は、得てして重要度が低いため「本来やるべき、メインの仕事の合間にやれ」といったあいまいな指示がなされることが多いようです。しかし、重要度の低い仕事であっても、時間を短縮するには限界があります。むしろそうした仕事ほど劇的に効率を改善するということは困難かもしれません。

社員の多くは、経営者が考えているよりもはるかにこうした「生産性の低い雑務」で時間を浪費させられています。しかしその一方、こうした時間の浪費は経営者には見えづらいため「我が社の社員は働きが悪い」などといった誤解が生じてしまいがちです。

社員の立場に立って考えてみましょう。「やりたくもない、つまらない仕事に勤務時間の大半を割かれながら、上司から『もっと生産性をあげろ』と命令される」という状況を想像してみていただきたいのです。これでは、手足を縛られたまま「走れ」と鞭打たれるようなものではないでしょうか。自分への正当な評価を受けることができず、ストレスも溜まります。モチベーションなど高まるはずがありません。

こうしたジレンマを解消するための切り札がRPAです。

経営者がやるべきことは、たとえ生産性の低い仕事であってもフルに働いている社員をそれ以上鞭打つことではありません。それよりも、個々の職務内容を分析し「いかに生産性の低い仕事の比重を下げるか」の方策を総合的に検討するべきではないでしょうか。RPA導入も、その方策のなかの有力な選択肢です。

AIのなかでのRPAの位置づけ

最近は「RPA」という言葉もビジネスニュースなどでよく目にするようになりましたが、まだRPAについてよくご存じでない方のために簡単に説明をしておきましょう。

「RPA(Robotic Process Automation)」とは、PCを使用するオフィスワークの一定領域をAIによって自動作業化してくれるシステムのことです。
RPAでは、PC内で人間に代わってExcelなどのアプリ操作をしてくれる仮想ロボット(デジタルレイバー)に簡単な仕事を覚えさせることにより、人間を時間がかかる単調な事務作業から解放します。

RPAには1~3のクラスがあり、その内容は次のようになっています。

○クラス1:RPA(Robotic Process Automation)
複数アプリケーションの連携を必要とする単純作業がこなせる。

○クラス2:EPA(Enhanced Process Automation)
「紙に手書きされた文書」をOCRで読み取って集計・分析できる。さまざまなデータを基にした分析を自動化できる。

○クラス3:CA(Cognitive Automation)
ディープラーニング、自然言語処理などに対応。 意志決定支援、業務の見直しや改善などに活用できる。


現在、企業において導入が進んでいるのはもっぱらクラス1で、金融(都市銀行大手)などの分野ではクラス2の導入が段階的に進められています。RPAは、オフィスワークにおけるPCワークの一部を人間に代わって処理してくれるツールで、たとえばExcelの関数処理やマクロ処理といった作業自動化にも似た部分があります。
マクロ処理と異なるのは、特定のプログラムに処理を依存せず、人間が教える(やってみせる)ことにより「こういう場合はこうする」といった手順を覚えてくれる点や、Excel・メールソフト・基幹業務システムなど複数のアプリケーションを使って一連の業務プロセスを自動化してくれるといった汎用性の高さです。

RPAはAI技術の一部を利用したツールで、AIそのものではありません。しかしオフィスにおいて社員を生産性の低い単純な反復作業から解放し、人間ならでは可能な生産性の高い業務に専念させることで、企業の業績に大きく貢献してくれることでしょう。また、それによって社員は「人間的とはいえない、つまらない仕事」から解放され、本来注力すべき業務に集中できるようになります。生産性の向上はもちろん、ストレス緩和やモチベーション向上にも大きく役立つはずです。

日本の産業に浸透するRPA

昨今、ビジネス系のニュースでは「RPA導入で○○時間分の作業を削減」という記事をよく目にするようになりました。特に金融機関や通信キャリアなどの大企業のRPA導入により、劇的な効率化の成功事例が数多く取り上げられています。

総務省の資料によれば、2017年時点で日本国内では14.1%の企業がRPAを導入済み、6.3%が導入中、19.1%が導入を検討中でした。つまり2割以上の企業がすでにRPA導入に取り組み、日本の1/3以上の企業がRPA導入に意欲を示しているということになります。

また同省では「革新的ビッグデータ処理技術導入推進事業」の一環として、地方公共団体へのRPA導入を積極的に支援しています。同省は「日本の生産労働人口が減少局面にあるなか、労働力を維持しつつ国際競争力を強化するためには労働力の有効活用や生産性を向上させるための方策が必要」とし、RPAを「従来よりも少ない人数で生産力を高めるための手段」と位置づけ、官民への積極的な導入を促しています。

「WinActor」の導入事例は4000社を突破!
私たちPCAが販売を手がけるRPA「WinActor」はNTTグループが開発した製品ですが、NTTグループは2019年8月、WinActorの導入実績が累計4000社を突破したと発表しました。同社の試算によれば、現在のRPA市場規模は800億円程度。WinActorはそのうちおよそ35%の国内シェアを獲得しているといいます。NTTグループは今後、WinActorを中心にAI-OCR(自動読取装置)、音声のテキスト化など、日本の働き方改革を推し進める全社横断型のRPAに育てる考えです。

当社もその方向性に賛同し、Win Actorの販売だけでなく、RPA導入を通じて業務改善のためのご提案やコンサルティングサービス、RPAをさらに効果的に活用できるための人材教育などに注力していきたいと考えています。

RPAの未来 ~誰もが幸せで豊かな未来をめざして~

私たちPCAがイメージする理想的なRPAとは、「企業・従業員・社会」の三者がすべてRPAのメリットを享受し、全員が豊かで幸福な勝利者となるwin-win-winの関係を築く姿です。

AIあるいはRPAという言葉に、「労働者の雇用を奪い、人間を不幸にする技術」というネガティブな連想をする人もまだ少なくありません。当社が手がけたRPA導入事例のほとんども、RPA導入が決定された職場では、導入前は多くの社員がRPAに対する戸惑いや心理的抵抗を感じています。

しかし、実際に導入が始まり「RPAとはどういうものか、どのように業務を改善してくれるのか」についての理解が進むにつれ、そうしたネガティブな要素は払拭され、さらなる業務改善(作業時間や手間の圧縮)に関する前向きな姿勢や意見が現場から自発的に出されるようになっていきます。

RPAの本来の姿は、労働者に取って代わるものではなく、人間が「気づき・発案・創造」といった人間的な働き方に専念でき、最大のパフォーマンスを発揮していただけるよう支援するシステムなのです。かつてPCが登場したとき、RPAと同様「オフィスワーカーの職を奪うのではないか?」といった議論が真剣に交わされました。しかし今日のオフィスワーカーからPCを取り上げたら、生産性はどれほど激減してしまうでしょうか。近い将来、RPAもPCと同じくすべての知的労働者に「なくてはならないツール」として捉えられ、その使いこなしのスキルが問われるようになる。私たちはそう確信しています。

人間が人間らしく働き、その成果が企業にもたらされ、社会が豊かになり、その恩恵が人間ひとりひとりに還元される。こうした好循環を生み出すことこそがRPAの真の役割です。

今後さらに多くの企業様にこうした「RPAの真価」をご理解いただき、当社もその導入支援を通じて社会により多くの貢献をさせていただきたいと強く願っています。

※ 「WinActor」は、NTTアドバンステクノロジ株式会社の登録商標です。その他、記載された製品名及び会社名は各社の商標または登録商標です。

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※本記事の内容についての個別のお問い合わせは承っておりません。予めご了承ください。