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人手不足の原因は?企業における影響や対策を解説

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日本の多くの企業では深刻な人手不足が続いています。特に一部の業界・業種や中小企業においては、人手不足が恒常化しているケースも少なくありません。

人手不足によって企業にはさまざまな悪影響が現れますが、「人手不足を解消したくても人が集まらない」と現在進行形でお悩みの企業様も多いのではないでしょうか。

本記事では、人手不足の主な原因や、企業における影響をご紹介します。さらには人手不足を解消する対策方法についても解説しているので、ぜひご参考にしてみてください。

人手不足になる3つの原因とは?

人手不足の原因には、大きく分けて以下の3つが考えられます。

  • 少子高齢化による労働人口の減少
  • 働き方の多様化による人材流出
  • 働き手が希望する業種・人材の偏り

それぞれくわしく見ていきましょう。

少子高齢化による労働人口の減少

帝国データバンクが20237月に実施した「人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月)」によると、調査対象27,768社のうち「正社員の人手不足である」と回答した企業は51.4%にのぼります。

また非正社員についても、30.5%の企業が人手不足の状態です。

そもそも人手不足になる原因としては、少子高齢化による労働人口(生産年齢人口)の減少が大きな原因となっています。総務省の調査によると、日本では1995年以降労働人口が減少し続けており、総人口についても2008年以降減少しています。

(参照:第1節 高齢化の状況|令和5年版高齢社会白書(概要版) - 内閣府

働ける人の絶対数が少なくなるということは、いわば“人材の奪い合い”になるということです。採用競争に勝ちやすい大手企業以外については、少子高齢化によって人手不足に陥る事例が増加し続けています。

働き方の多様化による人材流出

ひと昔前までは「一度入社したら定年まで勤めあげる」という価値観が一般的でしたが、近年はワークスタイルが多様化しています。特に若年層においては、新卒で入社して数年ほどで条件のいい会社に転職(または独立)するケースも決して珍しくありません。

自分らしい働き方や「よりよい環境で働きたい」という考えをもつ人が増えた結果、人材流出や離職につながり、人手不足に陥っている企業が多く見られます。

働き手が希望する業種・人材の偏り

また、職業や業種によって求職者に偏りが生まれていることも人手不足の一因といえるでしょう。

厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(令和5年8月分)についてでは、20238月時点における建設・採掘従事者の有効求人倍率は5.32倍ですが、事務従事者の有効求人倍率は0.01倍です。

有効求人倍率は数字が多くなるほど「求職者より求人数が多い=人手不足である」と判断できます。

有効求人倍率が低い業種については「人手が足りている」状態であり、場合によっては求職者が仕事に就けない、といったケースも珍しくありません。その一方で「求人募集をしても人が来ない」という企業があるという、いびつな状況が生まれているのが現状なのです。

人手不足が企業に与える影響は?

人手不足が企業に与える影響としては次の4つが考えられます。

  • 労働基準法違反の発生リスクが高まる
  • 従業員の休職・離職リスクの増加
  • 新規採用コストの増加
  • 既存顧客への対応や新規事業の着手が難しくなる

労働基準法違反の発生リスクが高まる

人手不足が長期化すると、従業員1人ひとりの業務負担が増加します。

同じ業務でも担当人数が少なくなれば残業や休日出勤で対応せざるを得なかったり、休憩時間を削って対応しなければならなかったりといった状況が発生する可能性が高まるでしょう。

36協定を結んでいないにもかかわらず残業、法定休日出勤を依頼したり、協定で決められた上限を超える残業を依頼したりといった指示は労働基準法に抵触します。また8時間を超える労働なのに休憩が60分に満たない場合も労基法違反です。

こうした労基法違反のリスクを減らすためには、当然ながら業務に応じた人員整備が必須となります。

従業員の休職・離職リスクの増加

従業員が人手不足によって過剰労働を強いられた場合、心身の不調による休職や離職リスクが高まります。そうなるとさらなる人手不足に陥るうえ、残った従業員についても労働意欲やエンゲージメントの低下、人材育成の時間を確保しにくくなり後進が育たないといったリスクが発生してしまうでしょう。

新規採用コストの増加

人手不足は新規採用コストの増加にもつながり、経営を圧迫する場合があります。

採用活動には広告料、人材紹介サービスに支払う手数料などの費用、人事担当者の人件費などが含まれます。

短期的な人手不足であれば一時的な支出で済みますが、人手不足が長期化した場合にはこれらの費用が恒常的にかかってくるため、トータルで見ると大きな支出になる場合も少なくありません。

既存顧客への対応や新規事業の着手が難しくなる

近年では顧客ニーズが多様化しており、顧客に合わせたきめ細やかな対応が求められる傾向にあります。しかしながら、人手不足では細かな顧客対応まで手が回らない、といった事例が多数頻出します。

また、人手不足で既存業務をこなすので精一杯といった状況では、新たな事業への着手、開発といったチャレンジも難しくなります。つまり、人手不足によって企業の発展チャンスを逃すことになってしまうのです。

人手不足が深刻な業界や業種とは?

帝国データバンクが20237月に実施した「人手不足に対する企業の動向調査(2023年7月)」によると、以下の業界・業種で正社員の人手不足が深刻になっています。

  • 情報サービス
  • 旅館・ホテル
  • 建設
  • メンテナンス・警備・検査
  • 飲食店

同調査の業種ベースでみると、情報サービス業の74.0%、旅館・ホテル業の72.6が正社員の人手不足であることがわかっています。

【2023年7月時点の正社員の人手不足割合(上位5業種)】

業種 人手不足であると回答した企業の割合
情報サービス 74.0%
旅館・ホテル 72.6%
建設 68.3%
メンテナンス・警備・検査 68.2%
飲食店 66.3%

※母数20社以上の企業が対象

情報サービス業については9ヶ月連続で70%を超えていますが、そこにはインターネット関連のマーケティングの重要性についての認識が高まったこと、インボイス制度の開始や電子帳簿保存法の改正に伴うシステム改修案件の増加が背景にあります。

しかし実際の現場では、「案件が増えているにもかかわらず、スキルマッチした人材が不足していて人員確保に至らない」という意見が多く発出しているとの調査結果も出ています。

また旅館・ホテル業については、感染症拡大以降の観光・旅行需要の冷え込みによって一時は人手不足の割合が4割程度に減少していたものの、20235月以降の国内旅行件数、インバウンド需要の回復などの要因から人手不足が顕著になっていると考えられます。

以前から若手人材の減少が問題視されていた建設業や、メンテナンス・警備・検査、飲食店についても7割近くの企業が人手不足の状態です。次いで運輸・倉庫や、医療・福祉・保健衛生、金融、自動車・同部品小売り、人材派遣・紹介などについても約67割の企業が人材不足であると回答しています。

なお、非正社員については飲食店の83.5%、旅館・ホテルの68.1%が人手不足であると回答しており、もともとパートやアルバイト・派遣などの割合が多い業種ほど人手不足を実感していることがわかります。

企業が行うべき人手不足の対策7つ

企業が人手不足を解消するには大きく分けて「業務の効率化」「採用・人材に関する見直し」が有効です。

本項ではこの2つをさらに細分化し、企業が人手不足を解消するための対策を7つご紹介します。

DXを推進する

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、インターネットを含むネットワークやデジタル技術を活用し、業務・ビジネスモデルを変革させることを言います。DXの推進には相応のコストがかかるものの、生産性の向上や効率化が期待できます。

一般企業の中でもDXを推進しやすいのが「バックオフィス業務」です。

手間がかかりやすい会計・給与・販売管理・人事管理等のバックオフィス業務も、デジタルツールやクラウドシステムを活用することで効率化が実現します。

また営業・生産分野においても、顧客管理システム(CRM)や営業支援ツール(SFA)、AIなどの導入によって効率化が実現するでしょう。

DXによって業務にかかる手間や時間、コストの削減ができれば、人手不足をカバーしやすくなります。

職場環境を改善する

人手不足を解消するためには、現在の自社の職場環境を改善することも重要です。

たとえば長時間労働が常態化してしまっている企業においては、先述したDXなどにより業務効率化を行い、長時間労働を是正することが求められるでしょう。実施したストレスチェックのデータを分析して、業務内容や業務量の振り分けについて再考し、負担を分散させることも必要です。

心身の不調によって休職、離職が続くようならば、メンタルヘルス対策として外部機関への相談窓口を設けたり、気軽に受信できるリモート産業医サービスの導入を検討したりするのも有効です。

さらに、従業員や管理職に向けたメンタルヘルス研修を実施するのも効果的といえるでしょう。

多様な働き方を推進する

ライフイベントの変化で働くことが難しくなる女性や、高齢者(シニア層)については、「働きたくても職場環境が合わないので働くことが難しい」というケースも少なくありません。また近年では介護離職も大きな問題となっています。

このような場合にはテレワーク環境を整備して働きやすい職場にしたり、フルタイム以外の働き方を許容したりといった対策が有効です。自分のライフスタイルや価値観に合った働き方ができる企業には人が集まりやすく、人手不足の解消にもつながるでしょう。

給与や労働条件を改善する

転職による人材流出が減らない場合は、給与をはじめとする労働条件の改善が必要な可能性があります。

特に給与は従業員のモチベーションにつながる要素であり、同業他社に比べて給与水準が低すぎる場合はつなぎ止めが難しくなってしまいます。また業務の量や内容、職責に対し給与が低すぎる場合も同様です。

企業にとって人件費は決して安くはない支出ですが、それ以上に従業員という存在は重要なリソースです。

従業員の流出が相次ぐ場合は、給与体系の見直しや評価基準の改定などを行うことも検討してみましょう。

人材育成と定着策の実施

人手不足を補うには、人材の定着と活用が重要な要素となります。そのために必要になるのが人材育成や「学び直し(リカレント教育)」です。

スキルアップの機会を増やすことで時代や業務に必要な知識・技術を身に着ければ、「業務に必要な能力が足りない」といったミスマッチも防げます。

また従業員にとってもやりがいにつながり、離職を防ぐことにもつながるでしょう。

採用条件・方法の見直し

採用活動をしていても条件に適合する人材が見つからない場合は、採用条件を見直してみるのも一つの方法です。

譲れない条件(業務の必須資格など)についてはそのままでもいいですが、それ以外の経験やスキル等の採用条件をゆるめることで、新たな人材を探しやすくなることがあります。労働意欲の高いシニア層への採用枠を設けるなどの対策も講じてみましょう。

再雇用システムの整備と活用

人手不足を解消する方法のひとつとして、離職した元従業員の再雇用システムを整備する方法もあります。自社で働いたことのある人材はこれまで培ったノウハウ、経験、知識を持っており、即戦力となってくれるメリットがあります。また採用後のミスマッチが生じにくいのも特徴です。

再雇用の際には前の勤務時との給与体系の差など留意すべき点もありますが、「人材育成コストを抑えながら人手を増やしたい」という場合には検討してみましょう。

まとめ

人手不足の大きな原因は「少子高齢化」です。そしてこの少子高齢化は今後さらに加速すると予想されており、大幅な出生数の増加等の要因がない限りは継続するでしょう。

企業としては人員の絶対数を増やすとともに、デジタルツールによるDXの推進で業務を効率化する、働きやすい環境の整備を行うといった対策が必要になります。言い換えれば「少人数になっても業務を回せるよう変革を行うこと」が求められているともいえます。

業務効率化によって従業員一人あたりの負担を減らすことは休職・離職の防止にもつながります。待遇の見直しなど、働きやすい環境づくりも必須です。

労働体制・環境の整備やDXの推進には時間と手間がかかります。企業様におかれましてはなるべく早期に対応を進めていき、人手不足解消のための対策を続けていかれることをおすすめします。

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